日銀は変わったか、連続緩和の一部予想も-来週会合

日本銀行が12、13日の2日間の予 定で開く金融政策決定会合は、現状維持が予想されている。もっとも、 先月14日の前回会合で、1%の物価上昇を目指して強力に金融緩和を 推進すると表明したことを受けて、いつ追加緩和があってもおかしく ないとの声が出ている。今会合も2人のエコノミストが2会合連続の 金融緩和を予想している。

ブルームバーグが日銀ウオッチャー14人を対象に行った調査で、 12人が現状維持を予想した。東短リサーチの加藤出チーフエコノミス トは「基本的には現状維持」を予想。「成長基盤強化を支援するための 資金供給の期間延長等により、緩和方向の印象はアピールするだろう」 という。同資金供給は3月末で新規貸し付けの期限を迎える。

一方、前回調査で唯一予想を的中させたクレディ・スイス証券の 白川浩道チーフエコノミストは、今回も追加緩和を予想。モルガン・ スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミストも「消費者物 価上昇率1%を目指し、間断なく次の一手を打ち続ける可能性がある」 として、「3月以降の毎回の会合で緩和のチャンスがある」とみる。

日銀は先月14日の会合で、これまでの「物価安定の理解」に替え て「物価安定の目途(めど)」を導入した。当面、消費者物価指数(C PI)の前年比上昇率で「1%」を目指し、それが見通せるようにな るまで「強力に金融緩和を推進していく」と表明。その具体的手段と して10兆円の長期国債買い入れ増額を決定した。

政策運営を転換か

白川方明総裁は同日の会見で「『目途』と『理解』という、その言 葉の違いだけで私ども自身の政策が変わるということではない」と述 べた。しかし、内外経済に「幾分明るい動きが出てきている」と総裁 自身が語る局面での追加緩和だっただけに、日銀の金融政策運営がよ り大胆な方向にかじを切ったのではないかとの見方も出ている。

JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「少なくとも 海外の市場参加者の多くは『日銀は事実上の物価目標を公式に設定し たのだから、今後はデフレ脱却を目指し従来以上に積極的な金融緩和 を進める』と解釈している」と指摘。日銀がこうした期待を裏切ると 円高・株安の圧力が高まるため、「日銀にとって今後の選択肢は『一段 の金融緩和』しか残されていない」と語る。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラ テジストは「今回のように、ある程度能動的なマネー供給(姿勢)が 市場のリフレ期待を多少なりとも喚起できるのであれば、アナウンス メント効果狙いと割り切って、資金供給をたんたんと拡大していく可 能性がある」と指摘。それで「日銀法改正など政治圧力をかわせるの なら御の字だという組織防衛本能から来る打算も働こう」という。

政治への弱さなど「変わってない」

東短リサーチの加藤氏は「経済へのダウンサイドリスクが高まっ ていないときでも、インフレ率が『目途』に達しない間は追加緩和を 選択することがあるというスタンスに転換した」と指摘。「日銀にとっ て、2月上旬に経験した国会における激しい日銀批判はトラウマ(心 的外傷)になっている。批判が高まる気配が出そうなときは組織防衛 上、一歩早めに緩和策を決めようとすると思われる」と語る。

もっとも、冷めた見方も多い。みずほ証券の上野泰也チーフマー ケットエコノミストは日銀の金融政策姿勢について「政治圧力に屈し て突然動くという点を含め、基本線は変わっていない」と語る。

SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは 「白川総裁は先月29日の国会答弁で、物価安定の目途について『物価 上昇率を引き上げるという要素を内に秘めた能動的な政策』と発言し、 緩和姿勢の本気度をアピールした。従来から180度転換したとまでは 言い切れないが、今後も強力な緩和姿勢を示し続ける」と指摘。「いつ 追加緩和があってもおかしくない状況が続きそうだ」とみる。

追加緩和は展望リポート時か

岩下氏はその上で、追加緩和のタイミングについて「次なる重要 イベントは、4月27日発表の経済・物価情勢の展望(展望リポート) だ」と指摘。「4月にはボードメンバーの入れ替わりもあり、新規メン バーで確認する『中長期的な物価安定の目途』、そして2013年度まで の経済・物価見通しを示すタイミングで、追加策を講じる可能性は十 分にあるだろう」と予想する。

追加緩和の具体的手段は先月14日と同様、長期国債の買い入れ増 額、さらには2年以内に限定している対象国債の残存期間を5年程度 まで拡大するとの見方が多い。三菱UFJモルガン・スタンレー証券 の石井氏は「利付国債で札割れ続出が見込まれる場合には、残存年限 を長期化させる可能性がある」としている。 ============================================================= ◎利上げ予想時期は次の通り(敬称略)

【2014年1-3月以降】BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノ ミスト

【2014年度以降】SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケットエコ ノミスト、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト、モ ルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミスト、野 村証券松沢中チーフストラテジスト(0.0-0.1%から0.1%へ)

【2014年10月以降】シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミ スト

【2015年以降】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ 債券ストラテジスト、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、J Pモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト、第一生命経済研究所 の熊野英生主席エコノミスト、東海東京証券の佐野一彦チーフストラ テジスト、クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミスト、信州 大学の真壁昭夫教授、バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チ ーフストラテジスト ============================================================= 無担保コール翌日物金利の予想は以下の通り(敬称略50音順) *T  12 12 12 12 13 13 13 13

3末 6末 9末 12末 3末 6末 9末 12末 ------------------------------------------------------------- 調査機関 14 14 14 14 14 14 14 14

中央値 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

最高 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

最低 0.10 0.10 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 ------------------------------------------------------------- 三菱UFJ・MS 石井   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 SMBC日興証 岩下  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 みずほ証 上野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 東短リサーチ 加藤 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 JPモルガン証 菅野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 第一生命経研 熊野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 BNPパリバ証 河野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 モルガン・スタンレーMUFG 佐藤 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 東海東京証券 佐野   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 クレディS証 白川 0.10 0.10 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 信州大 真壁 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 野村証 松沢 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 シティG証 村嶋 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 バークレイズC証 森田 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 *T

(注)無担保コール翌日物金利の予想の0.10%は政策金利「0.0 -0.1%」の現状維持。「日銀サーベイ」金利予想、経済・物価情勢、 金融政策の展望コメントを9日朝に送信しました。

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