「日銀サーベイ」金利予想、経済物価、金融政策展望コメント

【記者:日高正裕】

3月9日(ブルームバーグ):ブルームバーグ・ニュースは12、 13日の日本銀行の金融政策決定会合を前に、有力「日銀ウオッチャ ー」14人に金融政策の予想を聞いた。質問内容は以下の通り。アン ケート回答期限は9日午前8時。エコノミスト予想のまとめ記事とし て「日銀は変わったか、連続緩和の一部予想も-来週会合、大勢は据 え置き」を同時配信した。調査内容は以下の通り。

1)今回の会合で予想される政策、2)日銀が政策金利を「引き 下げる」時期、3)日銀が政策金利を「引き上げる」時期、4)~11) 政策金利の予想水準(氏名50音順、かっこは前回回答)、12)経済・ 物価の見通し、13)金融政策運営の見通し。

日銀が2月14日の前回会合で消費者物価指数(CPI)の前年 比上昇率1%を目指して強力に金融緩和を推進していくと表明した ことに関連し、①これによって日銀の金融政策運営スタンスは従来か ら変わったのか②追加緩和の引き金になるのは何で、どのようなタイ ミングか③その際の手段は何か④長期国債の買い入れ額は最終的に どこまで拡大するのか⑤長期国債の一段の買い入れに副作用はない のか。

●三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2015年度以降(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)ユーロ圏景気は引き続き後退局面にあるが、底入れを探り始めた。 債務危機の小康状態が背景。欧州中央銀行(ECB)による3年物・ 無制限資金供給(ドラギ砲)の威力による。ただし先行きはなお不透 明。ギリシャ問題がくすぶり続け景況感の足を引っ張る。米国景気は 緩やかな回復経路。雇用改善で明るさが出てきた。ただし拡大ペース は引き続き加速しにくい。日本化という構造問題(=住宅価格下落と いう資産デフレ下の家計のバランスシート調整)が解消していない。

新興国景気はソフトランディングへ。インフレ圧力の沈静化で生 じた金融緩和余地が景気を下支える。欧州債務危機の影響(信用収縮、 外需失速)が引き続き下振れ(ハードランディング)要因。

国内景気は補正予算執行に伴う復興需要の勃興を受け、回復軌道 が持続する。超円高の一服も景況感の改善に寄与。一方、リスク要因 も山積している。予算執行率の低迷、超円高の長期化、電力制約、ア ジア経済の落ち込み、社会保障・税一体改革の政局混迷による停滞な ど。物価はデフレ・ギャップの残存を背景に2013年度中にかけて軟調 に推移。デフレ脱却は14年度以降に後ずれ。

13)①今のところは変わっていない。白川総裁は当初、『言葉が(理 解から目途に)変わっても政策が変わるわけではない』とくぎを刺し た。つまり、『マネーの量を増やせば物価は上がる』というマネタリ ストに転身したわけではない。『金融政策だけでデフレ脱却はできな い』『マネーと物価との関係は単純ではない』という従来の信念を依 然堅持している。ただし、先行きは事実上、変わってゆくかもしれな い。

ある程度能動的なマネー供給(姿勢)が、今回のように市場のリ フレ期待を多少なりとも喚起できるのであれば、アンチ・マネタリス トという主義信条をひとまず脇に置き、アナウンスメント効果狙いと 割り切って、資金供給をたんたんと拡大していく可能性がある。そう することで日銀法改正などの政治圧力をかわせるのであれば御の字 だ、との組織防衛本能からくる打算も働くようになるだろう。

②「中長期的な物価安定の目途(ゴール)=CPI・1%」への 到達を遅らせる要因。具体的には円高/株安、それを誘発しかねない 米連邦準備制度理事会(FRB)の追加緩和(姿勢)など。③「資産 買い入れ等基金」の増額、対象資産は利付国債、国庫短期証券が基本 線だろう。利付国債で札割れ続出が見込まれる場合には残存年を長期 化させる可能性がある。信用リスク・プレミアムが拡大する場面にな れば、コマーシャル・ペーパー(CP)・社債などリスク性資産も検 討。

④日銀は買い入れ額のゴールを決めていない。決めたのは「CP I=1%が見通せるような情勢になるまで」という時間軸。とすると、 それが見通せない限り無制限ということに。ただし実務的には、「買 い入れ枠=19兆円」をもう1度くらい(例えば5兆円)拡大するか もしれないが、基本的には維持(期限延長)しながら、償還によって 空いた枠で買い入れを継続していく、という形になるのではないか。

⑤中期債相場を中心に債券バブルを助長する。買い入れ対象の残 存年数を長期債まで延ばせば、財政ファイナンス(=財政規律の喪失) 懸念や財政インフレ懸念を助長する。いずれも可能性。

●SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト 1)今回会合 :現状維持、成長基盤の強化支援策の期限延長を決 定

2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2014年度以降(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)国内指標の1月分では生産がタイ洪水の影響一巡と挽回生産によ り前月比+2.0%と2カ月連続プラスとなったが、輸出は中華圏の旧正 月要因で減少。一方で、消費はエコカー補助金復活の追い風で自動車 販売が好調、年末要因はく落後も底堅い小売売上高と意外にもしっか り持続。ただし、設備投資は出荷統計が大きく落ち込んだ。1-3月 期は生産、消費面に明るさが見えているが、現時点では旧正月要因は く落後の輸出が明確に持ち直したことは確認できていない。

また、もたつき感のある設備投資の方向性もよくわからないまま である。10-12月期の法人企業統計で、中堅・中小非製造業の設備 投資が急回復したのは特異な動きと思われる。しかし、この統計を踏 まえて実質国内総生産(GDP)2次統計の設備投資は大幅上方修正 となるため、設備投資の実勢が一段と見極め難いものになったと言え よう。生産統計の季節調整の歪みも考え合わせると、1-3月期は4 -6月期と均して判断すべきと筆者は考える。

一方で、1月の全国コアCPIは前年同月比▲0.1%と4カ月連 続のマイナス。足元の原油高がCPI石油製品に反映されるのは3月 以降となり、その後は公共料金の値上げに波及していくことが見込ま れる。足元のイラン情勢の緊迫化は、一時的な供給ショック懸念と受 け止められるが、今後の国際商品市況次第では、コアCPIのプラス が定着する時期が早まる可能性も否定はできない。4月27日発表の 日銀展望レポートでの最大の注目点は、国際商品市況の見方と物価見 通しの修正度合いとなりそうだ。

米国では1-3月期は暖冬もプラスに作用し、堅調な推移を続け ている。しかし、時間当たり賃金の前年比鈍化や長期間失業者が依然 多いという構造的な弱さは簡単には変わらない。また春先まではリー マンショック後の季節調整の歪みによる押し上げの可能性も残って いる。バーナンキ議長の議会証言では、足元の原油高についてインフ レ動向だけでなく、実質購買力低下による景気下振れへの懸念を指摘 した。市場の米景気回復期待および量的緩和第3弾(QE3)観測の 後退に比べると、年前半(特に6月FOMC)のQE3の可能性はま だ残るとみている。

欧州ではギリシャの第2次支援合意と欧州中央銀行(ECB)3 年オペ第2弾の実施により、市場の過度な緊張感はかなり和らいだ。 しかし、引き続きギリシャのデフォルト懸念は払しょくできておらず、 4月に予定されるギリシャ総選挙、フランス大統領選挙によっては、 これまでの枠組み自体の修正も余儀なくされるリスクがある。欧州ソ ブリン問題の解決は長期戦であることは変わらない。統計ではマイン ド指数が改善を見せているが、欧州の金融機関の自己資本増強の期限 である6月末に向けて、デバレッジの動きが経済にじわじわと悪影響 を及ぼす可能性は残っており、慎重にみておきたい。

13)①2月会合で事実上のインフレ目標導入および追加緩和決定後も 白川総裁は何度も国会に呼ばれ、デフレ脱却に取り組む姿勢を問われ た。2月29日には「物価上昇率を引き上げるという要素を内に秘め た能動的な政策」と発言し、緩和姿勢の本気度をアピールしている。 従来から180度転換したとまでは言い切れないが、今後も強力な緩和 姿勢を示し続けることが見込まれる。よって、いつ追加緩和があって もおかしくない状況が続くことになりそうだ。

②日銀にとって次なる重要イベントは4月27日発表の展望リポ ートである。4月にはボードメンバーの入れ替わりもあり、新規メン バーで確認する「中長期的な物価安定の目途」、そして13年度まで の経済・物価見通しを示すタイミングで、追加策を講じる可能性は十 分にあるだろう。③追加緩和のオプションは引き続き資産買い入れ等 基金の増額がメインで、対象資産の優先順位が高いのは長期国債(対 象年限は2年以下で変わらず)と予想する。

④資産買入等基金の長期国債の買い入れ額の上限はなく、極論す れば対象年限の発行残高まで可能との言い方はできる。財政規律の信 認を損なわないために、対象年限の長期化は手をつけることなく、現 条件のままでたんたんと買い入れ額を増やしていく可能性すらある。 ⑤副作用を出さないために、買い入れを増額しつつも対象年限の条件 を変えないという道を選ぶように思われる。

●みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト 1)今回会合 :現状維持(全員一致) 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2014年7-9月以降(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)輸出・生産を軸とする国内景気は、足元で「踊り場」的な状況に ある。しかし、自動車の増産・国内販売増加による下支え、タイ大洪 水による供給制約の段階的解消、4-6月期を中心とする3次補正計 上の公共事業の効果、米国・中国を軸とする世界経済全体の拡大持続、 さらに為替相場の円安方向の動きなどを背景に、腰折れは回避され、 輸出主導の緩やかな景気回復が再開すると予想している。

回復再開の時期は年後半とみていたが、もっと早くなる可能性が 増している。一方、物価については、人口動態と過剰供給構造から、 慢性デフレの状態が続いており、原油価格高騰では根本部分は覆らな いとみている。

13)①基本線は変わっていない(政治圧力に屈して突然動くという点 を含め)。②為替相場の円高を中心とする市場変動と、政治圧力の2 つ。タイミングは事前にはつかみにくいが、解散総選挙が年内にある 場合、その後にできる内閣の布陣・対日銀スタンスが、大いに注目さ れる。③基金の増額(長期国債買入れの積み増しが軸)。④政治次第 だとしか言いようがない。⑤財政規律弛緩、日銀という組織および日 銀券に対する信認の低下など、副作用・弊害が潜在的にきわめて大き い。

●東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持、成長基盤強化策の期間延長 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2015年後半以降(2015年前半) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)中国政府は今年の成長目標を7.5%に引き下げたが、実際の成長 率は8%台と予想する声が中国のエコノミストの間では多い(従来、 この目標は余裕を持って実現見通しよりも低めに示されてきた)。欧 州経済には不確実性が伴っているが、欧州当局はハードランディング は回避する対策を今後もとっていくだろう。米国経済は回復を示す経 済指標が続いているが、ガソリン価格上昇の消費へのダメージを避け るため中東の緊張を和らげる必要がある。

現時点では日銀が1月の展望リポート中間レビューで示した中 心シナリオ、緩やかな回復傾向は維持されており、日銀は今月の会合 で景気判断を基本的に変更しないだろう。

13)①経済へのダウンサイドリスクが高まっていないときでも、イン フレ率が「目途」に達しない間は追加緩和を選択することがある、と いうスタンスに転換した。②従来の日銀のコミュニケーション政策は 2月会合で崩壊した。資産買い入れ等基金の拡大とインフレ率の関係 は不明瞭であり、現時点では追加緩和策発動の条件は不明。日銀はコ ミュニケーション政策を再構築する必要がある。

ただし、日銀にとって2月上旬に経験した国会における激しい日 銀批判はトラウマになっている。批判が高まる気配が出そうなときに は組織防衛上、一歩早めに緩和策を決めようとすると思われる。③基 本的には基金の拡大。長期国債以外の資産を増やす局面もあり得るが、 それらの金額は大きくならないため、長期国債増額が中心になりやす い。買入年限を2年から5年に延ばすことには日銀内に慎重論がある だろうが、半年前に比べればその抵抗感は弱くなっていると思われる。

④基金の長期国債買入目標は、今後の政治との関係、FRBの追 加緩和策の動きなどによる為替動向などの変数に影響されるが、現在 の目標プラス数十兆円。ただし、国債価格が急落する局面があれば、 その限りではなく、際元なく増加していく。

⑤国債の需給関係が悪化して価格が急落する事態になったとき、 日銀が市場のショックを和らげるために迅速に買い支えることが必 要な局面はある。しかし、マネタイゼーションの印象を市場に醸しだ すような国債の買い入れは危険だ。現在の国債買い入れはその微妙な 境界線にいるが、長期金利を低下させたことで、財政赤字の維持可能 性に対する議会、世論の危機感が高まらないという問題も招いている。

英国のように政府が大胆な歳出削減策を強力に推し進める一方 で、中央銀行は緩和策を行って経済をサポートする姿勢を見せる、と いうパッケージならば健全だが、日本の場合は危うい(FRBの国債 買入れも米国で同様の問題を起こしている)。さらに、金融政策の効 果に過剰な期待を世論に抱かせてしまい、日本企業の競争力向上など の本来必要な成長戦略の議論が軽視されやすくなる点も懸念される。 また日本の場合、中央銀行が国債売却オペを行うことは現実難しいた め、将来の金融政策の正常化過程において困難が生じるという問題も ある。

●JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2015年以降 4)12年3月末 :0.00%-0.10% 5)12年6月末 :0.00%-0.10% 6)12年9月末 :0.00%-0.10% 7)12年12月末 :0.00%-0.10% 8)13年3月末 :0.00%-0.10% 9)13年6月末 :0.00%-0.10% 10)13年9月末 :0.00%-0.10% 11)13年12月末 :0.00%-0.10%

12)グローバル経済は引き続き回復基調にある。マイナス材料は米国 個人消費が昨年末より減速していることに加え、中国経済の停滞(と いっても7%台の成長だが)、とくに住宅建設の落ち込みと建設関連 での操業度低下。一方、プラス材料は米国の住宅投資に薄明かりが見 え始めたこと、欧州のマイナス成長が軽度に止まりそうな点。さらに は、アジアで韓国、台湾で輸出中心に製造業が立ち直りつつあること。 全体を均してみると、強弱材料が見られるものの、グローバルPMI が示すように、回復傾向が次第に鮮明になりつつある。

その背景としては、主要中銀による強力な金融緩和により、最悪 シナリオである欧州発の金融危機が少なくとも当面は封印されるこ とがほぼ明らかになったことから、投資家のリスクテイク意欲が回復 し、資産価格上昇と実体経済改善の好循環が見られるようになった点 を指摘可能。今後は中国経済がインフレ率低下を背景とする預金準備 率引下げなどの金融緩和措置により、年央までには景気回復が本格化 するとみられ、世界経済の追加的なけん引力となることが期待される。

この間、最大のリスク要因は原油価格。とくに、イランをめぐる 地政学的リスクが顕現化すると、原油価格が急騰して世界経済の回復 傾向が腰折れする可能性がある。もっとも、中期的には足元の世界経 済の回復は「中央銀行の保険(central banks put)」による「つか の間の回復」の側面も否定できず、中央銀行が時間を買っている間に、 構造問題、具体的には、欧州の財政統合、先進国の財政赤字削減と成 長戦略が確立されないと、景気回復の持続性には疑問が残る。

13)①少なくとも海外の市場参加者の多くは「日銀は事実上の物価目 標を公式に設定したのだから、今後日銀はデフレ脱却を目指し、従来 以上に積極的な金融緩和を進める」と解釈しているので、日銀が海外 投資家の期待を裏切るようになると円高、株安の圧力が高まる。日銀 はこのことを十分に認識しているので、日銀にとって今後の選択肢は 「一段の金融緩和」しか残されていない。したがって答えは「イエス」。

②3月の決定会合は現状維持となろうが、声明文または白川総裁 の記者会見で、何らかの追加緩和のシグナルが発せられる可能性は残 されている。日銀は市場との対話に力を入れてくるだろう。円高圧力 が再び高まる局面では、財務省による市場介入ではなく、今回予想以 上の円安に導いた日銀による金融追加緩和への期待が高まろう。

さらに、最近は「主要中銀による金融緩和競争」が開始された感 があるので、ECBの再度のLTROやFRBの一段の金融緩和が実 施されると、日銀は円高を回避するためには好むと好まざるとに拘わ らず、追加緩和せざるをえないであろう。「政策決定に関するゲーム のルールが変わった」と考えるべきだろう。

③第1は市場との対話を通じる緩和方向へのメッセージ、第2は 基金で買い入れる国債の年限延長(2年→5年)、第3は基金の拡大 (ただし次回の国債購入の増額発表時には目標残高達成時期を13年 6月に延長するだろう)。④日銀は基金を導入した10年10月以降4 回の基金増額を実施した。4カ月に1回の割合だ。このペースで今後 も基金を拡大すると、12年中の国債購入増額幅を20兆円(増額後の 規模は39兆円)、また13年中の同増額幅を30兆円(同69兆円)と 予測する。

⑤主要国の国債利回りが低下すると、世界的に資産価格が上昇し やすくなり、何らかの資産バブルを引き起こす可能性があるほか、政 府の利払い負担を軽減する結果、(特に日本では)政府の財政規律が 緩む可能性もある。後世の歴史家からは「日銀は(国債の大量購入を 通じ)国債バブルの膨張を支援した」と評価されるかもしれない。さ らには、中央銀行のバランスシートを拡大すると、将来の金融引き締 めが遅れ、出口政策が困難化する可能性もある。

●第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2015年以降(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)消費者物価は原油価格の上昇をじわじわ受けて、当面は横ばいを 続けそう。12年度+0.1%になる公算は景気回復の浮揚力次第。現在、 景気底入れのシグナルは出ているが、力強さはまだない。消費者物価 1%は当分先だろう。

13)①日銀は政治的にプレッシャーを受けやすくなった。白川総裁は 任期の期間を念頭に置き、12年末までの緩和を否定しないだろう。 ②引き金は円高の急伸。大型の企業破たん。③長期国債の買い入れ(基 金)。④分からない。⑤12年末までに残存期間2年で買う限り、副 作用はない。

●BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2014年1-3月以降(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)製造業のグローバルサイクルは昨年末から回復が始まっている。 日本も月次ベースのデータを見れば、輸出・生産は昨年11月を底に 緩やかながらも持ち直しに転じており、足元で既に「踊り場」を脱し つつある。自治体レベルでの計画の遅れや建設業での人手不足などで 遅れていた復興関連の公共事業も1-3月からは成長に寄与してく る可能性が高い。

個人消費や設備投資などの国内民間最終需要に関しては、震災を 受けたペントアップ・ディマンドの顕在化による押上効果が徐々に薄 れていくと予想されるが、一方、輸出の持ち直しと公的部門の復興需 要の増加により、企業部門の収益が回復し、家計部門でも雇用所得環 境の改善が見込まれるため、当面緩やかながらも循環的な回復傾向が 続くことが予想される。今後、「脱・踊り場」が徐々に明確になって くるだろう。

懸念材料は米国を中心に世界中の中央銀行が金融緩和に踏み切 り、それが原油などコモディティ価格の高騰をもたらすこと。米国の 追加緩和はドル安をもたらすが、自国通貨の上昇を恐れ、各国先進国 が米国の金融緩和に追随する可能性がある。コモディティはますます 金融商品化しており、資金が流れ込めば、多くの先進国にとり、家計 部門の実質購買力が損なわれ、ただでさえ緩慢な景気回復を遮断させ る要因となり得る。これが年央以降の最大の懸念材料。

13)①あまり変わっていない。②米国のアグレッシブな金融緩和がも たらす急激なドル安・円高の進展。③資産買い入れ基金の拡大。④公 的債務残高が相当に膨らんでしまったため、アグレッシブな金融政策 で対応すると、名目金利の上昇によって公的債務の発散過程が始まる リスクもある。国債の大量購入で対応する場合でも、それがマネタイ ゼーションと受け止められれば、メリットよりデメリットの方が明ら かに大きくなる恐れがある。

⑤日本経済が停滞しているのは、(1)少子高齢化に伴う働き手の 減少でトレンド成長率そのものが低下していること、(2)社会保障制 度の持続可能性に対する疑念から現役世代が消費を抑制しているこ と、(3)財政赤字拡大で民間の貯蓄が食い潰され、設備投資が抑制さ れていることなど、構造問題が主な原因である。日銀が政策目標とし て「物価安定」が与えられている以上、これらの構造問題や円高が引 き起こすデフレ圧力を可能な限り吸収することは日銀の責務である が、構造問題の解決そのものは、金融政策で対応できるわけではない。

また、民間の資本蓄積が滞っている主因は財政赤字の膨張にある が、ゼロ金利政策や国債購入政策の長期化・固定化が、銀行行動を通 じ、財政赤字のスムーズなファイナンスを可能にすることで、間接的 だが、金融政策もトレンド成長率の回復を阻害している可能性がある。 大きなデフレショックが訪れた際には金融政策で対応しなければな らないが、そもそも政策を長期化・固定化させることの副作用は無視 し得ないし、またショックが小さい場合、安易な追加緩和も不適切。

●モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミスト 1)今回会合 :金融緩和の強化(資産買い入れ基金の拡充) 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2014年4-6月以降(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)世界経済の見通しは先進各国の政策対応進展を受け、昨年末時点 との比較でやや明るさが見られる。米国では給与税減税等の財政刺激 策が本年末まで延長され、財政要因による下振れリスクは少なくとも 今年に関しては大きく後退した。また量的緩和第3弾への期待もあり 資産市場は堅調に推移し、実体経済にプラスの影響も期待される。

欧州ではECBの長期資金供給を契機に市場の極度のリスク回 避姿勢に修正が入り、ソブリン問題はとりあえず一息ついた形。また、 日本では10-12月期の設備投資が一時的にせよ復興需要等で大幅に 持ち直したほか、1-3月期の鉱工業生産も堅調推移が見込まれるな ど、踊り場脱却の兆しも見受けられる。4-6月期以降に復興需要が 本格化すると内需もやや明るさを取り戻すことが期待される。

最大のリスク要因は地政学的リスク等による原油価格上昇。原油 価格は足元騰勢を強め、前回世界経済が減速に転じた07年末ころの 水準を超えているだけに、その動向には最大限の注意を払う必要があ る。

13)①単に物価安定の「理解」を「目途」と言い換えたのではなく、それ 以上の意味がある可能性がある。すなわち、消費者物価上昇率1%を 目指し、間断なく次の一手を打ち続ける可能性がある。最終的には、 それがマネタリーベースや日銀バランスシートの拡大につながるこ とが重要。②追加緩和に引き金は特に不要。景気回復支援及び物価安 定の目途達成のための追加であり、現状の緩和度合いが不足すると判 断すれば遅滞なく次の手を打とう。タイミング的には3月以降の毎回 の会合で緩和のチャンスがある。

③資産買い入れ基金の拡充。具体的には(1)国債の買い入れ年限 (現行2年まで)の延長(例えば3年まで)、(2)リスク資産(例えばET F)の買い入れ限度(現行1.4兆円)の増枠、(3)買い入れ資産の多様化 (例えば外債や不動産信託受益証券等)。上記のうち(1)は2年債の流 動性が不足したり日銀によるスクィーズが生じる場合に備え、買い入 れ対象となる国債の年限を延長するもの。債券市場は延長の可能性を 織り込み、既に中長期ゾーンにも金利低下影響が及んでいる。

(2)は市場残高及び流動性の観点から不動産投資信託(J-RE IT)の買い入れ増額よりは可能性があろう。(3)は効果的だがハー ドルはまだ高そうだ。外債購入は財務省の認可取得が前提となるが、 通貨政策の権限も絡み調整には時間を要しよう。不動産信託受益証券 は不動産を買い入れるよりは現実的だが、これも中央銀行の政策手段 として前例がないため、直ちに実現する性質のものではなかろう。

④一時的であれば40-50兆円規模に拡大することもあり得る。 ⑤財政規律なき国債買い入れには副作用としてリスク・プレミアムの 拡大等が生じうるが、政府は財政規律を重視していることから、国債 買い入れ拡大は有効なポリシーミックス。

●東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :可能性あるが時期の特定困難 3)利上げ時期 :2015年1-3月(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)見通しに変化はない。エコカー補助金の復活などはあるものの、 今後基本的に内需で期待できるのは復興需要関連に限られる。外需は 米国の足元の経済指標はどちらかと言えば好調だ。しかしバランスシ ート調整は依然続いており、その中での循環的な上下動に過ぎない。 「楽観」の次に訪れるのは「悲観」であり、急激な変化はともかくパ ターン的には昨年と似た展開になると考えている。その点からはQE 3の可能性は排除できない。今年の米実質GDPの伸びは2.0%に届 かないと見ている。

欧州ではギリシャの第2次金融支援が決定し、おおむね今月の国 債償還にめどがついた。2度目が行われたECBの流動性供給は市場 に一定の安心感を与える。しかし金融機関のバランスシート調整や貸 し渋りなどは長期間に及び、それが景気の足かせになる。国民の姿勢 と政府の対応などからすればギリシャの歳出削減の実行性は乏しい。 欧州問題が再び悲観に傾くのは4月以降と考えている。今年のユーロ 圏の実質成長率は1.0%程度のマイナスを予想している。以上からわ が国の来年度の実質成長率は1.0%台後半のプラスと見ている。

13)①基本的には変わっていない。②円高、株安。円高におけるタイ ミングを指摘するのは難しいが、再び1ドル=70円台に入り円高の トレンドが感じられた時は動かざるを得ないだろう。また、2月14 日の決定を受けて政治圧力に屈しやすくなった印象がある。③現行条 件での「資産買い入れ等の基金」における国債買い入れ増額は限界に 来ていよう。今後は増額に加えて、年限の長期化、具体的には、「現 状の1-2年から1-5年に伸ばす」をメインの手段として想定して いる。

④③の回答を前提にすれば、「基金」で10兆円程度の増額は可 能と考える。⑤国債市場の流動性を奪う、円滑な資金オペレーション の足かせになる、財政ファイナンスの指摘が強まるなどが副作用に挙 げられる。

●クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト 1)今回会合 :追加緩和(資産買入等基金買入残高の5兆円増額 等) 2)利下げ時期 :2012年7-8月(2012年4-6月) 3)利上げ時期 :2015年以降(2015年度以降) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(0.00%-0.05%) 6)12年9月末 :0.00%-0.05%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.05%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.05%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.05%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.05%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.05%(同)

12)地政学リスクが高まる中、原油高、ガソリン高となっており、米 国経済、欧州経済では、4月以降、雇用鈍化、消費鈍化へ。米国の完 全失業率は4月ころまで低下傾向、5月から8月にかけて再上昇。世 界的な生産循環は4月ころまでは回復、5月以降、夏場にかけては調 整局面。世界景気のモメンタムは5月ころまで上向き、6月から9月 頃にかけて下向き。日本経済はこうした外需循環に沿った動き。世界 的に総合CPIでみたインフレ率は再加速へ(日本も)。一方で、食 料・エネルギーを除いたCPIは安定した動きを継続へ。

13)①中長期的な物価安定の目途によって政策運営が変わるのではな い。さまざまな理由から(政治圧力の高まりの下での組織防衛も含む) 短期的には(向こう1年程度)金融緩和を拡大すべきである、と判断 したので、「目途」を導入したのである。因果関係は逆である。日銀 の政策運営は当面は為替レートターゲッティングである。1ドル=80 -85円での為替相場がターゲットとなっており、ドル80円割れは許 容しない。このため80円割れリスクが高まれば、緩和を追加する。

②ドル円レートの80円割れ、ないしその確率が高まること。③ 基本は資産買い入れ等の基金の残高の引き上げ。また、そのためには オペ札割れを回避する必要があり、応札状況に応じて資金供給年限の 延長も。ラストリゾートは長期国債買切りオペの増額と政策金利誘導 目標の引き下げ。

④基金での買取額は現状の年限設定は19兆円が限界。年限を2 年超4年未満程度まで延長すれば、5兆円程度積み増し。⑤当面の政 策効果としてはドルの80円割れ回避である。しかし国債購入の増加 が広く国民から、「日銀が財政赤字をほとんどマネタイズしている」 という評価を受けた場合、円の信認が低下し、貯蓄の海外流出を招く リスクがある。

●信州大学の真壁昭夫経済学部教授 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :当面なし、世界的混乱あれば引き下げの可能性も 3)利上げ時期 :2015年初以降(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)米国経済は引き続き緩やかに回復している。FRBによる超緩和 金融政策の効果が少しずつ顕在化しており、フロー面の経済活動は今 後も回復基調をたどるとみる。ただし、ストック面での調整は完全に 終わっていない。時間を要するはずだ。一方、イラン情勢の不透明感 の高まりを受けて原油価格が上昇しており、目先はCPIが上振れ気 味に推移する可能性が高まっている。

カネ余りの影響もあり、投機マネーが原油等の商品市況に流入し やすい地合いは続くだろう。そうなると、ガソリン価格の上昇などを 通して物価上昇リスクが高い。これは米国の個人消費を圧迫するファ クターとなるはずだ。ECBによるLTROもあり、ユーロ圏の信用 不安問題は取りあえず小康状態を保っている。

ただギリシャの債務問題は片付いていない。ギリシャのPSIい かんでは再度リスク資産が大きく調整する可能性があるだろう。今後 さまざまなところで問題が顕在化することだろう。ドイツの経済は堅 調な展開が続くだろうが、南欧諸国の景気は厳しい状況が続くと見る。 欧州では失業率の上昇など景気後退リスクが高まっている。それに伴 い、株式などの金融市場にも波乱が発生する可能性は高いと予想する。

基本的にLTROはユーロ圏が抱える本源的な問題の解決には ならない。金融システム維持のため、ECBは今後も流動性供給を余 儀なくされるだろう。引き続き、ソブリンリスクの問題は、世界経済 の先行きに大きく影響すると考えられる。

新興国経済は相対的に堅調であるものの、その成長見通しは不透 明感が高まっている。原油価格の上昇、先進国の超緩和的な金融政策 により、足元のインフレリスクも上昇している。それは予想を超える 中国の2月のCPIからも読み取れるだろう。中国の全人代で示され た成長率は7.5%と、従来のレベルよりも低い。これは、今後、中国 の政府が難しい経済政策運営を余儀なくされる証拠とも考えられる。

わが国の景気は引き続き緩やかな回復過程にある。前回の追加決 定以降、円安、株高が進んでおり、足元の景況感はやや改善傾向にあ ると考えられる。物価動向に関しては、原油価格の上昇が、いずれイ ンフレ期待を高めると考えられるものの、当面は、持続的に物価が上 昇するシナリオは考えづらい。

13)①先月の追加緩和はFRBの時間軸強化、物価目標の導入を追随 したもので、日銀の政策スタンスは基本的に大きく変化していないと みている。②追加緩和の引き金になるのは、欧州のソブリンリスクだ ろう。ユーロ圏の信用不安問題などが顕在化し、金融市場が混乱した りするケースだろう。ただ、米国がQE3を発動することになると、 日銀も、それなりの措置を取ることになると予想する。

③追加緩和の手段は取りあえず資産買い入れ基金の増額を中心 に検討することになるだろう。④長期国債の買い入れ額がどの程度に なるか、現時点での予測は困難だ。その時点の金融市場や経済状況に よるが、恐らく数千億円単位で増額することになるとみる。

⑤まず長期国債の買い入れ増額の効果に疑問符が付く。短期的に は金融市場にインパクトを与えることになるだろうが、問題はその持 続性だ。持続性に期待できない政策を今後も日銀が続けることの意味 は小さいだろう。また主要国が一斉に金融緩和策を実施しており、潤 沢な流動性が原油や穀物などの市場でバブルを作ることも考えられ る。それは長い目で見ると正常な経済活動を阻害することが懸念され る。

●野村証券の松沢中チーフストラテジスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2014年7-9月にレンジ停止(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)米国指標は景気の再加速を示しているが、市場は①原油高の影響 が出てくる、②季節調整の歪みが取れ、4月以降の指標は下振れる、 ③年末には減税が切れるが、大統領選前に追加財政は打てない、との 見方から、景気慎重論を崩していない。おそらく同様な理由から、F RB主流派も景気見通しに慎重で、追加緩和への意思が強いことを示 している。日本は生産統計が上振れ、国内の成長率は上方修正含み。 追加緩和への意思はFRBほどは強くない。

13)①1%達成への意思が強いことは示したが、その手段について何 かアイデアがあるわけではないだろう。基金による国債買い取り増額 が現実的な策だが、例えばインランド銀行(BOE)のようにいくら 買い増せば1%を達成できるかは示していないし、示すことは難しい だろう。②国内は復興需要で景気指標が当面上振れしやすいので、引 き続き為替や株式市場の動向に受動的な政策運営スタンスになりそ う。

③基金による国債買い取り増額。対象年限長期化は新たな政策変 更と言うよりも、すでに前会合の国債買い取り10兆円追加を実施す る流れにおいて自然と出てくると見ている。④増額はメインシナリオ ではない。⑤債券価格にミスプライス(買われ過ぎ)が発生、緩和打 ち止め感が出たところで急落するリスクがある。程度の差はあれ03 年に近い。

●シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2014年10-12月(同) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)欧州では合計1兆ユーロに及ぶ3年物LTROの実施を受けて、 金融市場、特にインターバンク市場の緊張が緩和している。この点が、 銀行の融資姿勢のタイト化を防ぐことを通じて、実体経済に対しても 安定化効果を与える可能性が高い。

米国景気は底堅さを維持しているが、GDP成長率は昨年10- 12月期の年率3.0%が当面のピークになると予想される。景気鈍化の 背景としては、①在庫投資の押し上げ効果一巡②ガソリン価格上昇に 伴う個人消費への下押し効果③2月まで続いた好天候の押し上げ効 果の剥落、等が指摘できる。米国景気指標が傾向的に市場予想を上振 る局面は一巡した公算が大きい。

季節調整の歪みもあり、国内景気(特に生産)の基調は極めて読 みにくいが、足許は、輸出が低調に推移する下、景気は引き続き、足 踏み傾向にあると判断される。ただ、春以降は、①欧州景気の安定化 や中国景気の再加速を背景とする輸出の持ち直し②情報関連需要の 底打ち・反転③復旧・復興需要の顕在化、を背景に、成長ペースは緩 やかに持ち直していくと予想される。

13)①コミュニケーションの明晰性は高まったが、実際の政策運営ス タンスが従来から変化したと考えるのは早計であろう。金融政策で達 成し得ることには限界があるという日銀の本音は、「物価安定の目途」 を英語では「price stability goal(目標)」と表現しながらも、日 本語ではより意味合いの弱い「目途(guideの意)」としていること からも垣間見える。

②追加緩和のきっかけは、米FRBによる追加緩和を背景とする 政治的圧力、もしくは円高圧力の再燃であろう。ただ、FRBは当面、 様子見姿勢を維持するとみられ、このため、日銀の追加緩和も6月以 降と予想される。③資産買い入れ等基金の下で買入れ対象国債の年限 を長期化することが想定される。国債買い入れの規模がさらに膨らむ ことを避けるため、基金は増額せずに、年限だけを長期化することも 一案かもしれない。

④13年に入って、基金の下での国債買い入れを停止したり、買 い入れペースを大幅に鈍化させることは現実的には困難なように思 われる。このため、基金での国債買入れ規模はさらに膨らみ、13年 末には30兆円程度に達する可能性があろう。⑤財政再建に関する金 融市場のシグナルを消すことで財政規律の緩みを促進する副作用が 想定される。

●バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジスト 1)今回会合 :現状維持 2)利下げ時期 :なし 3)利上げ時期 :2015年以降(2014年以降) 4)12年3月末 :0.00%-0.10%(同) 5)12年6月末 :0.00%-0.10%(同) 6)12年9月末 :0.00%-0.10%(同) 7)12年12月末 :0.00%-0.10%(同) 8)13年3月末 :0.00%-0.10%(同) 9)13年6月末 :0.00%-0.10%(同) 10)13年9月末 :0.00%-0.10%(同) 11)13年12月末 :0.00%-0.10%(同)

12)生産動向などは底堅さを増しているが、米国の製造業関連指標が 1月まで予想以上の改善傾向を示していたのに対して、ややペースは 緩慢な印象。中国の景気動向が旧正月要因もあってややつかみにくく なっており、指標面で景気モメンタムを測るには3月データの発表を 待つ必要があるだろう。ただ、復興関連支出が遅れていることは、逆 に来年度入り後には反動で活発化も見込まれ、景気全体の後押し材料 となってくるだろう。

インフレ動向に関しては、原油の高騰以外にも非鉄など国際商品 市況が昨年末を底に反転局面に入っており、川上からの物価上昇圧力 が徐々に強まりつつある。かつ為替トレンドの反転もある。川下物価 への影響には当然ラグがあるとはいえ、デフレ圧力の緩和に一定の効 果をもたらしてくるはずである。一方、円高メリットの消失という点 も、中期的にはテーマになってくるだろう。

13)①実質的には1%のターゲット政策はこれまでも採られていたの で、根本的な政策スタンスが変わるとまでは思えない。実際に1%の ターゲットに到達した時点での為替水準、経済成長率からさらに高い インフレ目標を掲げるかどうかが問題になってくる。

②ひとえに米国のQE3実施の可能性に左右される。そのQE3 自体は、このところの米国の景気状況の改善を受けて、早期に実施さ れる可能性は低下しているように見える。FRBはバランスシート維 持のために結果的に6月以降も何らかの資産購入オペレーションを 継続する可能性はあるが、日銀のバランスシートは2月の追加緩和を 受けて6月以降もまだ拡大を続ける。単にQE3の実施いかんという だけでなく、QE3の内容が日銀の追加緩和の可能性に影響する。

③追加緩和を行うとすれば、いよいよ資産買入の国債購入年限の 長期化だろう。④フローベースの買入額は長期的に見れば買入年限に も左右されるが、13年前半に既購入分の償還見合いの追加購入にプ ラスアルファーでバランスシートをもう少し拡大する方向に動くの ではないか。⑤短期債市場の機能低下という意味では既に副作用が生 じているが、経済全体への影響が出るようなことは当面ないだろう。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE