【コラム】闇に潜む日本の監査法人に一条の光届くか-ワイル

米国の上場企業の監査を監督する企 業会計監督委員会(PCAOB)は通常、監査法人やその顧客企業の恥 ずべき秘密を守る役割を完璧に果たしている。しかし幸運なことに、そ の監督機関も時々しくじることがある。

米4大会計事務所の一つ、プライスウォーターハウスクーパースの 日本の関連法人、京都監査法人のケースを見てみよう。PCAOBが2 月14日に京都監査法人に対する初の業務調査報告書を発表した。

同報告書は、PCAOBのスタッフが同法人の顧客企業2社に対す る監査を調べた結果、重大な問題があったと指摘した。「監査報告をま とめた時点で、財務報告に盛り込まれた見解を裏付ける十分な証拠を京 都監査法人は取得していなかった」というのだ。言い換えれば、当該企 業の帳簿がひどく間違っていたかもしれないし、そのことを監査法人が 知らなかった可能性もあるということになる。

一体その2社とはどこなのか?PCAOB報告はそれを明らかにし ていないし、明かさないことを長年の方針としている。しかし、今回は まれなケースで、それらの企業を特定するのは難しいことではない。

なぜなら、京都監査法人が顧客としている企業で米国預託証券 (ADR)を発行しているのは京セラ日本電産の2社だけだからだ。 秘密はばれてしまった。2社と京都監査法人にとっては知られたくなっ たであろうことは疑う余地がない。

投資家の信用

昨年、アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)とKPMGの日本法 人が監査していたオリンパスで不正経理が明るみに出て以降、投資家に とって、日本の製造業に対して監査法人がいい加減な監査を行ったかど うかの情報を得ること以上に重要なことはほとんどなくなってしまっ た。もし投資家が監査を信用できなくなったら、発表される数字など信 じられなくなってしまうだろう。

PCAOBは2010年12月と11年1月に京都監査法人の調査を実施し た。そこで彼らが発見した欠陥は「収入に関して適切で実質的な会計分 析が行われていなかった」という点だ。

また調査報告は、「疑わしい支出」と「在庫評価」に対して京都監 査が十分な監査手続きを講じていなかったとしている。報告書はそれ以 上の詳細には触れていないが、平たく言えば、京都監査は売上高が正確 かどうか、さらに在庫価値が簿価通りかをきちんとチェックしていなか ったということだ。

変更の必要なし

京都監査法人のマネジング・パートナー、松永幸廣氏は顧客企業の 監査について論評を拒否した。同社は昨年10月24日付で取締役会にあて た書簡で、PCAOBの指摘を受けて追加監査を行ったことを明らかに した。そして、「追加監査の結果、監査報告および当該企業の財務報告 に変更を加える必要はなかった」としている。

PCAOBのスポークスマン、コリーン・ブレナン氏もコメントを 拒否した。日本電産の広報担当者も同様。

京セラの広報担当、ジュダ・レイノルズ氏は、会社としては京都監 査法人の監査について「業務の質を信頼している」と述べるとともに、 京セラの最終財務報告に関しても「質は高く、あらゆる関連法規を順守 している」と語った。PCAOBの調査報告についてはコメントしなか った。

業界の擁護者

プライスウォーターハウスクーパースは京都監査法人を「協力企 業」と位置付けている。自社のグローバルネットワークを構成する企業 とはしていないものの、京都監査はプライスウォーターハウスクーパー スの監査手法を使い、その専門知識にアクセスする権利を有している。 同社の広報担当、マイク・デービーズ氏はPCAOBの報告についてコ メントしなかった。

しかし、PCAOBが監査業界の擁護者としてのイメージを打破す るには、きちんと監督することしか道はない。まず企業名を公表するこ とから始めるべきだ。われわれにはそれを知る必要がある。 (ジョナサン・ワイル)

(ジョナサン・ワイル氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニス トです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Japanese Accounting Gets Rare Ray of Sunlight: Jonathan Weil

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