円が反発、対ドルで9カ月ぶり安値も82円届かず-ユーロは下落

東京外国為替市場では円が反発。米 国の景気回復期待や日本の経常収支悪化懸念を背景に円は対ドルで一時 約9カ月ぶり安値に並んだが、1ドル=82円ちょうどの節目には届か ず、アジア株が軟調に推移する中、午後にかけては円を買い戻す動きが 強まった。

ドル・円相場は朝方に81円87銭を付け、先週末に付けた昨年5 月以来のドル高・円安水準に並んだ後、81円半ばまで円が反発。午後 にはさらにドル売り・円買いが進み、一時81円16銭を付けた。

SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、ここ までのドル・円の上昇について、「日銀が欧米と一緒になって金融緩和 競争の仲間入りしたことが評価されている一方、米国が緩和競争からか なり早めに抜け出すのではないかといった雰囲気が出てきたことが大き い」と説明。ただ、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が 低金利の継続姿勢を変えない中、一気に米利上げ観測も盛り上がりにく く、「ドル・円の上昇にはどうしてもキャップが付く」と話した。

ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨すべてに対し て前週末終値比で上昇。対ユーロでは朝方に付けた1ユーロ=108円 04銭から一時107円11銭まで値を切り上げた。

野地氏は、円の反発について、これまでの円安の「揺り戻し」が出 ているとし、日本株の下落についても、「日経平均株価は9850円がチ ャート上のポイントだったので、それを達成した戻り売りだろう」と語 った。

日米経済指標に注目

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 9日発表の2月の米雇用統計では、景気拡大に対する楽観的な見方を反 映して、雇用者数が3カ月連続で20万人を超える増加が予想されてい る。

一方、米供給管理協会(ISM)が5日発表する2月の非製造業総 合景況指数は56.2と、昨年2月以来の高水準となった1月(56.8) から低下すると見込まれている。同指数は50を上回ると活動拡大を示 す。

野地氏は、米雇用統計について、「中身をじっくり精査した上で、 やはり米国は強いという話になっていく可能性はある」とし、そうなれ ば「2014年終わり」までという米国の低金利継続の時間軸の前倒し観 測が出やすくなると予想。「今週は一にも二にも米雇用統計だ」と話し た。

また、日本では8日に1月の経常収支が発表される。三菱東京UF J銀行金融市場部の井野鉄兵アナリストは、先に発表された貿易収支の 結果から経常赤字は予想がつくが、それでも円売り材料視されてしまう 可能性があり、7日発表の米民間雇用統計の結果も含めてドルが「全勝 という形になれば、ドル・円が上に行くということもあり得る」と語っ た。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイ ル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)ではドル・円先物取引非商 業部門の円ポジション(2月28日時点)が昨年5月31日以来、初め て売り越しに転じた。また、ユーロ・ドル先物取引非商業部門のユーロ ポジションは、売り越し幅が縮小し、昨年12月6日以来の最小となっ た。

ユーロ相場

ユーロ・ドル相場は早朝に2週間ぶりの水準となる1ユーロ=

1.3181ドルまでユーロ安・ドル高が進行。その後、1.3214ドルまで 値を戻す場面も見られたが、欧州市場に向けては一段安となり、一時

1.3173ドルを付けている。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、これまでのユーロの 上昇については「史上最大にまで積み上がっていたショート(売り持 ち)」の解消という部分が大きく、「ファンダメンタルズ(経済の基礎 的諸条件)としても緊縮財政を強いられて経済が持続的な成長をするの かというとそれも難しい」と指摘。中長期的にユーロは重く、ユーロ・ ドルは「今月中にも1.3ドル割れの可能性がある」と語った。

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