首相:消費増税に執念、大局立てば「必ず合意」-解散も否定せず

野田佳彦首相は月内に法案提出する 方針の消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革の実現に執念を燃 やしている。大局に立てば与野党で「必ず合意できる」との見通しを 示した上で、法案成立前に衆院解散に踏み切る可能性も否定していな い。

首相は3日、ブルームバーグ・ニュースなどとのインタビューで、 一体改革について「政局にとらわれず大局に立つならば、必ず合意で きると思っている」と強調。4日に出演した日本テレビの番組「真相 報道バン記者!」では、増税法案成立前に解散に踏み切る可能性につ いて聞かれ、「軽々にそういう話はできない」としながらも、「やり遂 げなければいけない時にはさまざまな判断がある」とこれを否定しな かった。

政府は消費税率について、2月17日に「2014年4月に8%、15 年10月に10%」へと2段階で引き上げることを柱とする一体改革の大 綱を閣議決定。3月中に法案として国会に提出する方針を示している。 これまで政府・民主党は与野党協議を呼び掛けてきたが、自民、公明 両党はこれに応じていない。

テンプル大学(東京)のジェフ・キングストン教授は、非常に難 しいことだが、与野党が合意に至ることは不可能ではないとの見方を 示した。首相の執念が、政権担当時から消費税増税論議を進めていた 自民党をある種の奇妙な立ち位置を取る形にしていると分析している からだ。

谷垣氏

野田首相が一体改革実現に強気の姿勢を示すのは、消費税率引き 上げは、自民党の谷垣禎一総裁が財務相を務めた小泉純一郎政権時代 からその必要性を訴えてきた政策課題だからだ。谷垣氏は野党の総裁 として初めて臨んだ2010年の参院選では、消費税率の10%への引き上 げを公約に明記。当時の菅直人首相がこれを「参考にしたい」と発言 した経緯もある。

共同通信など国内主要メディアは2月25日に両氏が極秘に会談し ていたと報道しているが、首相も谷垣氏もこれを否定している。

谷垣氏は2日夜、NHKの番組「ニュースウオッチ9」に出演し、 小沢一郎民主元代表らが野田首相の消費税増税方針に反対する考えを 示していることについて「野田さんの足元は流動化しているように見 える」と指摘。その上で、「急がば回れだ。一番分かりやすい方法はも う一回、公約に掲げて国民との信頼関係をつくり直す」と述べ、消費 税増税を掲げて衆院選を実施することで政策の実現につながると主張 した。

一方、野田首相と菅前首相の政治姿勢を比較し、「菅さんはどちら かと言うと自民党と違うことをやろうというのが非常に前面に出てい たが、野田さんはある意味ではそのこだわりを捨てつつある、共通の ところは共通でやっていこうという面はなきにしもあらずだ」と評価 する姿勢も見せた。

小沢氏

これに対し、小沢氏は同日出演したテレビ東京の「週刊ニュース 新書」で、首相と谷垣氏の会談報道について「事実関係は分からない が、真剣に話題にする必要はない程度のことだ」と語った。

小沢氏は今国会で消費税増税法案を成立させることに対する同党 内の情勢について「ほとんどの人が反対だ」と指摘。その上で、「政権 交代の時の大改革をやるんだという初心を忘れて消費税だけで突っ込 むとなれば、民主党の中で支持を得られなくなるのではないか」と首 相をけん制した。

こうした中、藤村修官房長官は5日午前の会見で、小沢氏らが消 費税増税法案への反対姿勢を変えなかった場合、同氏ら抜きで野党の 協力を得て法案成立を図る方が決められない政治からの脱却につなが るのではと聞かれ、「勝手に思わないでほしい。きちんと手続きを踏ん で国会に法律を提出した上で、審議をしっかりしてもらい、成立に向 けて努力をするということだ」と述べた。

また、民主党の輿石東幹事長は同日午後の会見で、衆院解散を条 件に自民党から消費増税法案成立への協力を取り付ける「話し合い解 散」の可能性について「考えていない」と否定した。

--取材協力:小笹俊一Editor: Hitoshi Sugimoto, Takeshi Awaji

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