【今週の債券】長期金利は1%前後か、景気回復期待や円安で上昇圧力

今週の債券市場で長期金利は1月下 旬以来の高水準となる1%前後での推移が見込まれている。経済統計 の改善で内外景気に対する楽観的な見方が強まる中、足元の株高基調 や円安進行を受けて金利に上昇圧力がかかりやすいことが背景。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが2日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、 全体で0.93-1.025%となった。前週末終値は0.99%。1%台に乗せ れば、1月25日以来となる。

前週の長期金利は1日実施の10年債入札が順調な結果となった ことから0.945%まで低下したが、週末には株高や円安進行が売り材 料となって3週間ぶり水準の0.99%まで上昇した。日経平均株価は一 時昨年8月以来となる9800円を回復し、円相場は対ドルで1ドル=81 円台後半と9カ月ぶりの水準に下落した。

SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、世界 的な景気回復期待や日本銀行によるデフレ脱却に向けた積極的な金融 緩和姿勢を背景とした円安・株高トレンドなどから「長期金利は1% に乗せる場面もありそう」と予想する。

8日に日本の昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)改定値 が発表される。ブルームバーグ調査では前期比0.2%減、年率0.6%減 と速報値(0.6%減、2.3%減)から上方修正される見通し。

9日には2月の米雇用統計が発表される。ブルームバーグの予測 調査によると、非農業部門雇用者数は前月比21万人増加となる見通し。 1月は24万3000人増だった。雇用の改善傾向が示されれば、量的緩 和第3弾(QE3)への期待感が一段と後退する。マスミューチュア ル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は「経済指標で良 い数字が出れば、景気楽観論が強まるだろう」と話した。

週2回の入札は無難か

需給面では6日に30年債、8日には5年債の入札が実施される。 先月の日銀追加緩和や金融機関の金余りを背景に需給は良好で、過度 な警戒感は出ていない。SMBC日興証の野村氏は、「5年債入札は、 利回りが低位安定している年限で波乱なく通過できる。30年債入札は、 年金などから強い需要があるとは思えないが、無難な結果になるので はないか」と話した。

今回の30年債入札では、2日の入札前取引では1.96%程度で推 移しており、表面利率(クーポン)は前回債と同じ2.0%か、0.1ポイ ント低い1.9%が見込まれる。発行額は7000億円程度。一方、5年債 入札では、クーポンは前回と同じ0.3%が見込まれている。発行額は 2兆5000億円程度。

2日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は中心限月3月物、新発10年国債利回りは321回債。

◎三井住友海上火災保険の高野徳義氏

先物3月物142円20銭-142円80銭

新発10年債利回り=0.96%-1.01%

「長期金利は引き続き1.0%付近が上限。追加緩和で磐石な中期 債がアンカーとなって過度のスティープ(傾斜)化が抑えられている。 米雇用統計で持続的な雇用回復を確認するまでは米10年債の2%台 は買い。原油高が景気を圧迫するリスクもあり、市場は疑心暗鬼の中 の強気。円安や株高も債券が売り込まれるほどの水準ではない」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物3月物142円00銭-142円75銭

新発10年債利回り=0.93%-1.00%

「需給が下支えしている半面、ファンダメンタルズ(経済の基礎 的諸条件)からは0.9%台の推移が変な感じなので、1%に近づく展 開か。欧州中央銀行(ECB)理事会は、2回目の3年物資金供給オ ペの効果を見極める状況なので無風だろう。欧州の景況感は小康状態 にあり、追加緩和期待は後退している」

◎マスミューチュアル生命保険の嶋村哲金利統括グループ長

先物3月物142円20銭-143円00銭

新発10年債利回り=0.94%-1.02%

「ボックス圏での推移。3月決算期末を控えて株価が高いので債 券に益出し売りを出す必要はない。もっとも、米雇用統計などファン ダメンタルズに関心が向かうと思う。バーナンキ米連邦準備制度理事 会(FRB)議長は量的緩和第3弾(QE3)に言及していない。短 い年限は動かないが、長い年限の利回りが上昇するのではないか」

◎SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物3月物142円15銭-142円75銭

新発10年債利回り=0.975%-1.025%

「需給は悪くないが、外部環境の悪化で、金利は上昇方向とみて いる。長期金利は1%挟みの展開となりそうだ。世界経済や日本経済 の景気は上向き方向となっており、昨年末までとは状況が変わってい る。日銀も、景気下振れ懸念からデフレ脱却に向けた姿勢に転じた。 増税法案の国会提出と政局の行方も注目される」

--取材協力:船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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