EU首脳:危機の転換点を宣言、成長に軸足-サミット閉幕

欧州連合(EU)各国首脳は2日、 ギリシャ発の域内債務危機の転換点を宣言した。2年にわたり救済作戦 の焦点だった厳しい歳出削減から、成長へと軸足を移した。

第2次ギリシャ救済の形が整ったことやユーロ圏経済がリセッショ ン(景気後退)に陥りつつあることを背景に、首脳らは成長を最重要課 題に据えた。一方、危機発生から17回目となる1、2両日のEU首脳会 議(サミット)では、財政赤字の基準を各国に順守させるための新財政 協定も署名された。

ファンロンパイEU大統領は「赤字と債務に関する目標は中間的な 目標であり、それ自体が最終目的なわけではない」とした上で、「ユー ロ圏の未来に対する信頼の回復が、成長をもたらすだろう。それがわれ われの最終目標だ」と述べた。

危機は2010年半ばの第1次ギリシャ支援合意と域内救済基金の設立 によって収束するかに見えたが、市場の平静は長続きしなかった。債券 保有者の損失負担を求めるドイツの主張が市場参加者にショックをもた らし、再燃した危機にアイルランドとポルトガルが飲み込まれた。

サミット直前にやっと固まった1300億ユーロ(約14兆円)の第2次 ギリシャ支援を含めると、危機発生以来の欧州各国政府と国際通貨基金 (IMF)による拠出は3860億ユーロ以上に達する。

これに加え欧州中央銀行(ECB)は、2195億ユーロ相当の高債務 国国債を購入したほか、銀行システムに危機を乗り切らせるため前例の ない1兆910億ユーロの長期資金をシステムに注入した。

深い問題

ブリュッセルを本拠とする調査機関、ブリューゲルのエコノミス ト、ゾルト・ダーバス氏は2日、ブルームバーグテレビジョンとのイン タビューで、「しばしの間、危機波及のリスクは食い止められた。しか し、より深い問題はまだ残っている」と指摘した。

次に超えるべき障壁はギリシャ債の民間保有者に、70%以上の損失 につながる債務交換を受け入れさせることだ。ギリシャの債務を2020年 までに国内総生産(GDP)の120%まで押し下げるためには、これが 必須となる。

ユーロ圏財務相らは9日に電話会議を持ち、債務交換提案への反応 を検証する。交換に応じなければさらに大きな損失を迫られる恐れが、 投資家に参加を促す原動力。

不調の場合の代替策があるかは不明だ。ユーロ圏財務相会合(ユー ログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼国庫相)はギリシ ャに関し第2の案を用意していることを示唆したが、フィンランドのカ タイネン首相はそのような案はないと言明。また、ユーロ圏外のリトア ニアのグリバウスカイテ大統領は「将来に必要となれば、第3次パッケ ージがあるだろう」と語った。

同じくユーロ圏外のデンマークのトーニングシュミット首相は「ギ リシャの状況について全てが解決したわけでないことは皆知っている が、前向きな方向に大きく進展したことも理解している」と締めくくっ た。

固有のケース

首脳らはギリシャを「固有の」ケースと位置づけ、債券保有者の損 失負担は今回限りと約束した。2010年終わりにドイツのメルケル首相が 強く求めた方向は覆された。

さらに、首脳らは5000億ユーロ規模の恒久的救済基金、欧州安定化 メカニズム(ESM)への資本払い込みを迅速化することでも合意。1 年弱前に一度は同意されたドイツの要望とは逆行する結果になった。

危機拡大を防ぐ欧州自身のファイアウオール(防火壁)強化を世界 とIMFから迫られ、EU首脳らは当初2回分の払い込みを年内に行う ことを決めた。ESMは7月に稼働を開始する。

残り3回の払い込みをいつ行うかと、暫定基金の欧州金融安定ファ シリティー(EFSF)に残っている2500億ユーロをファイアウオール に繰り入れるかは今月中に決定する方針。

月内には、財政赤字をEU規定の上限であるGDPの3%まで圧縮 させる期限の延長をスペインに認めるかどうかも協議する。強制力を強 めた新財政協定の下で、緊縮か成長かの議論がさらに続くことになる。

原題:EU Leaders Declare Crisis Turning Point as They Shift to Growth

--取材協力:Jonathan Stearns、Nejra Cehic、Rebecca Christie、Gabi Thesing、Helene Fouquet、Lorenzo Totaro、Josiane Kremer、Jurjen van de Pol、Henrique Almeida、Aaron Eglitis、Tony Czuczka.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE