【日本株週間展望】一進一退、緩和資金流入と過熱綱引き-先物警戒

3月1週(5-9日)の日本株は、 一進一退が予想される。世界的な金融緩和で株式市場への余剰資金流 入は続くが、テクニカル指標から見た過熱感、円高修正の一服で売り も出やすくなってきた。週末に株価指数先物・オプションの特別清算 値(SQ)算出を控え、先物主導で振らされる場面も増えそうだ。

ベアリング投信投資顧問運用本部の溜学部長は、欧州中央銀行(E CB)による2回目の大規模資金供給オペを2月末に通過し、「当面の 大きな材料は出尽くした。ここからさらに良い材料が出てくるかとい うと疑問だ」と言う。為替の円高修正も勢いが鈍り、「過度に警戒した 向きの日本株買い戻しは、ひとまず終わりつつある」と見ている。

2月5週の日経平均株価は週間で129円(1.3%)高の9777円で 終え、4週連続で上昇。エルピーダメモリの経営破綻を受け、業界環 境の厳しさが懸念された半導体関連株が一時売り込まれた影響なども あり、日経平均は軟調な局面もあったが、下値では買い遅れた投資家 などからの資金が流入し、総じて堅調に推移した。過去最長となって いた東証2部株価指数の連騰記録は、30日続伸で途切れた。

2月はTOPIXが11%高、日経平均も10%上昇し、ブルームバ ーグ・データによると世界の主要93株価指数の中でそれぞれ5位、6 位だった。世界的な金融緩和で投資家のリスク回避姿勢が和らぐ中、 為替の円高修正も追い風となった。

中期でなお出遅れ

しんきんアセットマネジメント投信運用部の藤本洋主任ファンド マネジャーは、中期のパフォーマンスで見ても「まだ出遅れ感がある」 と言う。TOPIXは、リーマン・ショック後の安値を付けた2009 年3月12日(698.46)以降、足元までの上昇率は20%にとどまるが、 この間の米S&P500種株価指数は83%上昇、債務問題を抱える欧州 でもストックス欧州600指数が60%高となっている。為替が円安方向 に動けば、輸出関連企業の来期業績回復を期待した買いが入りやすく なり、「日経平均で1万円回復もあり得る」と藤本氏は話している。

みずほ証券グローバル調査業務部の堀内隆文ストラテジストは、 「最大の懸念材料だった欧州のシステミックリスクがECBの資金供 給策などによって抑制され、世界的な金融緩和に対する投資家の感応 度が高い」と分析。金融緩和が打ち出されれば、素直にリスクテーク に入っていける環境で、「株価の上昇ピッチが落ちてくることはあって も、基本的な構図は変わらず、現状の流動性相場は続く」と予想した。

一方、直近の株価急上昇を受け、テクニカル指標面での過熱感は 否めない。東証1部の上昇、下落銘柄数の割合を示す騰落レシオは2 日時点で134%と、先月23日の143%からは低下したが、なお過熱を 示す120%を超える。一般的に70%を上回れば短期的に買われ過ぎと されるRSI(相対力指数)も、TOPIXで77%、日経平均で82%。

海外勢買いに一巡感、裁定解消売り懸念も

こうしたデータに加え、大和住銀投信投資顧問の門司総一郎投資 戦略部長は「海外投資家が下げ過ぎた日本株のウエートを戻す動きに も一巡感が出ている」とし、現状からは一段と買い進みにくいと言う。 東京証券取引所公表の投資部門別売買動向によると、売買代金シェア で6割を超す海外投資家は9週連続で日本株を買い越しているが、直 近2月4週の買越額は784億と、前週の2407億円から大きく縮小した。

また、日本株は2月以降、海外勢の先物買いが裁定取引による現 物買いを巻き込んで上昇してきた。東証データによる裁定取引に伴う 現物株式の買いポジション(残高)は、先月24日時点で1兆5067億 円と東日本大震災が発生した昨年3月11日時点以来、約11カ月ぶり の高水準。株価指数先物・オプション3月限のSQ算出を9日に控え、 海外勢が持ち高調整に動けば、裁定解消売りが誘発される懸念もある。

GDP改定値は上方修正へ

3月1週に発表が予定される経済統計は、国内で7日に1月の景 気動向指数、8日に昨年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値や 都心オフィス空室率など。1日発表の法人企業統計で設備投資額が上 振れたため、GDPは上方修正される見通しだ。ブルームバーグがま とめた民間調査機関の予測まとめでは、中央値で前期比年率0.6%減。 速報値は2.3%減だった。

海外では、5日に米国で2月の供給管理協会(ISM)非製造業 景況指数、1月のユーロ圏小売売上高、9日には2月の米雇用統計や 中国の消費者物価指数、鉱工業生産などの発表が重なる。このほか、 5日に中国で全国人民代表大会(全人代)が開会、6日には米11州で 大統領選の予備選・党員集会が開かれるスーパーチューズデーがある。 8日のECB理事会では、ブルームバーグの事前調査によると、政策 金利は現状の1%で据え置かれる見込み。

ギリシャの債務問題をめぐっては、民間債権者が9日までに債務 交換に応じるかどうかを判断する。投資家の参加率次第で、ギリシャ 政府は集団行動条項(CAC)を発動する可能性がある。CAC適用 となれば、ギリシャ国債の保有者は強制的に債務交換に応じることに なり、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の決済を引き起 こすクレジット・イベントに該当し、CDSの決済が実施される。

ただ、SMBC日興証券の伴豊シニアクレジットアナリストは、 欧州大手銀行の間では「ギリシャをはじめ欧州の財政不安国のCDS 想定元本は、売り買いがきっ抗している」と指摘。そのため、CAC 発動でCDS取引上の決済を行うことになっても、「売りと買いが相殺 され、影響は限定的」と予想している。

-- Editor:Shintaro Inkyo

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