ドル高一服、米経済指標見極めへ-対円は一時81円割れも下値も限定

東京外国為替市場ではドル高が一 服。米追加緩和観測の後退を背景にドル買いが進んだ海外市場の流れを 引き継いで始まったが、米国の経済指標など次の材料が待たれる中、 ドルの上値は抑えられた。

ドルは対円で早朝に1ドル=81円39銭と3営業日ぶり高値を付 けたが、その後伸び悩み、午後には一時80円84銭まで軟化。ただ、 ドルの下値も堅く、その後は再び81円台を回復した。

三菱東京UFJ銀行金融市場部の内田稔シニアアナリストは、ド ル・円相場について、足元では「非常に短期のポジション調整」が入 っているが、「雰囲気的には米国経済の回復、日米金利差拡大を口実に まだ上を見ている雰囲気が強い」と指摘。目先は米国の経済指標が注 目となるが、良い数字が出れば「ぱっと上方向に反応しやすい環境」 だと話した。

内田氏はまた、需給面では期末前の日本企業のレパトリエーショ ン(自国への資金回帰)など季節的な円買いが「意外に出ていない」 と言い、ここまでの急速なドル高・円安で「むしろドルの買い手の方 がやや焦っている感じ」だと解説。ドル・円相場は「しばらくは崩れ そうにない」と語った。

ドルは対ユーロで海外時間に1週間ぶり高値となる1ユーロ=

1.3315ドルを付けたが、この日の東京市場では一時1.3357ドルま で軟化。しかし、ユーロの上値も重く、その後ドルは下げ渋った。

米景気とQE3

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 米供給管理協会(ISM)が1日発表する2月の製造業景況指数は

54.5と8カ月ぶりの高水準が予想されている。1月の個人消費支出は 前月比0.4%増加のもよう。先週分の新規失業保険申請件数は35万 5000件と前週からは増加するものの、4年ぶりの低水準付近にとどま るとみられている。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は29日、金融 政策についての半期に一度の議会証言で、労働市場に「前向きな進展」 が見られるものの、金融緩和策の維持は正当化されるとの認識を示し た。また、原油の値上げが一時的に物価上昇をもたらす可能性がある と指摘した。

バーナンキ議長の証言でQE3(量的緩和第3弾)への言及がなか ったことで、前日の海外市場では米国債相場が下落(利回りは上昇)。 米国株も下落し、外国為替市場ではドル買いが優勢となっていた。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは、FRBがQE 3を実施する可能性は残るが、バーナンキ議長の証言内容から「すぐに やる状況ではない」ということが意識されたと指摘。その上で、米国の 雇用情勢に関しては失業保険申請件数が減少してきていることもあり、 週内は米景気への期待感が「ドルの下支え要因」になると予 想した。

一方、中国でこの日発表された2月の製造業PMIは51.0となり、 1月の50.5から上昇した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコ ノミストの予想中央値は50.9だった。同指標を受け、オーストラリ ア・ドルは買いが強まる場面が見られた。

ユーロ相場

ユーロ・円相場は1ユーロ=108円前半でもみ合っていたが、午 後にはやや円買いが強まり、一時107円89銭まで弱含んだ。

欧州中央銀行(ECB)が29日に実施した2回目の3年物資金供 給オペ(LTRO)は、応札銀行数、応札額ともに前回を上回った。 ECBの発表によると、1092日物資金オペには域内の800の金融機 関から計5295億ユーロ(約57兆2700億円)の応札があった。昨年 12月の初回オペでは523金融機関に計4890億ユーロを供給した。

三井住友銀行市場営業部の呉田真二ニューヨーク上席部長代理は、 LTROは市場予想を若干上回る応札が集まり、「好感されるべき結 果」だったが、「結果的にはユーロはそこがピークで sell th e fact(事実で売る)という形の典型的な動きになってしまっ た」と説明。実際、「目先最大のリスクオン(選好)のイベントを消化 してしまったことで、いったんユーロを積極的に買っていく材料もな くなったという点を考えると、ユーロは当面ピークアウトの感が強い」 と話していた。

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