長期金利が低下、10年債入札の順調な結果受け-高値警戒で上値重い

債券市場で長期金利が一時7営業日 ぶり水準に低下した。きょうの10年債入札が順調な結果となり、投資 家需要の強さが確認されたことから買い安心感が広がった。半面、先 物は2週間ぶり高値圏に達したことへの警戒感から上値が重くなった。

SMBC日興証券の山田聡チーフクオンツアナリストは、「10年 債入札は、非常に好調な結果となった。10年債利回りが1.0%を下回 っていたので懸念されたものの、予想を上回る強い内容だった。1.0% 手前の水準での買い需要が確認され、5-10年ゾーンが強含みに推移 している」と話した。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の320回債利回り は、前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い0.96%で始まった。その後 は徐々に水準を切り下げ、午後の開始後には1bp低い0.945%と2月 21日以来の低水準を付けた。午後1時前から0.5bp低い0.95%で推移 していたが、5時前に0.955%を付けた。

5年物の102回債利回りは横ばいの0.29%と、前日に付けた昨年 8月以来の低水準で推移。0.5bp高い0.295%に上昇する場面があった が買いが入り、午後遅い時間は再び0.295%。一方、30年物の35回債 利回りは横ばいの1.93%。SMBC日興証の山田氏は「来週6日に30 年債入札を控えて、超長期債は上値が重い展開」と話した。

東京先物市場で中心限月3月物は、取引開始後に前日比7銭安の 142円66銭まで下落したものの、直後から水準を切り上げ、プラスに 転じた。午後の取引開始後には10銭高の142円83銭と2月16日以来 の高値を付けたが、その水準では売りが優勢になって伸び悩み、結局 は2銭安い142円71銭で引けた。

最低落札価格は予想上回る

財務省がこの日実施した10年利付国債(321回債)の入札結果に よると、最低落札価格は100円23銭となり、事前予想の100円21銭 を上回った。小さければ好調とされるテールは1銭と前回と同水準。 投資家の需要の強さを示す応札倍率は3.26倍となり、前回の3.72倍 をやや下回った。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、10年債入札に ついて、「無難から順調な結果となり、悪くなかった。大幅な金利上 昇は考えにくいという投資家が増えている」と分析。もっとも、供給 を受けて相場の上値は重い展開との見方も示した。

日本相互証券によると、きょう入札された10年物の321回債利回 りは、業者間取引では0.98%で始まり、0.97-0.98%で推移。午後5 時20分現在は0.975%で取引されている。

朝方に150円近く上昇していた日経平均株価が下げに転じたこと も債券相場を支えた。UBS証券の伊藤篤シニア債券ストラテジスト は、「最近の円安・株高が足踏み状態で、日経平均は1万円に届かず、 金利が大きく上昇する感じでもないので、いったん債券を買っておこ うという動き」と話していた。

議会証言

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は29日の議会 証言で、失業率が低下しているものの、金融緩和策の維持は正当化さ れるとの認識を示した。米経済の力強さを示す兆候が出ているものの、 「異例に低水準」の政策金利が少なくとも2014年遅くまで正当化され る可能性が高いとするFOMCの指針が変わらないことを示唆。ただ、 追加の政策緩和を検討中というようなシグナルは発しなかった。

こうした証言を受けて、29日の米国債市場では、金融当局による 追加の国債購入を通じた量的緩和拡大の見通しが弱まったとの見方が 広がり、債券需要は後退した。バーナンキ議長は1日に上院銀行委員 会で証言する。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「現時点でFRB主流 派が量的緩和第3弾(QE3)を諦めたと判断するのは尚早だが、市 場のQE3への確信は揺らぎ、目先は景気指標に反応しやすくなる」 と指摘。その上で、この余波は来週の米雇用統計あたりまで続くと思 われるので相場が復調するのは時間がかかるのではないかとも言う。

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