全日空系のピーチ、きょう運航開始-日の丸LCC元年で先陣切る

全日本空輸系列の格安航空会社(L CC)ピーチ・アビエーションがきょう運航を開始した。1日は関西 空港から札幌(新千歳)と福岡線の2航路で飛び立ち、まず早朝にエ アバスのA320が札幌に向け出発した。ことしは、LCC3社が市 場参入し「日本のLCC元年」と呼ばれる。航空機が高速バスや新幹 線並みの身近な移動手段として日本で定着するのか、注目が集まる。

ピーチは3月中に関空-長崎線、4月には鹿児島と国内線を充実 させるうえに、5月からはソウル、7月香港、9月台湾へと矢継ぎ早 に国際線を就航することで日本のLCC市場での先行者メリットを確 保する考え。

LCCの最大の特徴は運賃の安さで、ピーチの運賃は福岡が3780 円-1万1780円、新千歳便は4780円-1万4780円で、全日空や日本 航空の半額以下となる。2月28日現在で、3月30日の関空-福岡の 運賃では、ピーチが早朝便で5580円、全日空は2万4100円(最安値 は旅割28利用で1万1000円)、関空-新千歳がピーチは4780 円、日 航の普通運賃は4万3500円(同先得割引で1万8500円)と差がつい ている。

ただ、水を含むドリンクや食事などの機内食は有料になり、原則 サービスを重ねると課金される。LCCの低価格が実現できるのは、 こうしたサービスの有料化などが要因だ。

同社に約38%出資する全日空の伊東信一郎社長は22日の会見で、 ピーチの就航について「前社長時代から準備をしていたLCCがスタ ートすることは感慨深い。是が非でも成功させなければならない。大 阪で一大旋風を巻き起こしてほしい」と期待を表明した。

話題の一方サーバーダウンも

ピーチは全日空が筆頭株主となるほか、香港の投資家ビクター・ チュー氏が運営する投資会社ファースト・イースタン・インベストメ ント・グループが33%、官民出資ファンドの産業革新機構が28%を出 資。11年2月の設立で、社長は全日空出身の井上慎一氏が代表取締役 を務める。

運航開始からしばらくの間、関空でのピーチの搭乗手続きは空港 ターミナルビル内ではなく、関西空港駅をはさんだ反対側にある複合 商業施設内の同社カウンターで行われる。現在整備中のLCC専用タ ーミナ完成予定の秋までの暫定措置。

ピーチは1月5、6日に関空-福岡、新千歳の航空券を就航開始 記念キャンペーン価格として片道250円で5000席分販売。話題になっ た一方で、延べ30万人が全国から同社のホームページにアクセスし、 一時サーバーがダウンする不具合も起こった。

スカイマークの西久保愼一社長は2月のブルームバーグ・ニュー スとのインタビューで、ピーチをはじめLCCの就航が3月から始ま ることに「現在は映画の予告の状態だ。飛び始めると混乱することが 予想される、実際の局面ではいろいろ実態に即した形で変化せざるを 得ない。戦いはそこから」と述べていた。

厳しい競争環境

LCCを取り巻く経営環境は簡単ではない。日系のLCCだけで も、7月に日航系のジェットスター・ジャパン、8月には全日空系で エアアジアジャパンがそれぞれ成田国際空港を拠点に運航を開始する 予定だ。すでに海外から日本市場に現在10社が参入している。さらに 大手の全日空と日航、国内第3位のスカイマークが独自のネットワー クを充実させ一段のサービス向上に努める構えで、競争環境は厳しい。

成田空港の森中小三郎社長は2月の会見で、ピーチ就航に関連し て「LCCは世界の航空市場で浸透しつつあるが、日本ではことしが 元年。遅いくらい」と述べた。その上で「日本でも定着するのか、き ちんと見極め方針を作っていきたい。また、LCC向けのターミナル も対応するつもりだ」と抱負を述べた。さらに、中国や韓国などのL CCも成田への乗り入れを希望していると付け加えた。

日本のLCCの将来

独立系民間シンクタンク、航空経営研究所の赤井奉久所長はLC Cについて、「日本でも根付くことに疑いは抱いていない。海外では平 均で旅客数3割を占めるLCCが、日本でも一定数を占めることにな るのは間違いない。ただ、日系3社すべてが市場に浸透できるかどう かは各社の経営努力次第」と指摘する。

その上で赤井所長は、世界のLCC市場との違いで懸念する点と して「いわゆる、日本特有の”ジャパンプライス”がある。空港の着 陸料や燃料税、その他さまざまな空港利用関連のコストは、競争がな いことから高止まりしているのが現状」と述べ、「航空会社だけが低価 格実現に努力しても海外のLCCとの比較で価格破壊が起こるほどの ものにはならない。その意味では、日本版LCCは現状のままでは不 完全なものにならざるを得ない」との見方を示した。

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