米シティ:パンディット氏が大金稼いだヘッジファンド、苦境に

ビクラム・パンディット氏は、ヘッ ジファンドで大金を稼ぐ一つの方法を知っている。それはヘッジファン ドを売却することだ。

パンディット氏は2007年7月、「オールド・レーン・パートナー ズ」をシティグループに8億ドル(現在のレートで約650億円)で売 却。保有分の売却代金として1億6500万ドルを手にした。また、シティ の行内ヘッジファンドグループ(現シティ・キャピタル・アドバイザー ズ、CCA)の責任者に就任。それからたった5カ月後、同氏はシティ の最高経営責任者(CEO)に昇格した。

パンディット氏にはヘッジファンド事業は富への近道だったが、シ ティにとっては長くつらい道のりだった。ブルームバーグ・マーケッツ 誌4月号が報じた。パンディット氏(55)が07年12月にCEOに昇格し た時、CCAのヘッジファンド、プライベートエクイティ(PE、未公 開株)、不動産を合わせた運用資産は590億ドルだった。

金融危機後、シティは一部のファンドを閉鎖したが、その数は明ら かにしていない。一部のファンドからは投資家が逃避した。2月半ば現 在、運用資産は186億ドル。シティの7大ヘッジファンドのうち4ファ ンドが開始以来、指標としている指数を下回っている。7ファンドのう ち5ファンドが11年のリターンがマイナスになった。

それでもパンディット氏は耐え続けた。ボルカールールの施行に先 立ち、ゴールドマン・サックス・グループや他行のトレーダーは会社を 辞めて自身でヘッジファンドを始めているのにもかかわらず、11年7- 9月(第3四半期)に、同氏はシティの資金8億ドルをCCAに投入。 金融規制改革法(ドッド・フランク法)に組み込まれたボルカールール は、預金取扱機関が中核的自己資本の3%を超えてヘッジファンドなど に投資することを禁止している。

シティの資産

シティのファンドの事情に詳しい関係者やブルームバーグ・マーケ ッツが入手した資料によると、過去2年間でシティの少なくとも4ファ ンドにおいて、資産の半分以上がシティの自己勘定分だ。これはボルカ ールールが完全に施行されるまで変える必要がある。同ルールは7月に 施行予定で、2年の移行期間が設けられる。

結局、パンディット氏は2月に降参した。シティの最高執行責任者 (COO)でCCAの会長を務めるジョン・ヘイブンズ氏は、ブルーム バーグ・ニュースに対し、同行がCCAの「かなりの」部分をCCAの 運用担当者に売却する方針を明らかにした。

優秀な人材

ヘイブンズ氏(55)によると、CCAは最終的にシティから独立 し、ヘッジファンドやPEの運用担当者が、外部の投資家から資金を調 達できるようになる。同氏はモルガン・スタンレー時代、パンディット 氏と共に幹部を務めたほか、パンディット氏と共同でオールド・レー ン・パートナーズを設立した。

ヘイブンズ氏はニューヨークのマンハッタンにある自身のオフィス で「顧客は独立した代替資産運用担当者を好む」と指摘。「オーナー運 用モデルは、最も優秀な人材を引き付けることができる」と述べた。

ヘイブンズ氏によると、シティはCCAへの出資を維持するが、外 部の投資家が出資するほか、シティがファンドから資産を引き出すた め、同行の保有比率は低下する。売却の詳細とタイミングについては、 責任者が誰になるかを含め、決まっていない。CCAの共同責任者、ジ ョナサン・ドーフマンとジェームズ・オブライエン両氏が売却に関与す るかどうかについては明言を避けた。パンディット氏は本記事について コメントするのを控えた。

シティは、4年前の九死に一生を得た経験からまだ回復途上にあ る。シティは生き残りのため、問題資産購入計画(TARP)から450 億ドル、米連邦準備制度理事会(FRB)から990億ドルの融資、政府 による資産保証3010億ドル相当が必要だった。株価は2月13日までの1 年間で33%下落した。

運用成績

アトランティック・エクイティーズのアナリスト、リチャード・ス トレート氏は、シティがヘッジファンドやPEファンドを売却対象に加 えるのは理にかなっていると指摘。シティは同行の強みである個人向け 融資と新興市場ファイナンスに集中すべきだとの見方を示した。同氏の シティ株の投資評価は「オーバーウエート」。「戦略的にはそれから撤 退して、よりリスクの低い事業に焦点を絞るべきだ」と語った。

投資家は、シティがヘイブンズ氏が求めているように外部の資本を 集めるためには、ファンドの運用成績をここ数年よりも改善することが 必要だとの見方を示している。

投資を持ちかけられた複数の人の話によると、7大ファンドのうち 運用成績が昨年最も悪かったのは、リターンがマイナス14.2%だった 「ストラテジック・クレジット・ファンド」だ。

ラジェシュ・クマー氏が運用する「モーゲージ・クレジット・オポ チュニティー・ファンド」は、11年のリターンがマイナス4.2%。この マイナスの運用成績は目立つ。というのも、ブルームバーグのデータに よると、住宅ローン関連証券に投資するファンドはリターンが平均でプ ラス14.5%と、ヘッジファンドの中では最も良い成績を収めているから だ。

新興国の債券

シティのファンドで成績がずば抜けて良いのは、ロンドンに本拠を 置く 「エマージング・マーケッツ・スペシャル・オポチュニティー ズ・ファンド」だ。同ファンドは、新興国の債券を取引し、運用資産は 9億ドルと、シティの中で最大規模だ。

ヘイブンズ氏は、10年にCCAのファンドへの投資資金として30億 ドルを機関投資家から集め始めたが、すでに26億ドルを調達したことを 明らかにしている。ただ、同氏はそのうちどれぐらいの金額がPEでは なくヘッジファンドに振り向けられたのかは明らかにしていない。同氏 は機関投資家について「当行にとって極めて重要な顧客だ」と述べた。

問題なのは、かつてパンディット氏の個人的な領域だったCCA が、シティの1部門でなくなった時、運用成績を改善し、投資家の資金 を集めることができるかどうか、ということだ。

原題:Pandit Fast Money With Hedge Funds Proving Citigroup Dead End

参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 亀山律子 Ritsuko Kameyama +81-3-3201-7441 rkameyama@bloomberg.net

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