トモダチ作戦をLNGでも、米3拠点からの優先供給求める-政府

政府は原子力発電所の稼働停止で需 要が急増している液化天然ガス(LNG)について、米国の3つの LNG輸出基地からの輸入許可を求めて交渉を進めている。より安い価 格でのLNG調達は政府が今春にも定める資源確保戦略の柱の一つに位 置付ける。東日本大震災後の特殊な国内事情を訴えることで優先的に LNGの供給が受けられるよう米政府に協力を求めていく考えだ。

経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部長の安藤久佳氏が23日、 ブルームバーグ・ニュースとの取材で述べた。ルイジアナ州キャメロ ン、メリーランド州コーブポイント、テキサス州のフリーポートの3拠 点での許可を求めているという。合計の年間輸出量は3000万トン。具体 的な輸出量は調整中だが、仮に2割の許可を得れば600万トン程度の調 達につながる。早ければ2016年にも輸出が始まる見通しだ。

原発稼働停止で火力発電所用のLNG需要が高まっているが、日本 は中東から高いコストで購入しているのが実情。米から安いLNGの輸 入を増やせればコスト上昇に伴う電気料金の値上げを抑制する効果も期 待できる。

安藤部長は「天然ガスは量の確保とともに価格を下げるために、あ らゆる努力を政府や企業は払うべき」と強調。大震災での被災地支援に 当たった米軍の「トモダチ作戦」と同様にLNGでも協力を求めるとし て「震災後の特殊な事情を考えて当面3つのプロジェクトについて優先 的に日本に許可を与えることはできないか話し合っている」という。

日本はマレーシアや豪州、カタールなどからLNGを輸入。原油価 格に連動する契約形態で現在の輸入価格は100万BTU(英国熱量単 位)当たり16ドル程度。これに対してシェールガスと呼ばれる新型ガス 田の開発技術が進む米国では天然ガスの先物価格は同3ドルを下回る。

米国では自由貿易協定(FTA)を締結していない国へのLNG輸 出にはエネルギー省の許可が必要。FTAを締結している韓国は先月、 米LNGの輸入許可を得たばかり。これはアラスカ州を除く米本土で産 出するLNGの初の東アジア向け輸出となる。

米LNGの輸出許可が下りた場合の影響について、みずほ情報総研 の環境・資源エネルギー部の冨田哲也次長は韓国が今回契約した価格を 基準にすると「現在日本が調達している価格の半分程度で輸入でき非常 にインパクトがある」と指摘する。

財務省の貿易統計によると2011年のLNG輸入量は8311万トンと 前年比で20%増加。日本エネルギー経済研究所の予測では12年には 同7.1%増の8897万トンと9000万トンに迫る水準まで拡大する見通し だ。

資源確保戦略

安藤部長は金属資源に関しては「本当に必要な資源については、企 業もこれまでないような投資判断が求められる」と指摘。自動車や家電 メーカーなどのユーザー企業にも権益取得を促す方針を示した。すでに 鉄鋼メーカーでは原料炭などへの資源権益への投資を実施している。こ うした動きを広めることで安定的な引き取り先を確保し、資源開発事業 の安定性を確保したい考えだ。

資金力にモノをいわせた中国の資源権益の買い漁りや資源メジャー による寡占化を背景にかつて日本企業が誇った価格交渉力は失われてい る。2010年秋の中国のレアアース輸出禁止問題は安定調達の重要性を再 認識する契機にもなった。経産省では国としての中長期的な資源確保戦 略を5月にも策定することで効果的な資源外交につなげることを狙う。

-- Editors: 淡路毅, 杉本 等

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