英銀グループ最大手HSBCが日本 でのリテール(個人)富裕層向け事業から撤退することが分かった。こ のサービスを取り扱っていた全店舗を閉鎖する。欧州債務危機を背景に 世界的に事業再編を進める中、2008年に日本で同業務に参入してから4 年で退くことになる。

HSBCは預かり資産1000万円以上が対象のHSBCプレミアを中 止する。3月8日から新規の投資信託販売などを止め、7月末までに東 京、名古屋、大阪の全営業店を閉じる。HSBCグループの全世界での 事業再編の一環としている。同社が22日夜、顧客に電子メールで送った 通知書をブルームバーグ・ニュースが入手し明らかになった。

欧州危機が広がりを見せる中、HSBCでは新たな自己資本規制に 備えるため日本、韓国、タイを含むアジア諸国で資産売却など業務縮小 を進めている。日本では昨年12月、クレディ・スイスにプライベートバ ンキング事業を売却することで合意。1月にはコスタリカ、エルサルバ ドルなどでの事業売却を発表している。

HSBCプレミアの中島ギフォード個人金融サービス本部長は、顧 客向け通知書の中で、「この度、全世界におけるHSBCグループの事 業再編の一環として、大変残念ではございますが、私どもは日本におけ るHSBCプレミアサービスのご提供を中止することを決定しました」 と述べた。

HSBCは日本のリテール富裕層向け事業の売却を検討し、その入 札手続きに入っていたことが、複数の関係者の話により1月に明らかに なっていた。買い手が見つからない場合は、同事業の閉鎖もあり得ると していた。

争奪戦

HSBCは08年にHSBCプレミアを開始。10年に追加した大阪と 名古屋を含め、丸の内、赤坂、広尾の東京都内や横浜に6拠点を構え る。しかし、欧州危機を受けて同行のスチュアート・ガリバー最高経営 責任者(CEO)は過去20年にわたる拡大路線を反転、現在は世界的に 資産売却や人員削減を進めている。

ロンドンに本拠を置くHSBCは140年以上に前に日本の金融市場 に参入。アセットマネジメント(資産運用)や融資業務のほか、証券業 務などを手掛けている。

日本のリテール金融サービス市場では、1471兆円(9月末時点)に 上る個人金融資産をめぐり、国内外の金融機関が争奪戦を繰り広げてい る。外国勢ではHSBCのほか、米シティグループや英スタンダードチ ャータード、国内勢ではみずほや三菱UFJなどの大手銀行グループが 富裕層業務を積極的に展開している。

「重要なお知らせ」

HSBCが同業務からの撤退について説明した「重要なお知らせ」 を顧客宛てに送ったのは22 日午後8時半ごろ。丸の内、広尾支店など の取引顧客にとって突然の知らせとなった。HSBCの担当者は同事業 についての売却検討、撤退の可能性に関して1月に報道されて以降、そ うした事実はないと顧客からの問合せに回答し続けてきたからだ。

通知書は他行への口座移行手続きを促した上で「口座解約に伴う送 金手数料は、無料とさせていただきます」と説明。「詳細につきまして はHSBCプレミアコールセンター(0120-777-369 24時間)までお問 い合わせください」と記載している。

連絡を試みると「ただいま電話が込み合っています。しばらくお待 ち下さい」とのアナウンスが流れたまま、10分以上つながることはなか った。皇居近くの日比谷通りに面した丸の内支店では22日深夜、シャツ ターは降り、オフィスの電気は消えていた。

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