日本銀行は14日開いた金融政策決 定会合後、物価政策について「当面、消費者物価(CPI)の前年比 上昇率1%」を目指すとした上で、「それが見通せるようになるまで、 実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置により、強力に 金融緩和を推進していく」と表明した。金融政策運営については、資 産買い入れ等基金を「55兆円」から「65兆円」に拡大することを全員 一致で決定し、追加緩和に踏み切った。

日銀は同日の会合で、資産買い入れ等基金のうちリスク資産など の買い入れを「20兆円」から「30兆円」に拡大、増額分はすべて長期 国債を対象とする。固定金利方式の共通担保オペは「35兆円」に据え 置く。日銀は従来の「中長期的な物価安定の理解」を「中長期的な物 価安定のめど」に変更。CPI上昇率で「2%以下のプラスの領域」 で、「当面は1%をめどとする」としている。

米連銀が物価上昇率のゴールとして2%を明示するなど、新たな 市場との対話を打ち出したことなどから、日銀に対してデフレ脱却に 向けてより強力な施策を求める声が強まっていた。

昨年10-12月の実質国内総生産(GDP)は前期比年率2.3%減 と2期ぶりのマイナス成長となった。消費税率引き上げをめぐる論争 が続いている国会では、デフレ下の増税に対する拒否感から日銀への 批判が高まっており、答弁する白川方明総裁に対して激しいやじが投 げつけられる場面もあった。

FRBが新しい市場との対話

総合的な物価指数であるGDPデフレーターは前年同期比1.6% 低下と9四半期連続のマイナスとなった。古川元久経済財政担当相は 13日の会見で「デフレ脱却に向けて、今まで以上に断固たる姿勢で取 り組んでいきたい」と表明。日銀に対して「必要に応じて適切、果断 な金融政策運営を期待したい」と述べた。

米連邦準備制度理事会(FRB)は1月25日の連邦公開市場委員 会(FOMC)声明文で、長期的な物価目標(longer-run goal)とし てPCE(個人消費支出)価格指数の前年比2%を明示するとともに、 これまで「2013年半ばまで」としていた異例の低金利を続ける期間、 いわゆる時間軸を「14年終盤まで」に延長した。

東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは会合終了前、「日銀の 経済・金融市場に関するこれまでの説明との整合性で考えると、欧州 問題への懸念はあるものの、円高圧力が一服していることもあり、2 月会合は現状維持となる流れだ」とみていた。

一方で、「2月6、7日の参議院予算委員会における白川総裁に対 する野党議員を中心とする非難、やじは凄まじいものがあった。FR Bと比較して『日銀はゼロ金利以外に何もしていない』という批判や、 総裁に辞任を求める声、日銀法改正協議をにおわす発言も聞かれた」 と指摘。「そういった政治サイドの激しい批判を無視することのリスク を警戒して、日銀が追加緩和を選択する可能性は、メインシナリオで はないが、数割あると思われる」としていた。

景気は「横ばい」据え置き

日銀は資産買い入れ等基金の増額を今年末めどに完了する。現在 の残高は43兆円程度で、今回の増額分と併せ、今年末までに残高は 22兆円程度増額する。日銀は景気判断については「横ばい圏内の動き」 として前月から据え置いたが、先行きについては「欧州債務問題の今 後の展開やその帰すう、電力需要の動向や円高の影響など、引き続き 不確実性が高い」としている。

金融政策決定会合の結果を受けて、円は対ドルで1ドル=77円60 銭前後から一時77円96銭と、1月25日以来の水準まで下落。対ユー ロでは1ユーロ=102円ちょうど付近から一時102円63銭まで値を切 り下げた。白川総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は 3月16日に公表される。

金融政策決定会合、金融経済月報等の予定は以下の通り。

会合開催       総裁会見 金融経済月報  議事要旨
3月12、13日  3月13日     3月14日    4月13日
4月9、10日   4月10日     4月11日    5月7日
4月27日       4月27日        -       5月28日
5月22、23日   5月23日     5月24日    6月20日
6月14、15日   6月15日     6月18日    7月18日
7月11、12日  7月12日   7月13日  8月14日
8月8、9日  8月9日   8月10日  9月24日
9月18、19日  9月19日   9月20日    10月11日
10月4、5日   10月5日     10月9日    11月2日
10月30日       10月30日        -      11月26日
11月19、20日   11月20日     11月21日    12月26日
12月19、20日   12月20日     12月21日     未定

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、経済・物価情 勢の展望(展望リポート)は4月27日。議事要旨は午前8時50分。

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