EU、支援めぐりギリシャと対立の恐れ-ポルトガル財政懸念も浮上

欧州債務危機がポルトガルの財 政懸念という新たな局面を迎える中で、欧州の各国政府は、第2次ギ リシャ支援をめぐり同国と対立する事態へと向かっている。

欧州連合(EU)首脳会議は30日遅く閉幕したが、ギリシャの 財政赤字拡大への対応策は打ち出せなかった。

メルケル独首相は首脳会議終了後に、ギリシャ政府が経済改革を 実行しないことへの不満を表明。記者団に対し、「特に思わしくない のはギリシャの債務持続可能性だ」と述べた上で、「この隔たりを埋 めるためには、ギリシャ政府の追加措置や民間債権者のさらなる貢献 などを通じた方法を探る必要がある」と指摘した。

ギリシャの債務減免と経済運営をめぐる駆け引きが、欧州首脳ら の危機打開の取り組みに暗い影を投げ掛けた。欧州首脳らは30日、 財政協定と5000億ユーロ(約50兆1700億円)規模の欧州安定化メカ ニズム(ESM)の稼働時期前倒しで合意した。

EUのファンロンパイ大統領は首脳会議後に、ギリシャ問題の次 の対策を検討するため、参加人数を絞って会合を開いた。同会合には ギリシャのパパデモス首相や欧州中央銀行(ECB)のアスムセン理 事らが参加した。

ファンロンパイ大統領は、ギリシャの「現行のプログラムを再び 軌道に乗せる」必要性に言及し、欧州財務相らが今週末までに追加計 画の取りまとめを目指すだろうと述べた。3月20日に145億ユーロの 国債償還を控えているギリシャはデフォルト(債務不履行)回避を国 際支援に頼っている。

支援規模拡大への消極姿勢示唆

メルケル首相の首脳会議後の発言は、各国政府が第2次ギリシャ 支援の規模について、昨年10月に提案された1300億ユーロから引き 上げるのに消極的であることを示唆した。支援額が拡大されなければ、 民間債権者は一段の債務減免を強いられる可能性がある。

パパデモス首相は現地時間31日午前1時半(日本時間同9時半) に記者団に対し、債務スワップ交渉には「幾つかの困難」があると述 べ、支援国がさらに資金を出す必要が出てくる可能性を示唆した。

同首相は「スケジュールは厳しいが、われわれは交渉を今週末ま でに成功させるとの目標に100%集中している」と強調した。

ポルトガル国債利回り急伸

投資家の間にはポルトガルの財政健全性をめぐる新たな懸念が広 がった。EUがポルトガルに関しては債務再編を行わないという公約 を破るのではないかとの懸念が強まり、30日の欧州債市場でポルト ガル10年債の利回りは2.17ポイント上がり17.39%に達し、2年債利 回りも21%に急伸した。共にユーロ導入後の最高水準となった。

欧州首脳は30日、財政協定の取りまとめ作業を完了。同協定に より高債務国に対し迅速な制裁が可能になるとともに、加盟各国は国 内法で均衡財政の規定を定めることが求められる。EUに加盟する 27カ国のうち、英国とチェコを除く25カ国が同協定への参加を表 明した。

欧州首脳は恒久的救済枠組みであるESMの稼働開始を予定より 1年前倒しし、7月1日にすることも決定した。英国はアイルランド を視野に入れて、財政協定を批准する国のみにESMからの支援を得 る資格を与える条項を押し通した。

集団行動条項

ESMは各国政府に対し、従来の計画よりも5カ月遅い2013年1月 以降の新発債発行に「集団行動条項(CAC)」を盛り込むことを義 務付けている。同条項は、債務再編に関して投票で過半数の債券保有 者の同意が得られれば、残る保有者も決定を拒否できないというもの で、これにより再編の進展が促される。

ESMの規定は、「集団行動条項は13年1月以降、期間1年を 超える全てのユーロ圏諸国の新発政府証券に含まれる」としている。

ただ同規定は将来の債務再編に道を開くものだが、債務減免はあ くまでも「例外的」であり、国際通貨基金(IMF)の標準に従うと した。

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