ドルほぼ全面安、ギリシャ懸念緩和で売り圧力-対円3カ月ぶり安値

東京外国為替市場ではドルがほぼ 全面安となった。ギリシャの債務交換交渉の前進や中国によるギリシ ャ支援の報道を受け、リスク回避の緩和からドル売りが強まった。ま た、米国の金利低下を背景にドルは対円で3カ月ぶり安値を更新した。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.31ドル前半から一時、1.3199 ドルまでユーロ買い・ドル売りが進行。ドル・円相場は朝方に1ドル =76円41銭を付けた後、一時、76円18銭までドル売り・円買いが進 み、円の戦後最高値(75円35銭)を付けた昨年10月31日以来のド ル安・円高水準を塗り替えた。

新生銀行キャピタルマーケッツ部のキム・カンジャ次長は、ドル の下落について、「中国がギリシャをサポートするという話もあった が、月末のリバランス(再調整)に絡んだドル売りの話などがあり、 どちらかというと月末要因ではないか」と解説。その上で、「きょうも ポルトガルの国債市場を見てどうするかというところだが、ユーロに 関してはIMMのポジションが相当ショート(売り持ち)ではあるの で、今回下値は限定的ではないかと思う」と語った。

ユーロ・円相場は前日の海外市場で1週間ぶりのユーロ安・円高 水準となる1ユーロ=99円99銭を付けたが、この日の東京市場では ユーロ買い・円売りが優勢となり、一時100円64銭まで値を戻した。

ギリシャ交渉

ギリシャのパパデモス首相は民間債権団との債務スワップ交渉が 大幅に前進したと述べた。欧州連合(EU)首脳会議の終了後にブリ ュッセルで記者団に語った。パパデモス首相はまた、債務スワップ交 渉には「幾つかの困難」があると述べ、支援国がさらに資金を出す必 要がある可能性を示唆。「スケジュールは厳しいが、われわれは交渉を 今週末までに成功させるとの目標に100%集中している」と強調した。

一方、中国国家発展改革委員会(発改委)の張暁強・副主任は、 ギリシャの金融危機克服を中国企業による直接投資の促進やギリシャ 製品の輸入を通じて支援する方針だと語った。新華社がギリシャ訪問 中の発言として伝えた。

UBS銀行東京支店の外国為替ストラテジスト、植野大作氏は、 「ギリシャ問題に関しては瀬戸際交渉が続いているが、無秩序なデフ ォルト(債務不履行)は誰の得にもならないので、最後は何か出して くるだろうという安心感もあって、とりあえず今まで売っていた分の 買い戻しが出ているのだろう」と説明。ただ、ギリシャの債務削減は 結局、民間の銀行部門や他国の財政負担につながるため、「交渉が決着 した後の方がむしろ問題含みだ」と指摘した。

EUの首脳らは30日、財政協定と5000億ユーロ(約50兆1700 億円)規模の欧州安定化メカニズム(ESM)の稼働時期前倒しで合 意した。しかし、第2次ギリシャ支援をめぐる各国の意見の食い違い が今後の見通しに影を落とした。

前日の海外市場ではギリシャ交渉の難航やポルトガルの国債利回 り上昇などを嫌気して、ユーロが下落。リスク回避の動きから円とド ルが買われたが、米国債利回りが低下する中、円は対ドルでも上昇し、 全面高となっていた。

一方、リスク回避が一服する中、この日の東京市場ではドル売り が優勢となり、円も新興国通貨や資源国通貨に対して軟調な展開とな った。

介入警戒

安住淳財務相は31日午前の閣議後会見で、ギリシャ債務交渉の難 航を受けて円高が進んでいることについて、「過度な変動や投機的な動 きがあれば、厳重に注視し、断固たる措置を取る」と述べ、これまで のスタンスは変わらないとの立場を示した。

UBS銀の植野氏は、あす以降に公表予定の昨年10-12月分の介 入実績報告で「覆面介入」の実施が明らかとなれば、「安住財務相の口 先介入の神通力もだいぶ変わってくる」と指摘。その上で、ドル・円 は「先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)で提示された米国の超 低金利の長期化観測が予想外に効いている」とし、今後は「米国の低 金利長期化観測に由来する円高・ドル安圧力と、ドル・円の水準と反 比例して高まる介入警戒感とのせめぎ合いのような相場展開になる」 と予想した。

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