マイナス金利でも米国債市場でTIPS人気-ゼロ金利長期化で

米国債市場では、マイナス金利と なっているインフレ連動債(TIPS)が最も人気を集めている。連邦 準備制度理事会(FRB)によれば、米経済は「緩やかな」成長しか見 せておらず、揺れる投資家心理を示唆しているようだ。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、 TIPSの平均利回りは初めてマイナス圏となったにもかかわらず、今 月の150億ドル(約1兆1500億円)規模のTIPS入札では需要が3月 以来の高水準だった。30年債を除く全ての種類の米国債の利回りは過去 最低もしくはそれに近い水準にあり、消費者物価指数を考慮すると実質 マイナスリターンとなっている。

投資家が米国債の安全性を求めているのは、経済成長見通しの下方 修正や欧州財政危機の深刻化が背景にあり、こうした安全志向が米政府 の記録的借り入れを支えている。TIPSは過去10年のリターン が111.3%と、インフレに連動しない米国債の73.4%を上回っている。 S&P500種株価指数は配当を含めたベースで約33%のリターン。

野村ホールディングス(HD)の金利戦略責任者、ジョージ・ゴン キャルベス氏(ニューヨーク在勤)は27日のインタビューで、「投資家 は米国債を買わねばならない場合、実質金利がマイナスであっても TIPSを最適な投資先と見ている。国債である上、長期的なインフレ にも備えられるからだ」と指摘した。

FOMC

FRBは先週のFOMCの声明で「向こう数四半期の経済成長ペー スは緩やかなものなる」と予想し、セロ金利政策は当初の予定よりも期 間を1年以上延ばし2014年遅くまで維持される必要がある可能性を示し た。これを受けて米国債市場では先週、全ての種類が上昇した。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、10年物米国債利回 りは先週、13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下 し1.89%。10年物TIPSの利回りはマイナス0.2%と、前週のマイナ ス0.004%から低下した。

TIPSの魅力は今月19日の10年物入札で鮮明になった。利回りは マイナス0.045%と、10年物入札では史上初めてゼロを下回ったもの の、応札倍率は2.91倍と、3月の2.97倍(利回りは0.49%)以来の高水 準だった。

今月の入札でTIPSを購入した投資家は、金利を受け取れないも のの、元本部分は消費者物価に連動して増加する。この特徴は既に割高 な水準で取引されている他の米国債にはない。ブラウン・ブラザーズ・ ハリマンのパートナー、ジェフリー・ショーンフェルド最高投資責任者 (CIO)はTIPSの「利回りは通常の基準では哀れな水準」だが、 この低金利環境では「少し割安感が出ている」と述べた。

バークレイズ・キャピタルの金利戦略共同責任者、マイケル・ポン ド氏は25日のインタビューで「実質金利がマイナス圏にある最大の理由 はFRBの政策だ」と指摘。10年物TIPSの利回りは政府の発行が増 えても6月末までにマイナス0.4%に低下する可能性があると予想し た。

フェデレーテッド・インベスターズの国債・住宅ローン担保証券 (MBS)担当共同責任者、ドナルド・エレンバーガー氏もTIPS価 格にまだ上値があると見る。同氏は「FRBの行動は最終的にはインフ レを誘発するという見方が一部にある」と述べ、TIPSの資産配分を 「オーバーウエート」にしていることを明らかにした。

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