勢い増す米テクノロジー業界の人材採用-MBA取得者も西海岸へ

テクノロジー業界の人材採用が勢 いを増している。

ブルームバーグが集計したデータによると、時価総額1億ドル (約80億円)以上の米国のテクノロジー企業のうち約50社が直近の報 告を実施するまでの2年間に50%以上採用を増やした。一部の中小企 業は人員を約5倍に増やしており、インターネットサービスやソフトウ エア、電子機器の需要の回復力が示唆されている。

ロヒト・ディングラさんは、この統計を象徴する従業員の1人だ。 ディングラさんはコンサルタント業界の職に就くためニューヨークのコ ロンビア大学経営大学院に入学した。しかし、採用されたのは、シリコ ンバレーにあるコンピューター部品メーカーだった。

ディングラさんは「数年前なら、誰もが確実に投資銀行業界で働き たいと思っただろう。金融サービス業の将来はそれほど明るくないよう だ」と語る。

ディングラさんは、景気低迷の中、就職先をテクノロジー業界に切 り替えた多くの労働者のうちの一人だ。他の業界が人員を削減したり 現在雇用している従業員にこれまでより重い負担を強いたりする中、 テクノロジー業界は採用を継続した。

米国の失業率は昨年12月に8.5%と、3年ぶりの低水準に低下し たものの、テクノロジー業界ほど人材採用に意欲的な業界はほとんど見 当たらない。ソフトウエア・関連サービス業界では、時価総額1億ドル 以上の74社が人員を少なくとも10%増員した。この増員率は、ブルー ムバーグが調査した業界の中で最も高い。

アップルとグーグル

ブルームバーグのデータによると、アップルやグーグル、アマゾ ン・ドット・コムなどの企業が過去2年間に50%以上人員を増やし た。これを受け、シリコンバレーの企業はテクノロジー以外の業界で 勤務経験のある人材の増員を検討しており、ウォール街やシアトルな ど各地で採用活動を強化している。1990年代の起業ブームの不安定さ から業界を避けていたとみられる労働者たちがテクノロジー業界を安 定性の高い業界と見なしている。

増員率は、中小企業を対象にウェブサイト関連サービスを提供する ウェブ・ドット・コム・グループ(フロリダ州)が最も高かった。直近の 年次報告書によると、同社の従業員数は1148人で2年前と比較して 380%増加した。

シリコン・グラフィックス・インターナショナルが2位で、従業員 数は372%増の1500人。KITデジタルは319%、リバーベッドテク ノロジーは208%、それぞれ増員した。当初の従業員数が多いアップル の場合は76%増員。新規採用は2万6100人に上った。

テクノロジー業界の人材採用意欲は衰える兆しを見せていない。ア マゾンとフェイスブックは今年、それぞれ数千人の採用を計画。そのう ちの多くは新規のサテライトオフィスに配属される見通しだ。eベイと ティブコ・ソフトウエアも採用活動を強化している。

ティブコのビベック・ラナディブ最高経営責任者(CEO)は 先週、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総 会で「当社は現在、セールスやサービスなど全ての分野で非常に迅速に 採用を進めている。採用の好機だ」と述べた。

バブルの再来を懸念

一部の従業員は、人材採用ブームがドット・コム・バブルに沸いた 時期に似ていることを懸念している。テクノロジー関連株が急落した 2000年には、数千人の雇用が失われた。シリコンバレーでは01-08 年に8万5000人以上が失業し、他のテクノロジー事業の活発な地域で も雇用が失われた。

多くの卒業生にとって、テクノロジー業界は依然、ウォール街より リスクが低いとみられているようだ。以前なら金融業界を選択していた かもしれない東海岸で経営学修士(MBA)を取得した卒業生たちの中 には西海岸での就職を望む人が増えている。コロンビア大学経営大学院 の副学部長、レジーナ・レスニク氏によると、グーグルとアマゾンは同 大学院の卒業生の多くが就職した企業のうちの2社に数えられる。

同大学院の就職関連報告書によると、昨年はテクノロジー・メディ ア業界に就職した卒業生の比率が9%と、09年時点の6%から上昇し た。

レスニク氏は「経済に何が起こっていてもテクノロジー業界につい てはいつも良いニュースが流れている」と述べた。

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