円が上昇、米金融緩和長期化見通しやギリシャ交渉警戒で買い圧力

東京外国為替市場では円が上昇。 今週は日本の31年ぶりの貿易赤字転落などを背景に週半ばにかけて円 安が進んだが、米国で金融緩和がさらに長期化する見通しとなり、ギリ シャの債務交換交渉の行方も依然不透明な中、週末を前に円の買い戻し が強まった。

円は対ドルで1ドル=77円半ばから一時、76円90銭まで上昇。 25日には昨年11月29日以来の安値となる78円28銭を付けていた。

あおぞら銀行市場商品部の諸我晃次長は、「ヘッジファンドなどド ル・円のロング(ドル買い・円売りポジション)を積み上げていたので 、77円前半ではかなりストップ(損失を限定するための円買い注文) が執行された感じだ」と指摘。「ドル・円は結局元のレンジに戻ってき た」とし、米国の緩和長期化がドルの上値抑制要因となる中、再びドル 高・円安方向を試すには「少し時間がかかるだろう」と語った。

円は対ユーロで前日の海外市場で一時、1ユーロ=102円21銭と 昨年12月23日以来の安値に並んだが、その後、101円半ばまで反発 し、この日の東京市場では一段高。一時100円77銭を付けた。

一方、ユーロ・ドル相場は朝方に一時1ユーロ=1.3078ドルまで ユーロ安・ドル高に振れたが、その後は1.3100ドルを挟んでもみ合う 展開となった。前日の海外市場では1.3184ドルと約5週間ぶりのユー ロ高・ドル安水準を付けた後、1.3100ドル前後まで値を戻していた。

諸我氏は、ギリシャ交渉が続く中、欧州ではポルトガルなどの金利 も上昇してきており、「ユーロはショートカバー(買い戻し)のような 形で上がってきたが、それも一巡して再び落ちる可能性がある」とみて いる。

円が全面高

ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨すべてに対し て前日終値比で上昇している。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は 「海外勢は日本の消費税論議の行方などを気にしており、貿易収支の赤 字転落もあり、ドル・円でロングになっていたが、FOMC(米連邦公 開市場委員会)を経てもロングを切りきれていないようだ」と話した。

米連邦準備制度理事会(FRB)は24、25日両日に開いたFOM C終了後に発表した声明で、政策金利を「少なくとも2014年遅くまで 」異例な低水準で維持する意向を示した。また、バーナンキ議長はFO MC後の記者会見で、債券を追加購入する選択肢は今もなお「机上にあ る」と発言し、インフレが長期にわたり目標を下回り続け、雇用改善が 非常に緩慢なら、追加金融緩和というケースはあると述べた。

一方、米リッチモンド連銀のラッカー総裁は同連銀のウェブサイト での声明で、「景気拡大につれて、それが緩やかなペースであっても、 インフレ圧力を回避するためにフェデラルファンド(FF)金利は上昇 が必要だろう」との予想を示し、「経済状況が異例の低金利をそれほど 長期間正当化するとは思わない」と25日のFOMCで反対票を投じた 理由を説明した。

ギリシャ交渉

国際金融協会(IIF)は26日、ダラーラIIF専務理事とギリ シャのパパデモス首相とのアテネでの債務交換協議で「若干の進展」が あったことを明らかにした。IIFによると、交渉は27日も継続され る。

ソシエテ・ジェネラル東京支店のチーフエコノミスト、大久保琢史 氏は、ギリシャに関してはデフォルト(債務不履行)が避けられる見通 しにあるものの、債務交換をめぐる交渉が長引くとの懸念もあり、まだ 不透明な状況は脱していないと指摘。「今後はユーロサイドでネガティ ブなニュースが出るにしたがって、ユーロが売られてしまう可能性があ る」と語った。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセン ブルク首相兼国庫相)は、ギリシャがデフォルトに陥れば、感染を引き 起こす恐れがあり、どんな犠牲を払ってこれを阻止する必要があると語 った。仏紙フィガロがインタビューでの発言として報じた。

前日の欧州債市場ではイタリアの10年債利回りが一時、7週間ぶ りに6%を割り込んだ一方、ポルトガルの国債相場が下落。同国とドイ ツの10年債利回り格差は最大13.23ポイントに拡大し、1997年にブ ルームバーグがデータ収集を開始して以来では最大を記録した。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、「オフィシャルな予定でいくとポルトガルは来年9月に 自力で国債市場に復帰する予定だが、この利回りだとおそらく無理で、 追加支援が必要といった話が出てくる時期が思ったより早く来ている感 じだ」と指摘。「ポルトガルは今までたどってきている道も、これから たどっていくであろう道も、ギリシャとあまり変わらない」と話した。

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