【今日のチャート】イオン株にCBの壁、投資家は急激な希薄化を懸念

イオンの年初来株価が日経平均に 採用されている小売株の中で最も悪いパフォーマンスとなっている。 市場関係者は、今年償還を迎える新株予約権付社債(CB)が株式の 希薄化要因となるため投資家が嫌気していると見る。

3-11月期決算でイオンは、過去最高となる1146億円の経常利益 を記録した。しかし、今日のチャートによるとイオン株は3-11月期 決算が発表される前に比べ5.1%下落している。

イオンの株価パフォーマンスは同じく3-11月期で過去最高の経 常利益を計上したセブン&アイ・ホールディングスだけでなく、平均 株価や東証小売株指数と比べても下回る。

昨年3月から始まった2011年度は、イオン、セブン&アイ、ロー ソン、ファミリーマートといった小売大手に追い風になっている。東 日本大震災に端を発した一時的な商品不足から消費者が、調達力の高 さや食の安心、安全に対する施策を打ち出す小売大手に引き寄せられ たためだ。

それでも年初から低迷するイオン株についてフィスコの藤井理債 券ストラテジストは、株の希薄化リスクを挙げる。今年11月22日に 償還日を迎える500億円のCBにはソフトコール条項が付いており、 今年1月4日以降、株価が1081円を20営業日連続で超えることがあ れば会社側が強制的に株式に転換できる。転換された株式数は発行済 み株式数の6.9%に当たり希薄化要因となる。

藤井氏は「同様のCBを発行していたソフトバンク株は昨年5月 の強制転換後、急落した」として、急激に希薄化する懸念が上値を重 くしている要因と説明した。そのため当面は1081円が上値の壁になる と見ている。

成長と財務体質強化の両立が課題

同業他社に比べ、イオンは財務の安定性に難点があると指摘され てきた。ブルームバーグデータによれば、財務の健全性を示すイオン のデット・エクイティ・レシオ(負債・資本比率)は1.03倍とセブン &アイの0.43倍を上回る。

昨年10月、イオンが中国・四国地方のスーパー、マルナカの買収 を発表したことを受け、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S &P)は財務基盤が悪化する可能性が高いとし、イオンの格付け見通 しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。

スタッツ・インベストメントマネジメントの大木昌光ファンドマ ネージャーは「イオンは中国や東南アジアにも積極出店する姿勢を見 せ、成長が期待できるが資本が足りず増資するのではないか」と懸念 する。

ジャパンインベストの大和樹彦アナリストは、イオンが株式の希 薄化を上回る成長を果たして株価が上昇しながら、転換社債の株式へ の転換が進み、財務の健全性が増すという好循環に期待する。大和氏 はイオン株価上昇の条件に、「今期の好調要因が震災による一過性のも のではなく持続的なものであることを実績で示すしかない」と話す。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE