ホンダ:来年度販売は過去最高400万台、業績は金融危機前水準へ

昨年の東日本大震災やタイ洪水で 生産に影響を受けたホンダの伊東孝紳社長は、来年度を「完全復活の 年」と位置付けている。四輪車の世界販売は過去最高の400万台を目 指すほか、業績も「伸ばす自信がある」と述べ、2008年秋の金融危機 前の水準に回復する見通しを明らかにした。

伊東社長は25日の都内でのインタビューで、来年度は北米、アジ ア、日本を中心に「リカバリー」を図ると述べた。特に北米では、昨 年投入した新型「シビック」や新型「CR-V」が売り上げに本格寄 与するほか、今秋に投入予定の新型「アコード」の効果が期待できる と語った。

タイ洪水では現地の四輪車工場が浸水し、今年度業績への影響が 避けられないが、4月からは生産を再開する見込みで、来年度への影 響は大きくないとしている。工場を移転することについては、稼働ま で2年程度かかるため「ありえない」と述べ、代わりに治水対策を徹 底するという。

ゴールドマン・サックス証券の湯澤康太アナリストは、米国市場 でホンダの反転攻勢が始まるとみている。競合する韓国ヒュンダイ(現 代)自動車は生産能力不足に陥り、新型車の投入数も限られているた め、今年はホンダがシェアを上げると指摘した。昨年の自然災害の影 響で在庫不足はあるが、為替前提によっては金融危機前の利益水準を 取り戻すことは可能とコメントした。

今年の米国販売は大幅増へ

ホンダの昨年の米国販売は、震災やタイ洪水の生産への影響で前 年比6.8%減の115万台となった。これに対し、ヒュンダイの米国販 売は同20%増の64.6万台に拡大した。ホンダは今年、米国で前年比 24%増の143万台の販売を見込んでいる。市場規模は1350万台の想定。

ホンダの業績推移をみると、07年度は世界で四輪車392.5万台を 販売し、営業利益は9531億円にまで拡大していたが、金融危機を受け た翌年度は収益が急落。その後、10年度は351.2万台を販売、営業利 益5697億円となっていたところに、震災と洪水に見舞われた。ブルー ムバーグが集計したアナリスト予想の平均値で、来年度の営業利益は 5866億円。

みずほ投信投資顧問の青木隆ファンドマネジャーは「米国市場の 足元が順調なため、米国への依存度が高いホンダは恩恵が大きい」と 述べた。一方、過去最高の販売台数を達成する可能性はあるとしなが らも、「為替レベルが当時とは違うので、利益を金融危機前に戻すのは 課題が多い」と指摘した。

日本は「現状の利益率を下げるな」

日本市場について伊東社長は、ラインアップの大幅刷新を図った 「軽自動車で利益を上げるのは大変」という認識を示した上で、当面 は軽自動車で利益が出る体質づくりを優先すると語った。利益率につ いては「現状の率を下げるな」と指示しているという。利益体質の構 築は「この5年くらいが勝負だ」と述べた。昨年度のホンダの営業利 益率は約6.4%で、うち日本市場は約1.8%だった。

ホンダは世界各地域で利益が出るように、生産体制を再構築して いる。伊東社長は、これまで「日本で大きい車種から小さい車種まで つくって分配していた構図」だったが、円高問題などもあり、世界6 地域で現地生産・販売を進める方針に切り替えたと語った。各地域で は生産分の7-8割を現地販売し、残り2-3割を別地域と補い合う のが理想という。ホンダは10年に国内で99.3万台を生産し、国内販 売が64.7万台。輸出比率は約31%に上る。

北米市場では、メキシコに年間生産能力20万台規模の四輪車工場 を建設予定。14年の稼働開始時の北米生産能力は183万となる。ホン ダは高級スポーツカー「アキュラ NSX」を3年以内に米オハイオ州 で生産することを発表しているほか、現在は北米販売分の4分の1程 度を日本から輸出している高級ブランド「アキュラ」についても、い ずれ北米生産に切り替える意向を示している。

利益寄与は中国・アジアで伸びる

今年の中国市場について伊東社長は、全体需要が2000万台程度で、 ホンダの販売は75万台の見通しと述べた。ホンダは今年、中国にハイ ブリッド3車種を投入予定。中国の排ガス基準の引き上げで燃費向上 の要求が強くなるにつれ、ハイブリッド技術は有力な競争力の源泉に なるとみている。

中国では、欧州市場向けの輸出車専用工場の稼働率が50%程度に とどまっている。だが、他地域を補完できる拠点として「リスクヘッ ジの役割」を果たすとして、一時的な労働賃金や人民元の上昇を理由 に他地域への移管は考えていないという。

ホンダは現在、営業利益の半分以上を北米に依存している。伊東 社長は、中国やASEAN(東南アジア諸国連合)中心のアジア地域で 販売や利益体質を強固にすることで「他地域の伸びが北米を凌駕(り ょうが)する」形になると述べた。全体の利益体質の強化に5年程度 かけ、完成までには10年ほどを見込むという。

ホンダの昨年の中国販売は前年比4.5%減の61.8万台で、99年に 中国で販売を開始して以来、初の前年割れとなった。

タイ洪水の影響を受けたホンダは昨年10月末、今年度の業績予想 を白紙撤回。1月31日の四半期決算発表時に、業績予想を示す予定。 昨年8月1日発表の業績予想では、今年度の売上高8兆7000億円、営 業利益2700億円、為替前提が1ドル=80円、1ユーロ=112円だった。

ホンダの株価は27日の午前終値で前日比0.4%安の2732円。昨 年は11月22日に年初来安値の2127円を付け、その後は12月後半か ら上昇傾向となっていた。

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