エルピーダへの公的支援、再認定の公算大きい―市場関係者の見方(1)

国内唯一のDRAMメーカーである エルピーダメモリへの公的支援が、3月末に期限切れを迎える。市場関 係者の間では、2009年の支援実施はDRAM産業保護が目的だったこと もあり、経済産業省が支援計画を再認定するとの見方が優勢だ。

エルピーダはリーマンショックで09年3月期に過去最大1789億円 の純損失を計上。同年6月に経産省が改正産業活力再生特別措置法(産 活法)に基づき出資300億円と銀行団の融資1100億円からなる支援を認 定、11年3月期まで純利益を確保した。しかし、円高とDRAM価格下 落で採算が悪化、支援が継続されるかが焦点となっている。

朝日ライフアセットマネジメントの中谷吉宏シニアファンドマネジ ャーは「日の丸DRAMとして経産省主導で再編したため、つぶすのは 難しい」という認識。仮にエルピーダが倒産すれば、同社からDRAM を調達している日本の電機メーカーが「韓国勢に相当頼らなくてはなら ならなくなる」と指摘している。

東海東京調査センターの佐藤春雄アナリストも、産活法が再適用さ れ銀行からの融資が継続される可能性は「7、8割」だと述べている。

枝野幸男経産相は6日の閣議後会見で09年のエルビーダ支援は、日 本のDRAM産業の重要性を認めたためとの見方に同意し、厳しい業界 環境下で同社の「動向は注視している」と発言。同省幹部がエルピーダ 株のインサイダー容疑で逮捕後の20日の会見では、産活法の再適用など について「予断を与えるようなことは言うべきではない」と述べた。

再編の難しさ

ミョウジョウ・アセットマネジメントの菊池真社長は、経産省が再 適用を認めない可能性が「ゼロではない」と語る。DRAM産業は常に 価格下落に悩まされて開発競争の負担も大きく、収益の安定確保が難し いためであり、国産DRAMメーカーの必要性について同省内などで 「議論があるかもしれない」と指摘する。

みずほインベスターズ証券の石田雄一アナリストは、借り換え実現 に向け金融機関を納得させられるビジネスパートナーが必要と強調。エ ルピーダに関しては同業の米マイクロン・テクノロジーや、その提携 先の台湾ナンヤ・テクノロジー(南亜科技)との提携報道が相次いで いる。石田氏は、エルピーダとマイクロンに取引関係があることから 「日米台連合の実現可能性がないとは言い切れない」と述べている。

09年に経産省が認定した計画では、台湾当局が半導体業界再編を通 じ設立を計画した企業から09年度中に200億円程度を出資する方向性が 明記されたが、台湾の業界内などで反対が強まり、立ち消えになった。 エルピーダは現在、ナンヤと特許係争中だ。

返済期限

エルピーダの昨年9月末の現預金残高は1002億円。24日に社債300 億円を償還したため、700億円水準に減っている計算。これに対し、3月 22日には別の社債150億円の償還、4月2日には公的支援に伴い受けた 銀行融資の残額約770億円の一括返済期限が、それぞれ控えている。

坂本幸雄同社社長は昨年10月の決算発表で、銀行側に借り換えを要 請しているが「多分それだけでは足りない」として、取引先に資金支援 を要請したと語った。さらにDRAMで圧倒的な世界シェアを持つ韓国 サムスン電子などによる寡占の弊害も強調した。同11月に台湾の半導体 関連企業、華東科技はエルピーダ子会社への38億円出資を発表した。

米調査会社アイサプライによる昨年7-9月のDRAM販売額シェ アはサムスンが45.0%。2位は同じ韓国のハイニックス半導体の21.5% で、エルピーダは3位の12.1%、マイクロンも僅差で4位。

BGCパートナーズのアミール・アンバーザデ氏(シンガポール在 勤)は、エルピーダ製品を採用している米アップルが、資金支援に興味 を示す可能性を指摘する。ブルームバーグ・データによると、アップル は昨年末現在、現金や株式などの資産を976億ドル(約7兆6000億円) 保有している。

アップルが興味の見方も

アップルはサムスンと特許係争中。アンバーザデ氏はこうした背景 もあり、DRAM安定調達のためエルピーダに500億円を支援したとし ても「小銭のようなもの」だと述べている。

エルピーダ広報担当者は25日、電子メールでの回答で、公的支援 の先行きや財務の現状に関するコメントは避けた。同社支援にアップル が興味を示す可能性があるとの見方についても「うわさや憶測にはコメ ントしない」とした。

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