父に国際社会の憂慮直言、世襲同意せず-金正男氏の独白紹介本が出版

東京新聞の五味洋治編集委員が昨 年12月に死亡した北朝鮮の金正日総書記の長男、金正男氏との間でや り取りしたメールやインタビューを基にした本が緊急出版された。五 味氏は24日、日本外国特派員協会で会見し、総書記急死という機会を とらえて正男氏の人物像について知ってもらいたかったとの出版理由 を説明した。

「父・金正日と私」-「金正男独占告白」と題する本は文藝春秋 が出版した。五味氏は本で、正男氏とは2004年に北京国際空港で偶然 出会った、その後、マカオと北京で、2回にわたり、直接会ってイン タビューし、約150通のメールをやり取りしたなどと紹介している。

その詳しいいきさつとインタビュー、メールの内容をまとめのが 本で、正男氏は、3男の正恩氏が総書記の後継者となったことについ て葬儀が終わった1月のメールで「常識的に考えて、世襲を3代続け ることに同意することはできないでしょう。37年間続いた絶対権力を、 2年ほど後継者教育を受けただけの若者が、どうやって受け継いでい けるのか疑問だ」と指摘。「正恩は単なる象徴となり、これまでのパワ ーエリートが実権を握るだろう」と分析している。

2010年11月23日に起きた北朝鮮による延坪島への砲撃事件につ いて同25日付のメールは「実に心配です。今日インターネットを通し て、一角で今回の砲撃が、私の弟の政治的功績に宣伝されていると指 摘されているのを見ました。事実ならば非常に遺憾なことです」と心 情を吐露。「宣伝だけ聞いて生きる北朝鮮住民たちは、なにも実情は分 からないでしょうが、全世界が私の弟を悪く見るようになるのは胸が 痛いことです。私は弟が民族の徳望高い指導者になるように願います」 と、正恩氏に対する思いを語っている。

怖い印象

さらに同29日付メールは「私は父親にいつも直言しています。機 会ごとに、考えられる点などを、そのまま計画なしで直言します。過 去核実験、ミサイル発射実験に対する国際社会の憂慮を直言したこと があります。最近も、北朝鮮住民たちの潤沢な人生のためにまい進す るように弟(正恩氏)をよく教育してくれ、という注文もしました」 と述べている。

生存中の父、正日氏との関係についてメールでは「父上は、一般 的に考えられている印象と違いますね。とても怖い印象をメディアが 作り上げている」と指摘。「父の愛情はまだ続いていると思う。子供と 父親の関係は、悪くなったり、よくなったりするものだ。人生の環境 が違うだけだ。父は指導者で、私は外部で自由にしています。父の愛 情は変わっていない」と漏らしていた。

--取材協力:坂巻幸子 Editor: Hitoshi Sugimoto, Norihiko Kosaka

+852-2977-6934 phirschberg@bloomberg.net

Sachiko Sakamaki

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