IMF:12年世界経済成長見通し下方修正-欧州はリセッション入りへ

国際通貨基金(IMF)は24日 発表した最新の世界経済見通し(WEO)で、世界経済の成長率予想 を引き下げた。ユーロ圏は「景気後退(リセッション)」入りし、中 国とインドでは成長が鈍化すると見込んでいる。

IMFはWEOで、2012年の世界の経済成長率を3.3%、13年 を3.9%と予想。昨年9月時点の前回予測はそれぞれ4%、4.5%だ った。ユーロ圏については、今年「緩やかなリセッション」に入る可 能性があるとし、マイナス0.5%成長を見込む。前回予想は1.1%の プラス成長だった。米国は1.8%と前回予想を据え置いた。

IMFは「短期的な見通しが著しく悪化した」と指摘し、「ユー ロ圏における緊張の高まりと他地域の脆弱(ぜいじゃく)さが世界の 回復を脅かしている」との認識を示した。

IMFは、今回の見通しは欧州債務危機に対するユーロ圏17カ 国の取り組み強化にかかっていると指摘。IMFは同危機を「最も差 し迫った政治的課題」と言明した。他国への危機波及を阻止するため、 欧州政策当局に対して救済基金の規模拡大を要請するとともに、欧州 中央銀行(ECB)による支援継続を求めた。

IMFのラガルド専務理事は23日にベルリンで、「より大きな ファイアウオール(防火壁)が必要だ」と発言。「それがないと、イ タリアやスペインにように元来債務返済が可能な国までも、異常な調 達コストによって支払い危機に追い込まれる恐れがある」と語った。

中国は8.2%成長

新興諸国の今年の成長率についてIMFは、「外部環境の悪化と 主要新興国での内需の鈍化」を理由に、昨年9月時点で予測した

6.1%から5.4%に下方修正した。国別では、中国を9%から8.2% に引き下げ、インドは前回予想よりも0.5ポイント低い7%とした。

先進諸国の成長率見通しは1.9%から1.2%に下方修正。日本は

1.7%と、9月時点の予測から0.6ポイント引き下げた。イタリアと スペインは主要先進国の中で最も引き下げ幅が大きく、イタリアはマ イナス2.2%(前回予想プラス0.3%)、スペインはマイナス1.7% (同プラス1.1%)の見通し。

IMFは、「ユーロ圏の信頼感の維持に向け、ECBは流動性供 給を続け、国債購入に全面的に関与し続ける必要がある」と指摘。さ らに、欧州で「時宜を得た追加的な金融緩和措置」が取られるよう提 言し、先進諸国に協力的な金融政策をより幅広く呼び掛けた。

財政面での調整余地がある国に対しては、「短期間での過度な財 政調整」に警鐘を鳴らした。そうした措置が成長を一段と弱め、市場 の信頼を損なう恐れがあるためと説明している。

「政治の機能不全」

IMFはこうしたリスクが米国にも存在すると警告し、「政治の 機能不全」によって景気刺激的な支出が突然巻き戻される可能性があ るとみている。日米「両国ともに、安全な避難先としての地位を当然 と考えることはできない」として、中期的な債務削減計画を示す必要 があるとした。

IMFは24日公表した別の財務監視リポートで、先進諸国では 「中期的な債務の持続性を確保するため引き続き調整が必要だが、生 産と雇用の適切な伸びを支えるペースで実行されることが理想的だろ う」と解説した。

IMFによると、今回の経済見通しは原油相場を現行水準に近い 1バレル=99ドルをベースに作成。原油以外の商品相場は今年14% 下落するとみている。新興諸国は国内外の需要鈍化への対応に注力す る必要があると分析している。

インフレが抑制され財政に余裕がある中国などの新興諸国は、貧 困層向けに支出を増やす必要があると指摘。「多く」の中南米諸国な ど財政余力が比較的小さい国は、利上げを停止すべきだと提言した。

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