クレディS、デリバティブ関連債で一部賞与支給-行員にリスク移転

スイスの銀行クレディ・スイス・ グループは2011年の上級従業員向けボーナスの一部をデリバティブ (金融派生商品)に裏付けられた債券で支払う計画だ。同行は2008 年にも同様の手法で賞与を支給し、リスク資産を整理しつつ従業員に とっての価値を保持した経緯がある。

ブレイディ・ドゥーガン最高経営責任者(CEO)はスタッフ向 け文書で「適切なバランスを取り、従業員と株主の協調を目指す」と 述べ、「会社から従業員へのリスク移転だ」と説明した。広報担当のス ザンヌ・フレミング氏は文書の内容を確認したが、それ以上のコメン トは控えた。

クレディ・スイスは現金賞与や制限付きの株式に加えて従業員に 支給されるデリバティブ債券ボーナスを創設した。同行は米金融危機 の最悪期にあった08年にジャンク級(投機的格付け)のローン債権や 商業用不動産ローン担保証券などで構成する総額50億5000万ドル(約 3900億円)の基金の株式を従業員に支給したことがある。事情に詳し い複数の関係者によると、このボーナスは金と同じくらい良い投資資 産だったことが判明しており、08年末から昨年11月30日までのリタ ーンはプラス75%だったという。

ウォール街の大手金融機関は昨年のトレーディングや投資案件組 成業務などの落ち込みを受けて、報酬の抑制に動いている。ゴールド マン・サックス・グループやモルガン・スタンレーなどは、欧州債務 危機で昨年の利益と株価が振るわなかったためボーナスを縮小。関係 者が先週明らかにしたところによると、モルガン・スタンレーは11 年の報酬パッケージで将来に支給を繰り延べる部分の割合を75%と、 2年前の40%から拡大した。

資産圧縮

クレディ・スイスなど欧州の銀行は監督当局からの資本増強要請 に対応するため、流動性の低いローン債権や確定利付き証券の処分を 進めている。欧州の銀行は今後2年で9500億ユーロ(約95兆円)の 資産圧縮を公約している。クレディ・スイスのドゥーガンCEOは「新 たな資本要件と環境に迅速に順応して持続可能なビジネスモデルに到 達することが重要だ」と述べた。

ドゥーガンCEOの文書によると、同行が新たに創設したボーナ ス債券は「広範囲な業種や地域」の約800の事業体に関連する「デリ バティブ・カウンターパーティー・リスクから成る多様なポートフォ リオ」に裏付けられている。この金融資産は同行のデリバティブ事業 の与信残高の約18%をカバーしており、94%は投資適格級。同行は同 金融資産で最初の5億ドルの損失部分を吸収し、従業員のリスクを軽 減する。ボーナス債券は9年後に償還され、スイス・フラン建ての保 有者には5%、その他の保有者は米ドル建てで6.5%のクーポンをそ れぞれ支払うという。

ドゥーガンCEOは文書で「これはリスクのある投資だが、当行 の実績に基づいた最高のシナリオでは、金利と元本を全額支払うこと になるだろう」との見通しを示した。同文書は行員に支給する債券の 額などについては明記していない。

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