米大統領選争点は債務より雇用-財政赤字が批判の「武器」にならず

米債券市場では、財政赤字問題 が大統領選挙戦での批判の「武器」としての力を失いつつある。

ブルームバーグが集計した行政管理予算局(OMB)と国際通 貨基金(IMF)のデータによれば、今年の連邦政府の利払い費は 国内総生産(GDP)の3.1%になる見通し。1991年のブッシュ(父) 政権当時は過去50年で最高の4.8%を付けていた。80年以降では、 オバマ政権よりも低いのはブッシュ前政権下の2004年だけ。

連邦政府債務は昨年夏の米国政治で最大のテーマで、ミシェ ル・バックマン下院議員ら「ティーパーティー(茶会党)」支持派 議員が債務上限引き上げの阻止を図った。その後の国債入札では応 札倍率は過去最高水準で、米格付け会社スタンダード・アンド・プ アーズ(S&P)が米国の格付けを最上級の「AAA」から引き下 げたものの、利回りは記録的低水準となった。今月19日にサウス カロライナ州で開かれた討論会では、共和党の大統領候補者と司会 者は「雇用」という単語を43回使用したが、「債務」は11回しか 使わなかった。

ブラックロックの債券担当チーフ投資ストラテジスト、ジェフ リー・ローゼンバーグ氏は17日の電話インタビューで「債券市場 からの政治的圧力がほとんどないのは、米国が世界の基軸通貨を発 行し、資金の避難先であるという地位にあることで恩恵を受けてい るからだ」と分析した。

OMBのデータによると、今年の借り入れコストはクリントン 元大統領が再選を目指した1996年のGDP比4.4%を下回る見通し。 ブッシュ(父)元大統領が出馬した92年は同4.6%だった。

債券自警団は沈黙

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのデータによ ると、ユーロ圏の崩壊懸念を受け、昨年の米国債相場は9.8%上昇 し、2008年以来最高のリターンを記録した。これは米財務省にとっ ては追い風で、クレディ・スイス・グループの今月6日の試算によ ると、同省は今年、実質で9670億ドルの米国債を発行する見通し。

財政政策の緩みに対して米国債売りを通じて抗議する投資家 を「債券自警団」と1983年に名付けたエド・ヤルデニ氏は「今の ところ債券利回りに上昇圧力は見られない」と指摘。ヤルデニ・リ サーチの社長兼チーフ投資ストラテジストを務める同氏は「政府の 過大な財政を可能にしている最大の要因は米連邦準備制度理事会 (FRB)だ」と述べ、「FRBのゼロ金利政策と量的緩和策が債 券自警団の抗議を抑え込んでいる」と分析した。

先週の米国債相場は米景気改善を示す指標や欧州債務危機が 解決に近づきつつある兆候を受けて下落。10年物米国債利回りは 16ベーシスポイント(bp,1bp=0.01%)上昇し2.03%で終 了した。上昇幅は4週間で最大だった。

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