昔ながらの米石油試掘業者、シェールオイル発見で株式100億ドル保有

ハロルド・G・ハム氏(66)は道 に迷ってしまった。同氏は米コンチネンタル・リソーシズの会長兼最高 経営責任者(CEO)。ノースダコタ州西部でSUV(スポーツ型多目 的車)のシボレー・タホを運転し、ヒマワリ畑や牛が点在する牧草地を 駆け抜ける。

このなだらかな丘陵地の大草原で、ハム氏は数百万バレルの原油を 発見した。それなのに、よく晴れた秋のある日、自身の保有するリグ (掘削装置)のうちの1つをなかなか見つけられないでいた。ブルーム バーグ・ビジネスウイーク誌1月23日号が報じている。

後部座席では、ハム氏の広報担当者がスマートフォン(多機能携帯 電話)を使って方角を確かめている。「東に3マイル(約4.8キロメー トル)、北に5マイルだね。分かった」。ハム氏はオクラホマ州出身者 特有のゆっくりとした口調で話す。

誰かの動いていないコンバインや石油関連の労働者が住んでいる トレーラーハウスのそばを通り、ハム氏は自身の企業が既に掘削して いる油井を、まるで自宅の中を客に見せるように指さした。曲がり角 を行き過ぎては肩をすくめ、停止して引き返す。「今日はノースダコタ では素晴らしい日和だ。きっと見つけるよ」と話す。

ついにハム氏は高さ140フィート(約43メートル)のリグを囲む ほこりっぽい場所に着いた。ヘルメットをかぶり耐火性のつなぎを着た 作業員たちが忙しく立ち働いている。ハム氏の説明によると、この場所 だけで掘削機4基が地下約2マイルの深さまで掘り進む予定だ。そし て、方向を変えて岩石に水平に穴を開け、北方に2カ所、南方に2カ所 の油井を掘る。ハム氏自身もヘルメットとつなぎを身に付け、ポケット に両手を突っ込んで目を輝かせてリグを見ている。

ドリルビットの音が響く中、「間違いなく、ここもこの先の場所と 同じだろう。この先では日量約2000バレル生産できる油井が見つかっ た」と大声で話す。この生産量は、コンチネンタル・リソーシズに1日 当たり約15万ドル(約1200万円)の収入をもたらす。

プルドー湾油田以降で最大

ハム氏はバッケン・シェール(頁岩)層を買収した人物だ。バッケ ン頁岩層は、米国で発見された油田としては1968年のアラスカ州プル ドー湾油田以降で最大。バッケン頁岩層はノースダコタ州中部からモン タナ州の北東の端まで続き、南はカナダのサスカチワン州とマニトバ州 にまで広がる。ハム氏はノースダコタ州で約20年前に初めて土地をリ ースし最初の油井の掘削を始めた。他社が断念しても掘り続けた。

現在、コンチネンタルの時価総額は140億ドルに膨らみ、バッケン 頁岩層でのリース面積は90万エーカー以上、リグ24基、油井350カ 所以上を擁し、ヘスなどの石油大手に競合する規模を誇っている。

ブルームバーグが集計したデータによると、コンチネンタルの収入 は2年前と比較して約3倍に増加し2011年は17億6000万ドルが見 込まれる。調整後利益は7倍の5億3800万ドルと推計されている。ハ ム氏と家族が株式の78%を保有し、総額は100億ドルを超える。

「石油を見つけた」

ハム氏は中背のがっちりした体格。いたずらっぽい笑みを浮かべ、 右手にはダイヤモンドがちりばめられた指輪をはめている。米国の石油 業界から消えてしまった独特の個性を再現しているような人物だ。土地 をリースし、原油がありそうでもなさそうでもドリルビットを設置する ことを恐れないハンターのような石油試掘業者なのだ。

出身地のオクラホマ州にあるコンチネンタルの本社へ向かう自家用 ジェット機に乗るため自動車を走らせながら「私は石油を見つけた。米 国では人々は石油を掘削する意志を失っている。でも、私は他の人より ちょっと頑固なんだ」と話した。

コンチネンタルのような企業の成功を背景に、米国では原油探鉱が 静かに返り咲いている。天然ガス探鉱の急増が強い関心を集めている が、現在ではガスより原油のリグの方が多い。油田サービス会社のベー カー・ヒューズによると、リグの数は1191基と、1年前の402基から 増え、07年時点と比較すると4倍に増加した。テキサスやワイオミン グ、オクラホマ、オハイオなどの州で増えている。

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