【日本株週間展望】戻り続き9000円も視野、欧州懸念後退や米国期待

1月4週(23-27日)の日本株相 場は電機など輸出、金融といった景気敏感業種を中心に引き続き戻り を試す展開となりそうだ。欧州債務問題への過度な懸念が後退し、為 替のユーロ安が一服しているほか、米国経済指標の改善傾向から、投 資家のリスク回避姿勢が和らいできた。海外投資家の買い越し基調が 続けば、日経平均株価は約3カ月ぶりの9000円回復も視野に入る。

東京海上アセットマネジメント投信の久保健一シニアファンドマ ネジャーは、「フランス国債の格下げをマーケットは無難に消化し、ユ ーロ圏での国債入札も波乱なく通過していることなどを総合的に考え ると、目先はリスクオンで、日本株も上昇が見込まれる」と言う。

第3週の日経平均株価は続伸し、前の週に比べ266円(3.1%)高 の8766円36銭で終了。スペインやフランスの国債入札が順調だった ほか、米国では雇用や住宅市場の統計が改善したことを受け、世界的 に株式を買う流れが強まった。TOPIXは4週連続の上昇。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は13 日、 欧州各国首脳による域内債務危機封じ込めの取り組みが依然不十分だ と警告し、ユーロ圏9カ国の国債格付けを引き下げた。フランスとオ ーストリアは最上級格付けを失った。これを受け、欧州域内の資金調 達コストの上昇が懸念されるなど、債務問題の先行き不透明感から16 日の東京外国為替市場ではユーロ売りが進行。対円で一時97円4銭と、 2000 年12月以来となる1ユーロ=97円割れが迫った。

欧州格下げの反応薄、心理改善顕著

ただ、しんきんアセットマネジメント投信運用部の藤本洋主任フ ァンドマネジャーは、フランス国債の格付けが「AAA」から「AA +」に引き下げられたことなどは「マーケットでかなり織り込まれて いたため、あく抜け感がある」と見ている。為替市場でユーロ売りの 流れは続かず、20日の東京市場では午後4時半すぎに1ユーロ=100 円30銭台と、昨年12月30日以来のユーロ高・円安水準に振れた。

足元では、投資家心理の改善も目立つ。19日の米シカゴ・オプシ ョン取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は、19.87 と 昨年7月25日以来の20割れ。金融市場の緊張緩和で、銀行の調達金 利の指標となるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)ドル建て3カ 月物は低下し、3カ月物ドル建てLIBORと同期間の財務省短期証 券(TB)利回りとの差であるTEDスプレッドも縮小方向にある。

欧州債務、金融システム問題への過度な警戒感の後退で、日本株 市場では「リターンリバーサル狙いで、これまで売られてきた輸出関 連や金融株を中心とした相場の戻りが目先続く」と、しんきんアセッ トの藤本氏は予想した。東証1部33業種の年初来上昇率を見ると、1 位が証券・商品先物取引で、不動産、非鉄金属、機械、輸送用機器な どが続き、総じて昨年売り込まれ業種ほどパフォーマンスが良い。

海外勢買い持続が焦点

相場の一段高には、売買代金シェアで7割近くを占める海外投資 家 の買いが必要だ。東京証券取引所が19日に発表した投資部門別売 買動向によると、東京、大阪、名古屋3市場の1・2部合計で、海外 勢は1月2週まで3週連続で日本株を買い越し、この週の買越額は 1535 億円と、昨年10月4週(1584億円)以来の大きさとなった。

米証券のバンク・オブ・アメリカ-メリルリンチによる1月のフ ァンドマネジャー調査では、世界の投資家の経済見通しは改善してお り、資産配分の比重では現金や債券が低下する一方、株式は上がった。 ただ、日本株比重(オーバーウエートからアンダーウエートを引く) については、昨年12月のマイナス20%から1月は同28%とアンダー ウエートが拡大、日本株への弱気は増えた。

同調査では、日本企業の業績に対する見方も悪化し、日本株が割 安とする回答も少なく、メリルリンチ日本証券の菊地正俊チーフ株式 ストラテジストは、海外勢による日本株買いが今後増えていくために は「日本独自の好材料が必要だろう」と指摘している。

東証1部の売買代金は、20日まで3日連続で1兆円を上回るなど 復調ムード。みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカル アナリストは、昨年11月中旬以降は同代金が1兆円を下回ることが多 く、上値での売りを吸収できずに相場は低迷したが、「1兆円台を今後 も維持できれば、上値をトライできる」との見方を示した。

日経平均、TOPIX双方のチャート分析では、これまで上値抵 抗線となってきた投資家の短期売買コストを示す25日移動平均線、中 期売買コストの75日移動平均線を第3週にそれぞれ上抜け、上昇トレ ンドへの期待感は高まりつつある。

米住宅統計相次ぐ、中国は休場へ

第4週は、23-24日に日本銀行が金融政策決定会合を開き、24 日 には経済・物価情勢の展望(展望レポート)の中間評価も発表する。 米国では、24-25日連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委 員会(FOMC)を開催予定。日米ともに金融政策に変更はないとの 見方が大勢で、東京海上アセットの久保氏は、日銀の展望レポート、 FOMC声明を含め「サプライズはない」とみている。

海外の経済指標では、米国で25日に11月の連邦住宅金融局によ る住宅価格指数や12月の中古住宅販売成約指数、26日に12月の新築 住宅販売件数など住宅関連の統計が多い。SMBC日興証券の嶋津洋 樹シニア・マーケット・エコノミストは、米住宅市場は「販売が底入 れし在庫も減少するなど、安定の兆しが見られる。住宅価格は中低価 格帯を中心に底入れし、一部で上昇に転じた可能性」もあると言う。

このほか、23日にユーロ圏財務相会合、24日にEU財務相会議が 開催予定。また、旧正月に伴い中国市場が1週間休場となり、中国株 動向の影響を受けない日本株の日中値幅も小さくなる場面が多そうだ。

-- Editor:Shintaro Inkyo

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