ユーロが2週間ぶり高値更新、欧州情勢の悲観論修正-一時100円14銭

東京外国為替市場では、午後の取 引でユーロが一段高の展開となり、ドルと円に対して今月4日以来の高 値を更新した。ユーロ圏内の国債入札好調や、金融安全網の拡充期待な どを背景に、域内債務危機に対する悲観論が修正され、ユーロ買いの流 れが続いた。

ユーロ・円相場は1ユーロ=100円ちょうど近辺で日本時間朝の取 引を迎え、100円06銭まで上昇したあと、戻り待ちの売りに押されて、 99円86銭まで下押された。その後、午後の取引にかけて再び値を戻 し、一時100円14銭と、約2週間ぶりの高値を付けた。ユーロ・ドル 相場は午前の取引で1ユーロ=1.2954ドルまで水準を切り下げたが、 午後に買い優勢となり、一時1.2981ドルと、約2週間ぶりの水準に上 昇した。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、ユーロは週初に 悪材料で売り進まれていたが、週後半にかけては、域内の債券動向や安 全網拡大などの好材料で戻す展開になったと説明。ユーロの売り持ち高 が高水準のまま残っている状況下で、株価上昇を背景としたリスク選好 の動きを追い風に、「買い戻しによるユーロ高につながった」としてい る。

一方、ドル・円相場は朝方に付けた1ドル=77円06銭から午前 に77円21銭までドル高・円安が進行。午後にかけては午前に形成さ れたレンジ内での取引に終始し、日中の値幅は15銭にとどまった。

欧州情勢の悲観緩和

仏政府は19日に、2年債、3年債、4年債の入札を実施。発行額 は計79億7000万ユーロと、目標上限の80億ユーロをほぼ調達。ま た、スペインでは2016、19、22年償還の国債入札で、計66億1000 万ユーロ相当を発行し、目標上限の45億ユーロを大幅に上回った。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、最近、欧州 の国債入札が好調で、格下げの影響は特になかったとし、「欧州情勢の センチメントは随分明るい感じになってきている」と説明。域内債務懸 念国の利回りも低下しており、最大のテーマであるリファイナンス(国 債の借り換え発行)懸念が後退してきたと言い、「ユーロが下がる材料 がだいぶなくなってきている」としている。

さらにEFSFのクラウス・レグリング最高経営責任者(CEO) は、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に格付け を引き下げられたものの、4400億ユーロ規模のEFSFの融資能力は 最大4倍に引き上げることが可能だと自信を示した。EFSFのクリス トフ・ロシュ報道官が明らかにした。

前日の欧米市場では、株高・債券安となり、米株価の予想変動率の 指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指 数(VIX指数)は昨年7月以来の水準に低下。リスク回避姿勢の緩和 を裏付ける展開となった。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、米株のボラティ リティ指数を見ても楽観度が増している感があるとし、東京市場は株価 堅調の流れを引き継いで「円が売られやすくなる」としている。

この日の東京株式相場は4連騰。TOPIXは終値ベースで昨年 10月31日以来の高値を付け、日経平均株価も11月7日以来の高値と なった。

欧州の先行き懸念残る

一方、ギリシャと債権銀行団の代表を務める国際金融協会(IIF )は、20日も引き続き債務交換に向けた交渉を続ける見通し。IIF が19日に発表した声明によると、「ダラーラ専務理事と仏BNPパリ バ会長の特別顧問ジャン・ルミエール氏はギリシャのパパデモス首相や ベニゼロス財務相と自主的な同国への自主的な民間部門関与(PSI) に関し、本日アテネで生産的な協議を行った」と言い、「前進があり、 協議は明日も続く」とされている。

上田ハーローの山内氏は、ギリシャの債務交渉は18日に再開され て、「順調に進んでいるのであればもう決まってもいいのではないか」 として、解決に関しては懐疑的にみているという。

また、18日には、国際通貨基金(IMF)が融資能力の増強へ最 大5000億ドルの調達を目指すと発表していたが、資本増強の方法につ いては、明らかになっていない。

外為オンラインの佐藤氏は、IMFの融資能力増大に関しては、現 段階でまだ提案されたというだけで、これから協議を詰めていく必要が あると指摘。IMFが資金増強しても問題の解決にはならないとの意見 も聞かれているとして、「まだ紆余(うよ)曲折があるかもしれない」 といい、「根本的に何も変わっていないのは事実」との見方から、ユー ロの戻りは限定される可能性も残るとみている。

安住淳財務相は20日午前の閣議後会見で、IMFが融資資金増強 を図る方針を示したことを受け、「事務レベルでのたたき台との認識だ 。資金増強の規模についての説明を聞いた上で日本としての方針を決め たい」との認識を示した。さらに「全く議論を否定するものではない」 としながらも、「資金をしっかりと確保してIMFが今後も効果的に世 界経済の中でレスキュー隊の役目を果たすには米国の協力は不可欠だ」 と指摘した。

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