今日の国内市況:株反発、債券反落-リスク回避緩和でドルと円が下落

東京株式相場は反発。フランスが 実施した証券入札の結果が好調だったことなどで欧州債務懸念に対す る過度の警戒感が後退、中国の金融緩和期待も追い風となった。機械 や電機など輸出関連株、銀行株が高く、震災復興やインフラ老朽化対 応需要の期待感が強い建設株は、東証1部33業種の上昇率トップ。

TOPIXの終値は前日比6.29ポイント(0.9%)高の731.53、 日経平均株価は88円4銭(1.1%)高の8466円40銭。

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が13日に欧州9カ国 を格下げし、その後初の入札として注目されたフランス政府による16 日の証券入札は、18億9500万ユーロ(約1840億円)相当の1年物の 利回りが0.406%と9日の入札時の0.454%を下回った。同時に発行し た3カ月物と6カ月物の利回りも低下。きのうの欧州株市場では、ポ ルトガルとスペインを除く16カ国で主要株価指数が上昇した。

きょうの東京外国為替市場では、直近の急激なユーロ安が一服。 昼には一時1ユーロ=97円70銭台と、朝方の97円10銭台に比べユ ーロ高・円安方向に振れた。さらに、中国の昨年10-12月の実質国内 総生産(GDP)が前年同期比8.9%増と10四半期ぶりの低成長にと どまったことを受け、金融緩和期待から中国・上海総合指数が午後に 入り大幅上昇したことも、日本株を押し上げた。

業種別でTOPIXの上げをけん引したのは、輸出関連や銀行、 建設だ。輸出関連では、メリルリンチ日本証券が2013年3月期の営業 利益予想を増額した日産自動車が東証1部売買代金首位で上昇。電機 では、中国の金融緩和期待も好感されたファナックが急伸し、高機能 携帯電話(スマートフォン)向け半導体投資の活発化で、三菱UFJ モルガン・スタンレー証券が格上げした東京エレクトロンも上げた。

また、大成建設や大林組、鹿島など大手ゼネコン株が上げ、東亜 道路工業、大林道路、熊谷組、飛島建設、西松建設など中低位の建設・ 道路株が東証1部の上昇率上位を占有。東証1部売買高トップの三井 住友建設の売買は1億979万株に達し、1銘柄で東証1部全体の売買 高の6%に及んだ。

ただ、日経平均はきのうの下落幅(121円)を完全に埋め切れず、 東証1部売買代金も盛り上がりを欠いた。S&Pは16日、ユーロ圏の 救済基金である欧州金融安定化基金(EFSF)の最上級格付けを引 き下げた。また、ギリシャの債務交換に向けた交渉など、欧州問題に 対する不透明感も依然残ったまま。

東証1部業種別33指数では建設、不動産、金属製品、その他金融、 機械、ガラス・土石、非鉄金属、電気・ガス、卸売などが上昇率上位。 一方で、情報・通信と小売の2業種のみ安かった。東証1部の売買高 は概算で17億6242万株、売買代金は同8231億円。値上がり銘柄数は 995、値下がりは505。

長期金利0.96%と3営業日ぶり高水準

債券相場は反落。前日に長期金利が1年2カ月ぶりの低水準まで 達したことへの警戒感から売りが優勢だった。この日実施の30年債入 札の結果は順調だったものの、相場を押し上げる要因にはならず、取 引終盤にかけて先物は一段安となった。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の320回債利回り は前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い0.95%で始まった。その後は 徐々に水準を切り上げ、午後1時半前後には2bp高い0.96%と3営業 日ぶりの高い水準を付けた。

長期金利は、前日に1年2カ月ぶりの低水準となる0.935%まで 下げた。市場参加者の間で、目先の低下めどとされていた昨年11月 17、18日に付けた今年度の最低水準0.94%を下回ったことで反動が出 たもよう。

財務省がこの日実施した30年利付国債(35回債)の入札結果に よると、最低落札価格は101円55銭となり、事前予想の101円50銭 を上回った。小さければ好調とされるテールは5銭となり、前回の9 銭から縮小。応札倍率は3.52倍と前回の3.00倍から上昇した。

30年物の35回債利回りは2bp高い1.92%。30年債の入札結果発 表後にいったん1.91%まで戻したが、再び売られた。20年物の132 回債利回りは3bp高い1.745%と3日日ぶり高水準を付けた。5年物 の101回債利回りは1.5bp高い0.345%。

東京先物市場で3月物は、前日比6銭安の142円73銭で取引を開 始し、午前は142円60銭台後半でもみ合った。午後に入ると水準を切 り下げ、結局は19銭安い142円60銭と、この日の安値で引けた。

ユーロは反発

東京外国為替市場ではドルと円が下落した。中国が発表した昨年 10-12月の経済成長率が市場予想を上回ったことを受け、投資家のリ スク回避姿勢が和らぎ、新興国通貨や資源国通貨に対してドル売り、 円売りが強まった。

ブルームバーグ・データによると、ドルは主要16通貨中15通貨 に対して前日終値比で下落。円も大半の主要通貨に対して売られた。

一方、ユーロは対ドル、対円でそれぞれ約17カ月ぶりと約11年 ぶりの安値付近から反発した。フランスや欧州金融安定ファシリティ ー(EFSF)の格下げなど悪材料をいったん消化したことで、ユー ロの売り持ち高を縮小する動きが優勢となった。

ユーロは対ドルで1ユーロ=1.26ドル半ばから一時、1.2737ドル まで上昇。対円では1ユーロ=97円前半から一時97円77銭まで値を 切り上げた。

また、ドル・円相場は朝方に1ドル=76円88銭までドルが強含 んだ後、対他通貨でのドル売り圧力に押され、一時76円64銭と約2 週間ぶりのドル安水準まで軟化している。

中国の昨年10-12月のGDPは前年同期比8.9%増に鈍化した。 新華社が日本時間午前11時の統計発表前に報じた数字と一致した。ブ ルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は前年同 期比8.7%増だった。

新華社の報道を受け、外国為替市場ではオーストラリア・ドルが 急伸し、対米ドルでは一時、昨年11月以来となる1豪ドル=1.0400 ドル台を付けた。

中国の国家統計局によると、同国の2011年のGDPは前年比

9.2%増だった。また、昨年12月の工業生産は前年同月比12.8%増(エ コノミスト予想中央値は同12.3%増)、小売売上高は同18.1%増(同

17.2%増)だった。

17日のアジア株式相場は全面高。10四半期ぶりの低成長にとどま った中国GDPを受け、金融緩和期待が膨らみ、上海総合指数は5営 業日ぶりに反発している。

安住淳財務相は17日午前の閣議後会見で、米格付け会社スタンダ ード・アンド・プアーズ(S&P)がユーロ圏の救済基金であるEF SFの格付けを引き下げたことを受け「直ちにEFSF債についての 信頼が揺らぐとは思っていない」との認識を示した。また、対ユーロ での為替介入の必要性については「慎重に為替レートの動向を見極め たい。欧州ではギリシャの債務削減の交渉などを見ながら為替が大き く動くこともある。慎重に対応したい」と語った。

S&Pは16日、EFSFの最上級格付け「AAA」を「AA+」 に一段階引き下げた。13日にはEFSFを保証するフランス、オース トリア両国の「AAA」格付けの引き下げを発表。このほか、ユーロ 圏7カ国も格下げした。

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