格付け会社スタンダード・アン ド・プアーズ(S&P)はフランスとオーストリアの最上級格付けを 引き下げた。ユーロ圏で安定的な「AAA(トリプルA)」格付けを 有する国はドイツのみとなった。S&Pは、各国首脳による域内債務 危機封じ込めの取り組みが依然不十分であると警告した。

S&Pは13日、フランスとオーストリアの格付けを「AA+」と、 これまでの「AAA」からそれぞれ1段階引き下げ、さらなる格下げ のリスクがあると発表した。フィンランドとオランダ、ルクセンブル クは「AAA」格付けを維持したものの、引き下げ方向で検討する 「ウォッチネガティブ」に指定。スペインとイタリアも、今回格下げ された9カ国に含まれている。

S&Pは「ここ数週間に欧州の政策当局者が取り決めた政策イニ シアチブでは、ユーロ圏で続いているシステミックな緊張に対応する のに不十分な可能性があるというのが当社の見解だ」と発表した。

今回の発表の影響が最初に試されるのは16日にフランスが実施す る最大87億ユーロの証券入札となる。過去の経緯を見ると、利回りは 少なくとも最初はさほど上昇しないとみられる。JPモルガン・チェ ースによると、1998年から昨年8月の米国債格下げまでの期間にAA A格付けを失った9カ国の10年債利回りは格下げから1週間の上昇率 が平均で2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)にとどまって いる。

救済基金への影響

今週は借り入れコストの低下や景気回復力の兆候、欧州中央銀行 (ECB)が信用逼迫(ひっぱく)を阻止したとの見方を示したこと などを背景に、欧州危機は峠に近づきつつあるとの兆しが増えていた。 フランスの格下げはユーロ圏の救済基金による金融市場での資金調達 を困難にする可能性がある。

政策助言会社リデファイン(ブリュッセル)のマネジングディレ クター、ソニー・カプーア氏は「格下げは数週間前から予想されてい たため」、格下げが予想外だった場合ほどの影響はないとの見方を示 した。

一方、ギリシャ政府と交渉している債権銀行団は13日、債務再編 による減免について合意に至らなかったと発表、ユーロ圏で最初のソ ブリン債デフォルト(債務不履行)が生じるリスクが強まっている。

S&Pは発表資料で、当局は「ユーロ圏の財政問題に完全に対処 するため、十分な規模と範囲を伴う成果」を出す必要が依然としてあ ると指摘。その一方で、経済成長減速に伴い「自滅」的な歳出削減に 注力し過ぎることにも警告を発した。

壊滅的ではない

フランスのバロワン財務相はフランス2テレビで、同国は米国と 同じ格付けだとして、「壊滅的な状況ではない」と述べた。

S&Pのソブリン格付け担当マネジングディレクター、ジョン・ チェンバース氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、E FSFの格付けは「保証を提供する国、特にトリプルA格付けの国に 依存している」と語った。

コメルツ銀行の債券ストラテジスト、デービッド・シュナウツ氏 (ロンドン在勤)は、「EFSFに関する戦略がどうなるのかは興味 深いだろう」と語り、格下げで「AAA格付けのEFSF債の発行額 が減少したり、あるいはEFSFがAAA格付け以外の債券の発行を 始める可能性がある」と指摘した。

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