1月10日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:ドルと円が下落、欧州の債務危機対応で前進の兆し

ニューヨーク外国為替市場では、ドルと円が主要通貨の大半に 対して下落。ドイツのメルケル首相と国際通貨基金(IMF)のラ ガルド専務理事の会談を受け、欧州首脳による債務危機終結に向け た取り組みが前進している兆候が増えた。

米ドルはブラジル・レアルとニュージーランド(NZ)ドルに 対して最も値下がり。中国人民銀行が経済成長押し上げを狙い行動 を起こすとの観測で株式・商品相場が上昇したことが手掛かり。先 進国通貨のインプライドボラティリティ(IV、予想変動率)は半 年ぶり低水準に低下した。ユーロは対ドルで先週以来の高値に上昇。 ユーロの下落を見込んだ取引が縮小したとの観測が背景にある。

ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャー ド・フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「中国をめぐる観測 で株価が大きく戻した」と指摘。欧州については、今週の当局者の 会合は現行計画についての協議であり、大きなリスク要因が出てこ ないことは市場も分かっている」と続けた。

ニューヨーク時間午後4時22分現在、ドルは対ユーロで前日 比1%未満下落し1ユーロ=1.2774ドル。前日は0.4%下げてい た。この日は一時1.2818ドルと、5日以来の安値まで値下がりし た。円はこの日ユーロに対してほぼ変わらずの1ユーロ=98円15 銭。ドルは対円で1ドル=76円84銭。

中国をめぐる観測

JPモルガン・チェースの指数によれば、主要7カ国(G7) 通貨の3カ月物オプションのIVは10.6%に低下し、終値ベース では昨年7月8日以来の低水準となった。為替が変動すると高利回 り資産への投資で利益が損なわれる可能性があるが、ボラティリテ ィの低下は、為替変動が起きる可能性が低くなることを示唆してい る。

この日は株式および商品相場が上昇。中国の昨年12月の輸入 の伸びは2年ぶりの低水準となり、景気押し上げのため預金準備率 がさらに引き下げられるとの観測が強まった。商品24銘柄で構成 するスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のGSCI指数は

0.9%上昇。S&P500種株価指数も0.9%上げた。

ブラジル・レアルは1.9%高の1ドル=1.7996レアル。一時

1.7950レアルと、1カ月ぶり高水準を付けた。NZドルは0.8% 上げて1NZドル=0.7936米ドル。オーストラリア・ドルは

0.7%高の1豪ドル=1.0310米ドル。中国はブラジルとオースト ラリアにとって最大の貿易相手国であるほか、ニュージーランドに とっても2番目の輸出相手国。

緩和策への期待

BNPパリバの為替ストラテジスト、メアリー・ニコラ氏(ニ ューヨーク在勤)は「一段と緩和策が実施されれば、信用創出と投 資がさらに支援される。そしてそれが商品や原材料への支援につな がる」と説明。「ユーロはリスクオン(選好)の環境に沿う形で上 昇しており、この上昇は欧州の基本的な見通しとは無関係だ」と続 けた。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE) のドル指数は0.1%下げて80.813。前日は81.503と、10年9月 以来の高水準に上昇していた。

メルケル独首相は、この日のラガルドIMF専務理事との会談 について、焦点はギリシャになると説明した。

◎米国株:続伸、S&P500は5カ月ぶり高値-中国の緩和策期待で

米株式相場は続伸。S&P500種株価指数は昨年7月以来の高値 をつけた。中国が景気刺激策を実施するとの憶測を背景に買いが入った。

S&P500種のセクター別指数は全10業種が上昇。特に商品関 連、金融、工業株の上げが目立った。バンク・オブ・アメリカ(B OA)とキャタピラーも高い。ダウ工業株30種平均の先陣を切って 前日夕に決算を発表したアルコアは一時4.5%上昇した後、伸び悩ん だ。一方、ティファニーは10%の急落。通期利益見通しを下方修正し たことが響いた。

S&P500種株価指数は前日比0.9%高の1292.08。昨年7 月29日以来の高水準となった。ダウ平均は69.78ドル(0.6%) 高の12462.47ドルで終了。小型株で構成するラッセル2000指数 は1.5%上昇し、200日移動平均を上回った。

ハリス・ブライベート・バンク(シカゴ)のジャック・アブリ ン最高投資責任者(CIO)は電話インタビューで、「株価を押し上 げるのに、場外ホームランのような業績である必要はない。期待値が 低いからだ」と指摘。海外情勢については「中国が緩和策を実施する との見方が強まっており、欧州の混乱を考慮し、差し引きでも恐らく プラス材料だ」と述べた。

アルコア

中国の輸入の伸びが鈍化し、金融緩和観測が強まった。アルコア がこの日の高値を離れると、相場全体も上げ幅を縮小した。調査会社 ビスポーク・インベストメント・グループの調べによると、2003年 以降の34四半期で、アルコアが決算発表翌日に上げたときは75% の確率でS&P500種は上昇して決算シーズンを終えている。

アルコアは0.2%高で終了。昨年10-12月(第4四半期)の 売上高は6%増の59億9000万ドルと、アナリスト予想を5.1%上 回った。リストラ費用を除いた1株損益は3セントの赤字となり、ブ ルームバーグがまとめたアナリスト18人の予想平均と一致した。

景気敏感株で構成するモルガン・スタンレー・シクリカル指数は

1.7%高。ダウ輸送株平均は1.4%、KBW銀行指数は1.9%それ ぞれ上昇した。BOAは5.7%高と、ダウ平均の構成銘柄では上昇率 トップ。キャタピラーは3%上昇。

自動変速機(AT)メーカーのボーグワーナーは12%上昇し、 S&P500種の構成銘柄で上昇率首位となった。通期見通しがアナリ スト予想を上回ったことが好感された。

「業績は予想上回るだろう」

JPモルガン・ファンズのチーフ市場ストラテジスト、デービッ ド・ケリー氏は電話インタビューで、「大部分の企業業績は予想を上 回るだろう。海外からこれ以上悪いニュースが出なければ、相場は前 向きに反応するはずだ」と発言。「米国の景気は勢いを付けているよ うだ」と話した。

イーストマン・コダックは50%上昇の60セント。ラッセル 2000指数の構成銘柄で最大の上げとなった。経営構造を簡素化し、 コスト削減に向けて最高業務責任者(COO)のポストを新設した ことが買いを誘った。

米国外で売上高の半分近くを稼ぎ出すティファニーは10%急落。 6万5000ドル(約500万円)のダイヤモンドのネックレスは販売 数が減少した。景気に減速感が見られるアジア市場の顧客も、高級品 の購入を控えている。

◎米国債:ほぼ変わらず、安全逃避への需要で3年債入札は好調

10日に米財務省が実施した3年債入札(規模320億ドル)では、 応札倍率が過去最高となった。欧州の債務危機が解決には程遠いとの 懸念を背景に、米国債の逃避買いが膨らんだ。

この日の入札で投資家の需要を測る指標の応札倍率は3.73倍と、 政府がデータを公開し始めた1993年以降で最高に達した。米国債利 回りはいずれも前日比ほぼ変わらずとなっている。ギリシャ債務問題 の解決を求める圧力が高まる中、ドイツのメルケル首相と国際通貨基 金(IMF)のラガルド専務理事は欧州時間の10日夜、会談に入っ た。

ミラー・タバク・ロバーツ・セキュリティーズの債券ストラテジ スト、エイドリアン・ミラー氏(ニューヨーク在勤)は「市場ではリ スク回避の動きが依然として非常に強い」と指摘。「ニュース報道が リスク要因になる可能性がなお高い。米国債の動きは抑制され、狭い レンジにとどまるだろう」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時 間午後2時59分現在、既発3年債の利回りは前日比ほぼ変わらずの

0.36%。指標となる10年債利回りは1ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01ポイント)上げて1.97%となっている。

この日の3年債入札の結果によると、最高落札利回りは

0.370%。ブルームバーグ・ニュースがまとめたプライマリーディー ラー9社による入札直前の予想は0.371%だった。

外国の中央銀行を含む間接入札の落札全体に占める比率は

38.5%だった。過去10回の入札の平均は37%。プライマリーディ ーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接入札の落札比率は

5.3%となった。過去10回の平均は11.86%。

ボラティリティの低下

米国債市場のボラティリティ(変動性)は、ほぼ7カ月ぶりに最 低水準に低下した。ボラティリティの指標とされるメリル・オプショ ン・ボラティリティ・エスティメート(MOVE)指数は前日に

78.6と、昨年6月13日以降で最低となった。同指数の2011年平 均値は94.14。最高は8月8日に付けた117.8、最低は5月31日 の71.5だった。

CRTキャピタル・キャピタル・グループの国債戦略責任者、デ ービッド・エーダー氏は「欧州情勢の不確実性と複雑さを背景に、投 資家が様子見の姿勢を余儀なくされている」と指摘。「その環境を考 えると、3年債が割安に見えてくる」と述べた。

ギリシャ交渉大詰め

米国債利回りの上昇が抑制されてきた一因として欧州債務危機 があげられる。危機回避へ安全資産を求める動きによって、2011 年には10年債利回りが140ポイント以上引き下げられた。

ソシエテ・ジェネラルのトレーダー、アンソニー・クロニン氏 (ニューヨーク在勤)は、「市場ではリスク志向シナリオはさほど支 持されていない」とし、「依然として多くの懸念が残されている」と 続けた。

ギリシャの債務再編をめぐる交渉は大詰めを迎え、同国債務のう ち少なくとも半額を減免するよう投資家の説得が進められている。ユ ーロ圏では初の大規模な債務再編となる。ユーロ圏にとどまる条件と してギリシャは一段の緊縮財政を敷くことが求められている。

◎NY金先物:反発、4週ぶり高値-ドルの下落で商品需要が拡大

ニューヨーク金先物相場は反発。終値では4週間ぶりの高値とな った。ドルの下落で商品の需要が拡大した。

ドルは主要通貨のバスケットに対して続落。欧州の首脳が域内債 務危機の解決に向け一段の措置を講じているとの兆しが背景。株価指 標であるMSCIオールカントリー世界指数は一時1.6%上昇した ほか、商品24銘柄で構成するスタンダード・アンド・プアーズ(S &P)のGSCIスポット指数は一時1.5%高と6営業日で5日目 の値上がりとなった。

バードモント・キャピタル(パナマ)のスコット・ガードナー 最高投資責任者(CIO)は電子メールで、「ドルが売られており、 これが金や商品にはプラスとなっている」と指摘。「米国の経済ニュ ースが比較的堅調なことや、欧州の悪いニュースの大半は既に織り込 み済みだとの見方から、リスクの高い資産は今年に入って買いが続い ている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 2月限は前日比1.5%高の1オンス=1631.50ドルで終了。終値 では先月13日以来の高値となった。

◎NY原油:4日ぶり上昇、イランめぐる緊張と景気楽観で

ニューヨーク原油先物相場は4日ぶりに上昇。中東の情勢緊張で 原油の供給障害が起きるとの懸念が再燃したことや、株価の上昇で景 気に対する楽観が強まったことが背景。

イラン産原油の禁輸を討議する欧州連合(EU)外相会議は、開 催日が23日に1週間前倒しになった。フランスの企業景況感が上昇 したことや、米アルコアの決算で売上高が市場予想を上回ったことが 好感され、米国と欧州の株式相場は上昇した。

ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチ (マサチューセッツ州ウィンチェスター)のマイケル・リンチ社長は、 「武力衝突の可能性があるならば、トレーダーらが原油をショート (売り持ち)にすることはあり得ない」と指摘。「景況感はやや改善 している」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物2月限は前日 比93セント(0.92%)高の1バレル=102.24ドルで終了した。

◎欧州株:反発、市場予想と一致のアルコア決算に安堵-鉱山株に買い

10日の欧州株式相場は反発。鉱山株が高い。米決算発表の先陣 を切った米アルミニウム生産最大手のアルコアの四半期業績は赤字と なったものの、市場予想の範囲内にとどまり買い材料と見なされた。

世界最大の鉱山会社BHPビリトンが大幅高。中国の記録的な月 間輸入を背景に銅の価格が1週間ぶり安値から回復したことを受けた。 ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)も高い。同社 傘下のアウディ部門を含む同国の3大高級車メーカーは、昨年の販売 台数が過去最高に達したほか、今年は市場全体を上回るペースの成長 を見込んでいることを明らかにした。英小売株も値上がりした。

ストックス欧州600指数は前日比1.8%高の250.82で引け た。前日は0.5%の値下がり。年明け第一週となった先週はプラス 圏で終了。相次ぐ良好な経済指標で、世界経済がユーロ圏の債務危機 を乗り切るとの楽観が強まったことが背景。

シティグループの世界株式戦略責任者、ロバート・バックランド 氏は9日付の顧客向けリポートで、大半の投資家が「状況は明るくな るという慎重ながらも楽観的な姿勢で2012年に臨んでいる」と指 摘。「マクロ経済の明らかな向かい風にもかかわらず、世界の企業業 績とキャッシュフローは引き続き着実に伸びている」と説明した。

アルコアが9日発表した昨年10-12月(第4四半期)の決算 は、09年以来で初の赤字。それでも同社株はニューヨーク市場で上 昇している。同四半期のリストラ費用を除いた1株損益は3セントの 赤字で、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均と一致した。 売上高は6%増加。

この日の西欧市場では、ギリシャとポルトガルを除く16カ国で 主要株価指数が上昇。BHPビリトンは3.4%高の2014ペンスで 終了。同業のリオ・ティントは3.6%上げて3428.5ペンス。中国 の先月の銅輸入量は過去最大だった。

自動車株では、VWの優先株が3.2%高の125.70ユーロで終 了。英小売株ではマークス・アンド・スペンサー・グループが3%上 げて317.7ペンス。英衣料品小売り最大手の同社は年末商戦が好調 だった。

◎欧州債:ドイツ債4日ぶり下落-フランス債続伸、格付け維持観測で

10日の欧州債市場ではドイツ国債が4営業日ぶりに下落。ドイ ツのメルケル首相と国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事の会 談を控え、債務危機の解決へ措置が講じられつつあるとの楽観が広が った。

独10年債のパフォーマンスは他のユーロ圏の国債を下回った。 欧州での株高を背景に域内で最も安全とされるドイツ国債の需要が後 退した。メルケル首相は前日、ユーロ圏諸国は救済基金への資本払い 込みを迅速化することも検討していると語った。

一方、フランス国債は続伸。格付け会社フィッチ・レーティング スがこの日、フランスは今年、格付けを恐らく維持できるとの見方を 示したことが手掛かり。ギリシャ国債も堅調。182日物証券入札が 買い材料となった。

ラボバンク・ネダーランド(ユトレヒト)のエコノミスト、エル ビン・デフロート氏は「市場は欧州の各国首脳に若干の猶予を与えて いる。年明けに協議を始めたのは賢明だ。各国首脳の意欲が伝わり、 市場に前向きな影響を若干及ぼしている」と語った。

ロンドン時間午後4時21分現在、独10年債利回りは前日比4 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.88%。同国 債(表面利率2%、2022年1月償還)価格は0.32下げ101.075。 独2年債利回りは3bp上げて0.17%。

メルケル首相はラガルド専務理事とベルリンで現地時間午後8時 に協議する。11日にはサルコジ仏大統領が同専務理事とパリで会談 する。独仏両首脳は9日、金融危機対策のペース加速を目指した基本 計画策定について話し合った。

フランス国債

フィッチのソブリン債部門責任者、デービッド・ライリー氏は欧 州の債務危機が悪化しない限り、フランスは格付けを恐らく維持する との見解を示した。

仏10年債利回りは前日比6bp低下の3.25%。独10年債に 対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は10bp縮小の137bpとな った。

ギリシャ政府はこの日の入札で182日物証券を16億2500万 ユーロ発行した。ギリシャ2年債の利回りは27bp下げ175.89%、 価格は21.06に上昇した。利回りは184.56%まで達し、過去最 高を記録する場面もあった。

◎英国債:4日ぶり下落-中国の景気刺激策と欧州危機対策への楽観で

10日の英国債相場は4営業日ぶりに下落。中国が景気刺激策を 講じるとの観測から株高となり、資金逃避先としての英国債の需要が 後退した。

ドイツのメルケル首相と国際通貨基金(IMF)のラガルド専務 理事の会談を控え、欧州債務危機の解決策が講じられつつあるとの楽 観見通しも英国債相場の下落要因となった。英公債管理局(DMO) はこの日、インフレ連動債を7億ポンド発行。利回りはマイナスだっ た。

英10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)上昇の2.07%。同国債(表面利率3.75%、2021年9 月償還)価格は0.625下げ114.62。2年債利回りは3bp上げ

0.42%。

この日発表された中国の経済統計で昨年12月の輸入が2年ぶり の低い伸びとなり、金融政策緩和の見方を強めた。

メルケル首相はラガルド専務理事とベルリンで午後8時に会談す る。11日にはフランスのサルコジ大統領が同専務理事とパリで協議 する。独仏両首脳は9日、危機対応が前進している概要を示した。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 小林 恭子 Kyoko Kobayashi +1-212-617-5230 kkobayashi39@bloomberg.net ニューヨーク 西前 明子 Akiko Nishimae +1-212-617-2601 anishimae3@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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