欧州は年初から早くも正念場、3月末までに15兆円超の国債償還期限

欧州の指導者らがクリスマス・年末 休暇を終えて仕事に戻ってくる。域内の危機が越年する中、各国当局 はスペインとイタリア両政府が財政赤字を十分管理できるようになる までの時間を稼ぎ、通貨ユーロの崩壊阻止を目指す。

UBSの調査によると、ユーロ圏は2012年1-3月に合計約1570 億ユーロ(約15兆6200億円)規模の国債の償還期限を迎える。欧州 指導者らは、3月末までに財政規律の厳格化に関する草案を作成する ことを表明している。ドイツのメルケル首相は今月9日にベルリンで フランスのサルコジ大統領と会談し、詳細を詰める予定だ。

メルケル首相は12月31日放送の新年向け演説で、「この問題を乗 り越える道は、ときに後退を伴う。しかしその道の最後に、欧州は以 前よりも力強く危機から立ち上がる」と発言。独政府は、ユーロを低 迷から救い出すために「あらゆる手」を尽くすと表明した。

ユーロが各国通貨に代わって流通を開始してから10年。昨年は対 ドルで初めて2年連続で下落し、円に対しては過去最安値を更新した。

直近の誤算は12月30日に表面化した。スペインのラホイ新政権 はこの日、11年の財政赤字が対国内総生産(GDP)比で8%に達す るとの見通しを示した。これは前政権の予測より2ポイント多く、ブ ルームバーグがまとめたエコノミスト予想(6.9%)も上回る水準。ラ ホイ首相は財政赤字への対応策として、歳出削減と増税を盛り込んだ 新たな政策を公表した。

ユーロ存続の鍵は「イタリア」

それでも、ユーロ存続の鍵はやはりイタリアが握っているもよう だ。同国はユーロ圏3位の経済規模を持ち、債務額はギリシャに次い で2位。1-3月(第1四半期)に償還期限を迎えるイタリア国債は 530億ユーロと、同期間のユーロ圏全体の償還額の約3分の1に上る。 モンティ政権は借り入れコスト削減に向けた措置として、緊急財政包 括策の議会承認を取り付けた。

イタリア10年物国債利回りは昨年、7%近辺で取引を終えた。ギ リシャとアイルランド、ポルトガルが救済要請に追い込まれたレベル だ。スペイン10年債利回りは5%を若干上回って終了した。

ノーベル経済学賞受賞者でニューヨーク大学教授のマイケル・ス ペンス氏は昨年12月28日のブルームバーグテレビジョンのインタビ ューで、「イタリア国債利回りが上昇する展開となれば、管理可能な状 況が早急に支払い不能に暗転する可能性がある」と予想、「イタリアに は時間が必要であり、イタリアがしばらく時間を稼ぐのを欧州は手助 けする必要がある」との見方を示した。

ショイブレ独財務相も1日のドイツ紙ビルト日曜版とのインタビ ューで、欧州救済基金は域内債務国が信頼を取り戻すのに必要な措置 を講じるまでの「時間稼ぎにすぎない」との認識を表明した。

サルコジ大統領

サルコジ仏大統領は12月31日の新年演説で、12年は財政から経 済成長と失業問題に軸足を移すとの考えを表明し、「あらゆるリスクと 可能性の年になる」との認識を示した。同大統領は5月に再選を賭け た選挙を迎える。今月6日にはイタリアのモンティ首相とパリで会談 する。

ギリシャのパパデモス首相は同じく新年演説で国民に対して、同 国にとって「困難な」年になるとし、「向こう3カ月が特に正念場とな るだろう」と述べた。

欧州指導者らの動きを横目に、欧州中央銀行(ECB)政策委員 会メンバーであるドイツ連邦銀行(中銀)のバイトマン総裁は、EC Bは財政政策の代替にはならないとの考えを表明した。

IHSグローバル・インサイトのエコノミスト、ハワード・アー チャー氏(ロンドン在勤)は12月30日のリポートで、「債務危機の影 響により、ユーロ圏は11年遅くと12年上期にリセッション(景気後 退)に陥る」と予想。「ユーロ圏の政策当局者が迅速に、真に事態を把 握することが不可欠だ」と記した。

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