年内最後の東京外国為替市場で はユーロがじり安。来年にイタリア国債の大量償還などを控えて、欧州 債務危機の先行きへの不安が強く、ユーロは年間ベースでも対ドル、対 円で2年連続の下落となる見込みだ。

ユーロ・円相場は一時、1ユーロ=100円24銭までユーロが軟化。 前日の海外市場では一時100円06銭と2001年6月以来となる100円 割れ寸前までユーロ安が進んだ後、米国株の反発などを手掛かりに100 円70銭付近まで値を戻していた。

ユーロ・ドル相場も海外時間に1ユーロ=1.2858ドルと昨年9月 14日以来、約1年3カ月ぶり安値までユーロ安が進んだ後、1.2965 ドルまで戻したが、東京市場に入ってからは再びじり安となり、一時

1.2928ドルまで値を切り下げた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は 株高を受けた買い戻しや月末に向けたレパトリ(自国への資金回帰)で ユーロは海外安値から戻したが、年が明ければすぐにユーロ圏の格下げ の可能性や2月のイタリア債の大量償還などが再び意識されるはずで、 ユーロの先安観は強いと指摘。「ユーロがサポートされるとすればポジ ションがショート(売り持ち)に傾き過ぎているので調整が入るときだ けだ」と話した。

一方、ドル・円相場は円がじり高となった海外市場の流れが継続。 1ドル=77円後半から一時、今月9日以来の水準となる77円52銭ま で円高が進んだ。

イタリアの大量国債償還

イタリア経済が2001年以降で4回目のリセッション(景気後退) に陥りつつある中で、モンティ政権は来年、国債発行で約5000億ユー ロの調達を見込んでいる。UBSによると、同国は来年1-3月(第1 四半期)に国債約530億ユーロ相当の償還を控えている。ユーロ圏全 体では1570億ユーロ相当となる。

イタリアの財務省が29日実施した入札では、平均落札利回りが前 回入札を下回ったものの、発行額は目標の85億ユーロに達しなかった。 同日の欧州債市場でイタリア10年債相場は下落(利回りは上昇)し、 ドイツ債に対する利回り上乗せ幅が拡大した。一方、イタリア2年債相 場は4営業日続伸。欧州中央銀行(ECB)は同日、イタリア債を購入 したとみられている。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、ECBは国債購 入プログラムの拡大計画はないということを明確にしている上、足元の バランスシートの状況では「だんだん手の打ちが狭められている」とい った感もあると指摘。ユーロの戻りが鈍いと、再び下値を試す動きが出 やすいとの見方を示した。

ユーロ・円、100円割れも

フランスのサルコジ大統領は1月9日にベルリンを訪問し、ユーロ 圏債務危機収束に向けた協議をドイツのメルケル首相と再開する予定。 事情に詳しい当局者1人が明らかにした。独政府の報道官はコメントを 控え、仏大統領府のルブリエ報道官は会談については現段階で確認でき ないとしている。

ブルームバーグ・データによると、ユーロは対ドルで年初来3.3% 下落。2年連続での下落はユーロが導入された1999年から2001年に 3年連続で下落して以来となる。対円での年間の下落率は7.5%。

クレディ・アグリコル銀の斎藤氏は、「ユーロ・円はきょうにも 100円割れがあってもおかしくない状況だが、参加者が最も少ない1月 2日など特に危ない」と指摘。「きょうは年度末で投資資金の解消など も起こりやすいが、越年してそうした季節要因もなくなれば、ユーロは 下値を試すだろう」と話した。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、国際通貨基金 (IMF)がギリシャ政府に対し、経済見通しの悪化から民間部門保有 の同国国債のヘアカット(減免)を50%としても、同国が債務を持続 可能な水準に引き下げられない恐れがあると警告した、と事情に詳しい 関係者2人を引用して伝えた。

金融サービスブローカーの独AWDホールディングが、調査会社フ ォルサに委託した世論調査によると、ドイツ国民の9割が「近い将来」 ユーロ圏で新たに支援を必要とする国が現れると答えた。

米経済を楽観

一方、米国では29日に発表されたシカゴ購買部協会の12月の製 造業景況指数が予想を上回ったほか、11月の中古住宅販売成約指数が 前月に続いて大幅に上昇した。また、米労働省が発表した先週の新規失 業保険申請件数は増加したものの、より変動の少ない4週移動平均が 2008年6月以来の水準に減少した。

堅調な経済統計を受け、前日の米株式相場は反発。世界最大の経済 国である米国が欧州のソブリン債危機の影響に持ちこたえているとの見 方が強まり、S&P500種株価指数は年間ベースでプラス圏に戻した。

大納会の東京株式相場も米国株高を好感する形で朝方から買いが先 行。ただ、欧州債務問題を背景とした円高・ユーロ安への警戒感から午 後中ごろまでは上値の重い展開が続いた。

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