【コラムニスト:Michael Lewis】

12月29日(ブルームバーグ): 宛先:上位1%層 用件:大学生の憂慮すべき行動について 提言者:戦略委員会

戦略委はエリート大学生の反乱という新たな不穏な動きに急 きょ対処するため、会合を再招集した。

アイビーリーグの名門校の至る所で、かつてわれわれのウォ ール街部門がやすやすと手なづけることができた若者たちが厄介 なことになっている。一つの例を挙げれば、ゴールドマン・サッ クス・グループのわれわれの良き友人たちは、ハーバード大学と ブラウン大学への採用目的の出張をキャンセルせざるを得なくな った。

プリンストン大学では、就職希望者のふりをした学生30人が ウォール街に関する情報を提供するためのセッションに潜入。ウ ォール街の利益を守るために政府に働き掛けるロビー活動の職を 得るにはどうしたらいいのか、といった多くの不愉快な質問を行 い、JPモルガン・チェースとゴールドマンのバンカーらの悪事 のリストを立ち上がって読み上げ、揚げ句の果てに自分たちの挑 発的行動の動画をユーチューブに投稿した。

戦略委はこの後者の事件について、トラブルが起きる確かな 予兆と受け止めている。過去数十年にわたって、プリンストン大 学に進学するということは、ゴールドマンかそれが駄目ならJP モルガンに職を得ることが本質的な目的だった。プリンストンの 学生らは今や自分たちの利害を残りの99%の下々の者たちに重ね 合わせている。これはユダヤ人のエルサレムへの帰還に匹敵する 不吉な前兆だ。

キャンパスでの戦術

われわれは問題となる一連の事件を徹底的に調査し、戦略的 な勧告を準備した。ウォール街の全ての大手金融機関は今後、大 学キャンパスを訪れる際に次の幾つかの戦術を採用すべきだ。

第1の戦術:女性だけを派遣すること。そもそも女性を採用 した理由を十分納得していなかったかもしれないが、今こそその 輝きを発揮してもらう時だ。これまで長い間、標準的な採用ミッ ションは、少なくとも1人の女性と1人の有色人種が色を添える 一方で、目的を見失わないために白人男性のリクルーターが最低1 人同行するのが常だった。

プリンストン大のJPモルガンの動画を研究すれば、われわ れにもはやその余裕がないことが分かるだろう。JPモルガンの 女性をカメラは寛大にも避けて通る。視聴者がどういう訳か気の 毒に感じるからだ。カメラは唯一の白人男性であるリクルーター に向けられるが、視聴者は男性が気の毒だとは思わない。男性を 派遣しないようにすべきだ。

弁解無用

第2の戦術:派遣する女性社員が決まったら、彼女らを集め て金融機関の行動を正当化する義務はないと説明する必要がある。 ウォール街のバンカーが価値を失うと分かっている証券を組成し たり、格付け会社を操作したり、政府に救済された後、なお暗黙 の保証を受けている会社に勤務しながら巨額の報酬を受け取った り、金融システム改革の邪魔をしたりすることがどうして正当化 されるのか。このようなテーマにあなた方が少しでも注意を向け たという満足感を学生に与えてはならない。

学生からの質問の受け付けや、学生があらゆる種類の実質的 な会話に入るのを避けなければならない。「あなたが話している内 容ではなく、話し方が不愉快だ」「なぜ尊敬の念を持って他人に接 することができないのか」などと発言させることだ。

第3の戦術:怒れる若者たちが怒りの原因だと主張している ことではなく、彼らを実際に怒らせている理由に注目すべきだ、 プリンストン大の学生の性格が一夜にして変わったわけではない。 変わったのは彼らを取り巻く状況だ。彼らが頭にきているのは、 全員を採用する余裕がわれわれにもはやなくなってしまったため だ。

説得可能

第4の戦術:首謀者と静かに向き合うこと。「ウォール街を占 拠せよ」運動のあらゆる分派はリーダーがいないと主張している。 しかし、リーダーのいない組織など存在せず、あるとすれば誰か が裏で糸を引く組織だけだ。

内部の情報源によれば、プリンストン大のJPモルガンへの 抗議行動のリーダーの1人は、比較文学を専攻するデレク・ギデ オンという若者だ。

ギデオン君は「ゴールドマンとJPモルガンの現在の社会的 役割に批判的な考えを持つこともなく、これらの金融機関で働く ことが最も名誉あることだと見なすカルチャーが大学では支配的 だ。私はこれを変えることを目指している」と話しているという。

当然のことだが、ギデオン君は卒業後の人生設計については っきりした考えを持ってはいない。戦略委はこの若者がゴールド マンで仕事をする理想的な候補者だと考えている。われわれの経 験によれば、ギデオン君のような学生でも説き伏せることは可能 だ。われわれの行動を改めさせたいなら、われわれの一員になる ことに勝る良い方法があるだろうか。われわれの間に骨を埋める のは彼の義務と言ってもよい。

本質的な違い

アイビーリーグの学生たちこそ、この来るべき「文化的闘争」 でわれわれが利用できる最も素晴らしい武器であり、これがより 重要な点だ。彼らは自分たちより階層の低い残り99%の人々に対 し、現在の経済的不平等がひどい不公平などではなく、人間の自 然な秩序が金融面で明らかになっただけだと示すことができる。 最上級層に入れる種類の人間は、残り99%の人々とは本質的に異 なっている。われわれがプリンストン大のような場所で成人期を スタートできるのは、この本質的な違いを最も明確に表している。

プリンストン大での闘いに勝てば、最近の不穏な動きとの闘 争にも勝利できるだろう。 (マイケル・ルイス)

(マイケル・ルイス氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニ ストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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