西村日銀副総裁:大幅な円高進行で海外生産シフトが加速するリスク

日本銀行の西村清彦副総裁は30 日午前、京都市内で講演し、日本のファンダメンタルズ(経済の基礎 的諸条件)から説明できないような大幅な円高が進行すれば、「企業の 海外生産シフトが臨界点を超えて非連続的に加速するリスクがある」 とした上で、為替・国際金融資本市場の動向を「注視していく必要が ある」と述べた。

西村副総裁は欧州の政府債務問題について「この問題は、既に世 界経済に対し大きな影響を及ぼしてきているところだが、今後も、欧 州経済のみならず国際金融資本市場への影響などを通じて、世界経済 の下振れをもたらす可能性がある」と語った。

さらに、「欧州の政府債務問題を一挙に解決する即効薬はない」と 指摘。同問題をめぐって「国際金融資本市場の緊張度が高い状況は、 長期間にわたって続くことを覚悟しておく必要があるだろう。何らか のショックをきっかけに、信用収縮の伝播が起こるリスクについても、 意識しておく必要がある」と述べた。

米国経済については「春先から夏ごろまでと比べると、景気の二 番底や底割れの懸念は後退しているようにうかがわれる」としながら も、「雇用の改善は依然として緩慢で、景気の回復テンポはごく緩やか なものにとどまっている」と指摘。成長のペースは当面、「緩やかなも のにとどまる可能性が高い」と述べた。

米国への見方が慎重化すれば一気に動揺も

西村副総裁はその上で、「注意したいのは、米国経済に対する見方 が一頃に比べ好転しているため、欧州の状況が悪化している割には、 海外経済に対する市場の見方が極端に悲観的となる事態は、今のとこ ろ回避されているということだ」と指摘。「仮に、米国経済に対する見 方が再び慎重化するようなことがあれば、国際金融資本市場の動揺が 一気に広がっていく可能性がある点には留意が必要だ」と語った。

新興国についても「仮に、欧州の政府債務問題がより深刻化する 下で、欧州金融機関において資産を圧縮する動きが強まるようなこと があれば、新興国向け貸出が抑制され、貿易金融などに影響が及ぶ懸 念もある」と述べた。

日銀は16日の金融政策決定会合で現状維持を決定した。白川方明 総裁は同日の会見で、欧州ソブリン問題は「既に世界経済に大きな影 響を与えているが、今後も欧州経済のみならず国際金融資本市場への 影響などを通じ、世界経済の下振れをもたらす可能性がある」と指摘。 こうした海外情勢をめぐる不確実性について「その高まりを指摘する など、委員間でも若干のニュアンスの差があった」と述べた。

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