ドルと円が下落、株高でリスク回避緩和-財務相会合控えユーロ反発

東京外国為替市場ではドルと円が 下落。前日の欧米株に続き、アジア株が堅調に推移する中、リスク回 避姿勢の緩和が意識され、低金利で資金調達通貨とされる円とドルに 売り圧力がかかった。

一方、ドル・円相場は一時、1ドル=78円29銭と今月2日以来 の水準までドル高・円安に振れたが、他通貨に対してドルも円も弱い 中、一方向の動きとはならず、午後には78円ちょうどを割り込んで、 77円89銭まで値を下げた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏 は、米国の年末商戦の好調な滑り出しを素直に反映して株価が上昇、 市場のムードは取りあえず「リスクオン(選好)」になっていると指 摘。ユーロ圏財務相会合を前に、救済基金の活用方法など「ようやく 現実的な話が進展するのではという期待感もある」とした上で、危機 対応で具体的な進展が見られなければ「失望」につながり、リスク回 避が再燃する可能性はあると付け加えた。

ユーロは反発。欧州の当局者が債務危機封じ込めへの取り組みを 強化するとの期待が支えとなり、対円では前日の海外市場で付けた今 月15日以来の高値付近まで値を切り上げた。

前日の海外市場では欧米株式相場が急伸。29日のアジア株もおお むね堅調で、日経平均株価は終値で約2カ月ぶりの上昇率を記録した。

ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨全てに対して 前日終値比で下落。ドルもほとんどの主要通貨に対して値を切り下げ ている。

実需のユーロ買い戻し観測も

こうした中、ユーロは対円で1ユーロ=103円後半から一時、104 円41銭まで上昇。格付け会社ムーディーズが欧州銀の劣後債などの格 付けを引き下げ方向で見直すと発表したことを嫌気して、対ドルでは 一時、1ユーロ=1.3286ドルまで売られる場面が見られたが、その後 はじりじりとユーロ買いが進み、午後には1.3373ドルを付けた。斎藤 氏は「実需からユーロの買い戻しが出ているとの観測があり、短期の ストップ(損失を限定するためのユーロ買い・ドル売り注文)を巻き 込んでいるようだ」と話していた。

ユーロ圏財務相会合

ユーロ圏財務相らは29日にブリュッセルで会合を開き、金融市場 での信認回復を目指す。ドイツのメルケル首相のザイベルト報道官に よると、同首相は12月2日にベルリンの独下院で危機について演説。 条約改正について協議する同月9日の欧州首脳国会議(サミット)に ついて説明する。

ユーロ圏財務相会合で検討される同指針案によれば、欧州金融安 定ファシリティー(EFSF)は高債務国の債券に20-30%の保証を 付与する可能性があるという。

一方、ドイツのショイブレ財務相は28日、記者団に対し、ユーロ 共同債に関する議論は財政規律の強化が確実になってからだと発言し、 可能性を完全に排除はしない考えを示唆した。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、欧 州債務問題をめぐる状況がかなり悪くなっていたため、ユーロ圏財務 相会合を前に「逆に何か出てくるのではないかという期待感も高まり やすい」と指摘。ただ、危機がイタリアなど中核国にも波及する中、 「IMF(国際通貨基金)なり国際社会の支援が重要な局面にきてい るため、域内の財務相だけが集まっても問題解決にはならない」とし、 「会合までは期待感が残っても、結局何も出ないでユーロが反落して しまう」可能性が高いと語った。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏も「市場としては、欧州債務問題の解決に向けたECB(欧 州中央銀行)の直接関与を期待しているが、メルケル独首相の発言を 見る限りでは、今それが出ると言う雰囲気はない」とし、欧州の財務 相会合については「大きな期待を持たずに待った方がいい」と話した。

IMFのラガルド専務理事は、欧州債務危機の解決策を見いだす ため包括的かつ迅速な提案が必要だとの考えを示した。28日にペルー のリマで記者団に語ったもので、IMFはそうした解決策の一翼を担 う用意があると指摘した。同専務理事はまた、イタリアから融資の要 請は一切受けていないとも語った。

ECBによると、25日終了週の国債購入額は86億ユーロ(約8950 億円)で、前週の80億ユーロから拡大した。昨年5月10日のプログ ラム開始以来の累積は2035億ユーロとなった。ECBは29日に7日 物預金入札を実施し、流動性を吸収する。

入札次第で波乱も

仏紙トリビューヌは、米格付け会社スタンダード・アンド・プア ーズ(S&P)がフランスの格付け見通しを向こう1週間から10日以 内に「ネガティブ」に変更する可能性があると匿名の外交関係者の話 を引用して伝えた。同紙が別の関係者の話として伝えたところによる と、25日にも発表される可能性があったが延期されたという。理由は 不明としている。

イタリア政府が28日に実施した2023年9月償還のインフレ連動 債では、利回りがギリシャとポルトガル、アイルランドの救済の引き 金となった7%を超え、発行額は目標上限を下回った。ベルギー政府 が実施した10年物国債の入札でも平均利回りが2000年1月に引き受 け方式で発行して以来の最高となった。この日はイタリアやベルギー、 ハンガリーで入札が予定されている。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマ ネジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、28日の 海外市場では欧米株の急伸を背景に「トーンは全体にリスクオンで、 ユーロもいったん買い戻しが入った」が、欧州情勢を中心に日々の相 場は不透明感が強く、欧州で続く各国の入札結果次第では「また波乱 があってもおかしくない」と話していた。

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