NY外為:ドルと円が下落、欧州危機解決への楽観でリスク選好

ニューヨーク外国為替市場で はドルと円が主要通貨の大半に対して軟調となった。欧州首脳がユー ロ圏の債務危機に歯止めをかけつつあるとの見方からリスク資産への 需要が高まり、安全な逃避先とされるドルや円に売りが出た。

ドル建ての資金調達コストがほぼ3年ぶりの高水準に上昇すると ユーロは伸び悩んだ。ドイツのショイブレ財務相が財政規律の強化に 向けた迅速な条約改正を呼び掛けたため、ユーロは一時、対ドルで2 週間ぶりの大幅高となる場面もあった。ニュージーランド(NZ)ド ルは上昇。同国の総選挙でキー首相が再選を果たし、同首相率いる国 民党が過去60年で最多の議席を獲得したことがきっかけ。

ウェルズ・ファーゴの為替ストラテジスト、ヴァシーリ・セレブ リアコフ氏(ニューヨーク在勤)は「危機対応における欧州首脳の切 迫感が強まっており、それが恐らくリスク資産への買いを誘っている」 と指摘した。ただ「これは解決に向けた転換点ではない。買い戻し主 導の上昇にすぎず、すでに勢いが鈍っているようだ」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時7分現在、ドルはユーロに対し前営業 日比0.6%安の1ユーロ=1.3313ドル。一時は1.2%安と、11日 以来で最大の下げとなった。円は対ユーロで0.9%安の1ユーロ= 103円80銭。一時は1.6%下落し、10月31日以来の大幅安とな った。ドルは対円で0.3%上昇し、1ドル=77円97銭。

リセッション懸念が緩和

S&P500種株価指数は8営業日ぶりに上昇。欧州に対する楽 観的な見方に加え、米国で感謝祭後の小売売上高が16%増加して過 去最高になったため、リセッション(景気後退)懸念が緩和した。

対ドルでの動きとしてはブラジル・レアルが2%高と、主要16 通貨の中で最も上昇した。豪ドルや南アフリカ・ランドの上げも目立 った。

オバマ米大統領は欧州債務危機の解決は米国にとって非常に重大 であり、米国は世界経済の安定に向けて「その役割を果たす用意があ る」と述べた。大統領はホワイトハウスでファンロンパイEU大統領、 バローゾ欧州委員長と会談後に話した。

ドイツのショイブレ財務相はベルリンでARDテレビとのインタ ビューに応じ、加盟国政府の予算案に対する拒否権を欧州委員会に付 与するためには条約改正が必要だと指摘。「これを迅速に実施するこ とは可能であり、そうすることがユーロは安定した通貨であり、そう あり続けるとの重要なシグナルを市場に送ることになる」と述べた。

メルケル首相

ユーロ圏財務相らは29日にブリュッセルで会合を開き、金融市 場での信認回復を目指す。メルケル首相のザイベルト報道官によると、 同首相は12月2日にベルリンの独下院で危機について演説。条約改 正について協議する同月9日の欧州首脳国会議(サミット)について 説明する。

ザイベルト報道官はベルリンで記者団に対し、ドイツは条約改正 について「意欲的なスケジュールで作業している。欧州は永久に待っ ていることはできないし、一部から見れば驚きのスピードで限られた 変更を実現することは可能なはずだからだ」と語った。

ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は、債務危機 の封じ込めに向けて新たな安定協定を計画している。独紙ウェルト日 曜版が情報源を明らかにせずに伝えた。

ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・ フラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「市場はユーロに対してか なり弱気だったため、踏み上げの機が熟していた。それが今起こって いる」と指摘。「これがファンダメンタルな転機であるかどうかは疑 わしいが、来週まで続くと考えている」と述べた。

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