白川日銀総裁:当面、輸出面を中心に厳しい局面-強力な緩和推進

日本銀行の白川方明総裁は28日 午前、名古屋市内で講演し、「日本経済は当面、輸出面を中心に厳し い局面が予想される」とした上で、日銀は「強力な金融緩和を引き続 き推進」していくと述べた。

白川総裁は円高の影響について「海外経済の先行きをめぐる不確 実性が大きい現局面においては、円高が輸出や企業収益の減少、企業 マインドの悪化などを通じ、景気の下振れ要因となる可能性には十分 な注意が必要だ」と指摘。日本経済に与える影響には「十分注意する 必要がある」と繰り返し強調した。

一方、「円高には原燃料の輸入コスト抑制などを通じて企業や家 計の対外購買力を高めるなどのメリットもある」と指摘。「震災発生 以降、原発の稼働停止に伴う火力発電の増加から、原油やLNGの輸 入金額が拡大し貿易収支も赤字に転じているが、円高はそうした海外 への所得流出というデメリットを相殺する側面も有している」と語っ た。

白川総裁は講演後の質疑応答で、「円高が日本経済全体、特に自 動車の輸出ウエートが大きい当地経済に対し、大変大きな影響を与え る可能性があることを十分認識している」と表明。そうした認識の厳 しさに関して、当地経済界と日銀との間で「差があるとは感じていな い」と述べた。

介入は相応の効果を発揮

白川総裁はまた、主要7カ国(G7)やG20(20カ国・地域)の 財務相・中央銀行総裁会議では「為替相場の過度な変動や無秩序な動 きは望ましくないという認識が共有されており、政府はそうした認識 を背景として適切に介入を行っている」と指摘。その上で、政府の介 入は「相応の効果を発揮している」と述べた。

日銀の金融緩和が消極的なために円高が進行しているとの批判に 対しては「日銀は資金供給に関して、金利、量の両面において外国に 比べて劣っているということはない」と言明。「先進国の中では最も 量を供給している中央銀行だ」と語った。また、日銀券や日銀当座預 金などを合わせたマネタリーベースの伸びが低いことが円高の背景に あるとの指摘に対しては「ならすとあまり関係していない」と語った。

日銀は16日の金融政策決定会合で、現状維持を決定した。日銀は 足元の景気について「持ち直しの動きが続いているものの、海外経済 の減速の影響などから、そのペースは緩やかになっている」として、 前月から情勢判断を下方修正。先行きも「当面、海外経済の減速や円 高に加えて、タイの洪水の影響を受けるとみられる」としている。

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