大阪市長に橋下氏、「維新の会」が知事選も制す-「都構想」旗印に

任期満了に伴い27日に投開票が行 われた大阪市長選は、広域行政体「大阪都」構想を掲げる地域政党「大 阪維新の会」代表で府知事を辞職して立候補し橋下徹氏(42)が、自民 や民主などの支持を受けた現職の平松邦夫氏(63)を破って初当選を果 たした。

橋下氏の辞職に伴い同日行われた大阪府知事選でも、維新の会から 出馬した元大阪府議の松井一郎氏が前池田市長の倉田薫氏(市町村連合 と府民の会)ら6人を破って初当選。昨年4月に設立された維新の会は 既に府議会で単独過半数を確保、市議会でも議会内の最大勢力となって いる。橋下氏と松井氏の当選により、府と市の執行部と議会のほぼ全権 を握ることになる。

橋下氏は維新の会のマニフェストで、大阪市と周辺自治体の広域行 政を一元化し、上海やソウルなどとも対抗できる都市としての発展を目 指す「大阪都」の実現や、府政で用いた手法で大阪市役所の行政改革を 断行し、大阪全体の財政再建を進めるなどと主張。1期目の4年間での 市債削減など実績を訴えた平松氏を退けた。

NHKの報道によると、市長選の得票数は橋下氏が75万813票に 対し平松氏は52万2641票、大阪府知事選では松井氏は200万6195票 を獲得した。大阪市選管のウェブサイトによると、選挙当日の有権者数 は210万4977人。市長選の投票率は60.92%で前回(07年)の43.61% を大幅に上回り市民の関心の高さをうかがわせた。

「緊張感が政治を良くする」

橋下氏は27日夜、大阪市内のホテルで松井氏と共同で開いた会見 で、今回の選挙を振り返り、大阪や日本全体に閉塞(へいそく)感が漂 うなか、「市民や府民が大阪のかたちを自分たちの力で変えて行こうと いうエネルギーが充満」していたと話し、「がっちり組織票を固めれば 政策が良くても悪くても当選する時代ではなくなった。今政治家は民意 にすごく神経質になっているが、これは非常にいいこと。こういう緊張 感が日本の政治を良くする」とも述べた。

具体的な政策としては、大阪市について意味のわからない補助金や 職員の給与体系の見直しを進める考えを明らかにした。都構想は今後4 年間で実現を目指すとし、府市共同で統合本部を設置して法整備などの 課題についても協議。国会議員などにも協力を呼び掛けるが、納得でき る対応が得られない場合は、「維新の会で国政に足をかける。国会議員 を擁立する」と話したが、自身が国政に打って出る考えは「まったくな い」とした。

政治評論家の浅川博忠氏は「自民も民主も既成政党が力を失う中、 橋本氏はいずれ第3勢力として中央政界に流れ込むとの期待が支持者 の間にあった」と指摘する一方、今回の市長へのくら替えにより「その 道を自ら閉ざしたことになる」と話した。

その理由として「4年間は市政に縛られる。都構想は一朝一夕にで きるわけがない。その間に衆院、参院とも選挙が行われ、場合によって は政界再編もあり得る。彼本人は中央政界に殴りこみができなくなり、 中央政界での風雲児になるのは遠のいた」と述べた。

--取材協力:坂巻幸子 Editors:Kenzo Taniai, Yoshinori Eki

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