債券は大幅安、長期金利1カ月ぶり高水準-国債格下げ示唆の影響残る

債券相場は大幅安。長期金利は約 1カ月ぶりの高水準を付けた。米大手格付け会社が日本国債を格下げ する可能性を示唆したことをきっかけに急落した前日の相場の地合い を引き継いで、売り優勢の展開が続いた。

新生銀行ALM部の勝智彦次長は、「先物主導で売られた後、現物 債にも損切りの売りが出ているようだ。国債格下げ観測を受けて、海 外勢が先物でショート(売り建て)に動いているもよう。円債でも損 をしないうちに売りを出す動きとなっている感じ」と話した。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の318回債利回 りは前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い1.00%と約3週間ぶりに 1%台に乗せて開始。その後も徐々に水準を切り上げ、午後1時半前 には3.5bp高い1.03%と10月31日以来の高い水準を記録。その後は

1.025-1.03%で推移した。

5年物の100回債利回りは3bp高い0.35%まで上昇。20年物の 131回債利回りは一時6.5bp高い1.795%と、新発20年債として9月 8日以来の水準を付けた。30年物の35回債利回りは5bp高い1.96% と10日以来の水準まで上昇した。

先物売買高が急増

東京先物市場で12月物は4日続落。前日比21銭安い142円59 銭で取引を開始した。寄り値をこの日の高値として、その後は水準を 切り下げる展開。一時は67銭安い142円13銭まで下げ、日中で10 月31日以来の安値を記録。結局は51銭安の142円29銭で引けた。日 中売買高は4兆9045億円に急増し、昨年12月9日(5.1兆円)以来 の高水準となった。

先物の下げ幅が拡大した要因として、東証が金融派生商品(デリ バティブ)の新取引システムを稼働させたことを挙げる声が聞かれた。 トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは「シス テム変更もあって変動が大きくなる側面もある」と話した。新生銀行 ALM部の勝氏も「先物はシステム変更により値動きが荒くなってい る」と指摘した。

トヨタアセットの浜崎氏は、債券相場の下落について、「きのう米 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の格下げ可能 性を示唆する発言から始まった」と説明。S&Pによる格付けが現行 の「ダブルAマイナス」から引き下げられれば「シングルA」クラス になり、「海外投資家のリスクウエートに影響が出てくる」との見方も 示した。

前日の債券市場では、S&Pが日本国債格下げの可能性に言及し たことが売り材料となった。また、国際通貨基金(IMF)がウェブ サイトで公表した報告書によると、日本の国債利回りが「突然急上昇」 するリスクがあり、債務水準が維持不可能になる可能性があると指摘。

意表を突かれたとの声

パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部 長は、「きのう午後に相場が崩れて、ロングポジション(買い持ち)の 先物を売っている向きがいるようだ」と話した。また、「ドイツ国債入 札が不調となった流れを受けて、市場心理が揺らいでいるところに、 IMF報告書やS&Pの格下げ示唆発言で意表を突かれた部分もある」 とも分析した。

S&Pは今年1月、日本の外貨・自国通貨建ての長期国債格付け を最上位から3番目の「ダブルA」から、「ダブルAマイナス」に1段 階引き下げたと発表。4月には震災発生を受け、格付け見通しを「安 定的」から「ネガティブ」に変更している。

一方、長期金利が節目とされる1%台に乗せたことで投資家から の買いも入っていたもよう。みずほインベスターズ証券の井上明彦チ ーフストラテジストは「店頭ではそれなりに買いが入っていた。きの うからの売りは日本の財政懸念を材料にした悪い金利上昇というより は、1%割れの水準でこう着していた反動などの要因が大きいのでは ないか」と話した。

--取材協力 池田祐美 Editors:

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