【コラム】バフェット氏、やくざに負けて日本投資ご破算も-ペセック

著名投資家ウォーレン・バフ ェット氏が日本で投資先を探しているというニュースは、ひどかった 1年の終わりを迎えようとしている日本にとって明るいニュースでは ある。

日本としてはあとは、バリュー株投資家として知られるバフェッ ト氏に、日本は資金を投じるに値する国だと納得させればよい。しか し、奇しくもバフェット氏の初来日と並行して起こっている出来事が、 これを「言うは易し、行なうは難し」の難題にする。

バフェット氏は投資先企業の工場の完成式典出席のため、3月の 大震災に伴う津波で損壊した原子力発電所が周辺の大気を汚染した福 島県を訪れた。ここで同氏は日本を襲っているもう1つの災害、オリ ンパス問題について質問を受けた。米保険・投資会社バークシャー・ ハサウェイを率いるバフェット氏は「日本でオリンパス問題が起こり 米国でエンロン問題が起こるという事実によって、われわれの姿勢が 変わることはない」と答えた。

しかし、このような政治の怠慢と企業の不祥事の根底には成長の 息の根を止める力学がある。これは同氏のような優れた投資家に日本 投資を長くためらわせてきたものだ。2つの事件は詳細や規模におい て異なるが、競争が激化する世界で繁栄を手に入れるには日本が過去 につながれ過ぎていることを示している点で同じだ。

オリンパスに関して当局は、少なくとも49億ドルの使途不明金 について調査している。オリンパスを取り巻く疑問の中で最も不透明 なのが、組織犯罪グループ、つまり「やくざ」の役割だ。警察は消え た資金のうち幾らが暴力団などの手に渡ったのか捜査している。

銃を持ったゴールドマン

日本の犯罪組織についての本「トーキョー・バイス」を2009 年に出したジェイク・アデルスタイン氏は、「捜査が終わらないと何 が出てくるか分からない」と言う。

企業社会に入り込む巧みさを指して同氏はやくざのことを米投資 銀行のゴールドマン・サックス・グループに例え「銃を持ったゴール ドマン」と呼ぶ。オリンパスのような優良企業ですら暴力団と関連が あるとすれば、日本の企業文化がやくざと深く結びついていることに は疑いがない。

オリンパス元社長のマイケル・ウッドフォード氏は解雇される前 に取締役会メンバーに内部告発の書簡を送った後、日本を離れた。身 の危険を感じたからだ。今週の再来日に当たって警察に保護を求めた。

主要7カ国(G7)の1国でそんなことがあるだろうかと思われ るだろうが、そうなのだ。企業と政治が反社会的団体の撲滅に二の足 を踏む日本では、ウッドフォード氏の身に害が及ぶようなことも起こ り得る。迎合的なメディアも事態を悪くしている。

癒着

福島の原発事故についても同じことが言える。政府官僚と電力業 界の癒着が、高い技術力を持つはずの日本を、福島原発の所有者であ る東京電力の不手際の被害者にした。

東京電力のような株式を公開している公益企業と組織犯罪は関係 がないように思われるかもしれないが、長年にわたる安全対策の驚愕 (きょうがく)のお粗末さを見れば、これを組織汚職・電力マフィア と呼ばないわけにはいかない。

「脱原発」を宣言した菅直人前首相は辞任に追い込まれ、野田佳 彦首相の下で原発業界の状況はいつの間にか「旧態依然」に戻ってし まった。

それもこれも、中国がペースを決める今の世界で競争していくた めに必要な変化を、日本が受け入れられないことを示している。コメ 農家の反対が日本の環太平洋経済連携協定(TPP)参加を頓挫させ かねないことも、日本企業が買収に対する防衛を固め非効率な商慣行 にしがみつくのもその例だ。

日本で割安な買い物をしたがっている投資家はバフェット氏1人 ではない。日本の株価は低迷しているが、日本には優れた企業が幾つ もある。問題は、道を誤った経済システムの浄化に向けて権力者たち がほとんど何もしていないことだ。

オリンパスと東京電力の不祥事は、過去の不透明が、明るくある べき未来をどれほど曇らせることできるかを示している。バフェット 氏のような目利きの投資家がこれを見逃すはずはない。 (ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ニュースのコラム ニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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