S&Pの小川氏:格下げに近づいている可能性も-日本国債

米格付け会社スタンダード・アン ド・プアーズ(S&P)の信用アナリスト、小川隆平氏(シンガポー ル在勤)は24日午後、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、 日本の財政健全化の取り組みについて、「何も進まなければ、どんどん 状態は悪くなる」とした上で、日本国債の格付けに関して「だから確 かにダウングレードに近くなるというのはそうなのかもしれない」と 述べた。

一方で、小川氏は「今のところは悪化のペースは緩やか」とし、 「今日1日すぐにどう動くという状態では今のところはない」との見 方を示した。

S&Pは今年1月、日本の外貨・自国通貨建ての長期国債格付け を最上位から3番目の「ダブルA」から、「ダブルAマイナス」に1段 階引き下げたと発表。4月には震災発生を受け、格付け見通しを「安 定的」から「ネガティブ」に変更している。ムーディーズ・インベス ターズ・サービスも今年8月、日本政府の格付けを「Aa3」に引き 下げた。

財務省の集計では、国債や借入金、政府短期証券などを合わせた 国の債務残高は9月末現在で954兆4180億円と過去最大を更新してい る。国際通貨基金(IMF)は23日にウェブサイトで公表した報告書 で、日本国債の利回りが急上昇すれば、世界の資本市場から流動性が 突然失われ、為替相場の「破壊的な調整」のリスクがあるとの見解を 明らかにした。

イタリアの教訓

欧州では、ギリシャに端を発した債務危機が主要7カ国(G7) の一角であるイタリアにも波及している。経済協力開発機構(OEC D)データを基にした財務省のまとめでは、日本政府と地方自治体の 債務に社会保障基金も含めた公的債務残高は2011年に対国内総生産 (GDP)比で212.7%に及ぶ見込みだ。G7では最悪の水準で、イ タリアの129.0%を大きく上回る。

みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは16日付リポー トで、同国国債の「投げ売りが生じた構造は日本にとっても他山の石」 とすべきだと指摘する。

高田氏は、膨大な債務を抱える日本国債が暴落せずに済んでいる 要因として、国民が暗黙に①日本はいずれ成長軌道に戻る②経済成長 路線に戻れば、政府は増税を決断する③政府には決断を実行できるガ バナンスが存在する-といった信任を抱いているためだと説明。その 上で、こういった点に「多くの不安が伴うのも事実」だと指摘した。

政府は、財政健全化の指標となる基礎的財政収支(プライマリーバ ランス)に関し、対GDP比の赤字を15年度までに半減、20年度ま でに黒字化する目標を掲げている。安定財源確保のため、6月にまと めた社会保障と税の一体改革では、10年代半ばまでに消費税率を10% へ引き上げることを明記。政府は同改革の「大綱」取りまとめの作業 を進めているが、与党内にも増税への反対は依然根強く、難航も予想 されている。

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