日本の飼料用小麦輸入、4倍に膨らむ公算-トウモロコシ値上げの影響

【記者:宋泰允、高田亜矢】

11月25日(ブルームバーグ):配合飼料の原料として使われる小麦の 今年度の輸入量が前年度の4倍近くに増える可能性がある。主原料のト ウモロコシの価格上昇と牛肉価格が下落していることを背景に、収益悪 化を避けたい畜産農家からのトウモロコシの代替品としての小麦の需要 は一段と高まるとみられている。

農林水産省畜産振興課の富田育穂課長補佐が22日、ブルームバーグ ・ニュースとの取材で明らかにしたところによると、日本の2011年度の 飼料用小麦の輸入量は前年度の11万2000トンから最大43万トンに増加す る可能性がある。同省は、飼料用小麦の今年度の輸入枠を当初30万トン と見込んでいたが、「期中改正の形で43万トンに増やした。期中改正は 異例で48年ぶりに行った」と言う。

小麦は国内に安定供給するために国家貿易の対象とされ、農水省が 海外からの買い入れと国内飼料メーカーへの売り渡しを一元的に管理し ている。

同省が10月に全農など10飼料メーカー・団体へ行ったヒアリングで は、「トウモロコシの価格が上がったことで小麦に代替の需要が出た」 と富田氏は述べた。ただ、穀物全体の需要は膨らんでいないという。

シカゴ商品取引所(CBOT)の23日の小麦先物相場は、中心限月 が5.9425ドルと、年初来で26%安くなった。一方、トウモロコシ先物相 場は5.9550ドルと、6月9日に付けた3年ぶりの高値7.93ドルから2ド ル程度戻した状態だが、小麦に比べ割高感がある。

今年の世界の小麦生産高については、国連機関が過去最高の水準に なると予想。ロシアとウクライナがこれまでの輸出制限を緩和したこと から世界の供給量も急増している。農水省によれば、米農務省(USD A)が11月9日発表した需給報告で、世界の小麦在庫は来年の北半球の 収穫前の時点で2億260万トンと、02年以来の高水準に達するとの見通 しが示されている。

穀物商社、コンチネンタル・ライスの茅野信行社長によると、飼料 用小麦は日本に対して提示された価格が、米国産トウモロコシに比べ1 トン当たり50ドル程度割安だった。米国産トウモロコシは日本の飼料用 トウモロコシ総輸入量の9割強を占める

財務省の貿易統計によると、飼料用小麦の今年1-9月の輸入量は 16万9318トン。豪州産が約5割で、残りはカナダ産が大半を占めた。農 水省の富田氏は、「今後はロシアなどもあるかもしれない。輸出国はト ウモロコシと違って多岐にわたっている」と述べた。

富田氏によると、飼料用小麦は、国内で豚のえさに多く使われてい る。独立行政法人畜産振興機構の玉井明雄課長代理は、豚肉の需要は、 福島第一原発事故による牛肉の放射能汚染問題が発覚した7月以降、強 まったという。

畜産振興機構のまとめによると、豚肉の8月の国内生産量は前年比

4.1%増の7万681トン、9月は1.9%増の7万2895トン。一方、牛肉の 生産は7月に11.5%減少、8月は9.6%落ち込んだ。東京都中央卸売市 場の牛枝肉卸売価格(和牛去勢牛A-4クラス)も7月から9月にかけ て下落が続いている。玉井氏は、「えさ代が高止まりしており枝肉価格 がここまで下がると農家にとっては厳しい」と述べた。

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