円が上昇、リスク回避で買い圧力-欧州債務危機の中核国波及を懸念

東京外国為替市場では円がほとん どの主要通貨に対して上昇。ドイツの国債入札不調やフランスの格付 け不安など欧州債務危機が中核国に波及しつつあるとの懸念を背景に、 リスクを回避しようと逃避通貨である円を買う動きが優勢となった。

ユーロ・円相場は一時、1ユーロ=103円ちょうどを割り込み、 102円93銭までユーロ売り・円買いが進行。前日の海外市場に続き、 10月10日以来のユーロ安・円高水準を更新した。

また、ドル・円相場は1ドル=77円前半から一時77円01銭まで 円が上昇。前日の海外市場ではリスク回避に伴うドル買いの方が優勢 となり、77円58銭と今月11日以来の水準までドル高・円安に振れる 場面が見られていた。

シティバンク銀行個人金融部門リテール・プロダクト本部為替市 場調査の尾河真樹シニアマーケットアナリストは、フランスやドイツ など「これまで救済する側の国の状況がどんどん悪くなっており、域 内では負のスパイラルというか解決が見いだせない状況だ」と指摘。 「共同債といっても時間がかかることだし、状況は非常によろしくな い」と語った。

一方、午後の取引では格付け会社が日本の格下げが近づいている 可能性を示唆したことを受け、円売りが強まる場面が見られた。尾河 氏は「さすがにそろそろ注意しておいた方がいいニュースではあるが、 今のところトレンドを形成するような話ではない」と話した。

欧州債務危機が中核国に波及

2年余り前にギリシャで始まった危機はアイルランドとポルトガ ルを飲み込んだ後、イタリアとスペインにも波及。フランスにまで迫 っており、リスクはドイツにも及ぶ恐れが出てきた。

ドイツで23日に実施された10年債(2022年1月償還)入札では、 募集額の60億ユーロに対して応札額が38億8900万ユーロにとどまる 「札割れ」となった。

一方、格付け会社フィッチ・レーティングスは23日のリポートで、 フランスはさらなる経済的衝撃があれば最上級の「AAA」の信用格 付けがリスクにさらされることになるとの見解を示した。

欧州債務危機の中核国への波及を嫌気して、前日の欧州債市場で はユーロ圏の国債が軒並み下落。尾河氏は「結局のところECB(欧 州中央銀行)が出動せざるを得ない状況になっているが、独仏間でも かなり意見に溝があるようで、それほどたちどころに決まる話ではな いというところで債券などが売られやすくなっている」と説明。「こう した状況が続く間はリスク回避の動きが続きそうだ」と話した。

一方、クレディ・スイス証券外国為替調査部の深谷幸司チーフ通 貨ストラテジストは「今すぐ動けるのはECBしかないと思うが、フ ランスやドイツの国債まで買うのかというと、金額も膨大になるし、 そこまでまだ手を出せない」とし、「ECBが何とかすれば、という問 題ではなくなってきてしまったように見える」と語った。

ユーロ圏共同債

24日付の独紙ビルトは、欧州連合(EU)が財政安定成長協定の 厳格化に同意する場合、ドイツにユーロ圏共同債への同意を迫る一つ の条件になる可能性があると情報源を明らかにせずに報じた。

EU当局は23日、債務危機の解決に向けてユーロ圏諸国の財政に 対する監視強化を提案すると同時にユーロ共同債についての選択肢を 示した。ECB政策委員会メンバー、オーストリア中銀のノボトニー 総裁は同日、ユーロ共同債構想について、「ドイツの同意がなければ実 現の可能性はない」との認識を示した。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、ドイツの Ifo経済研究所が24日に発表する11月の独企業景況感指数は

105.2と1年4カ月ぶりの低水準(106.4)となった10月からさらに 低下すると予想されている。

リスク回避

欧州債務危機の深刻化が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念を背 景に24日の東京株式相場は下落。TOPIX、日経平均株価ともに終 値で2009年3月以来の安値を付けた。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフF Xストラテジストは、欧州債券市場の動揺が続く中、「リスクオフでド ルと円が買われるというのは相変わらずだが、きのうの海外市場では ドルが強かった一方、きょうはアジア株が軟調な中で円が全面高とな っている」と指摘。足元のドルの弱さについては「過去数日強かった 反動という感じもする」と話していた。

ブルームバーグ・データによると、ドルはほとんどの主要通貨に 対して前日終値比で下落。ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時、 1ユーロ=1.3320ドルと10月6日以来、7週間ぶりの水準までユー ロ安・ドル高が進んだが、この日の東京市場では一時1.3391ドルまで ドルがじり安となった。

日本国債の格下げリスク

国際通貨基金(IMF)は23日にウェブサイトで公表した報告書 で、日本の国債利回りが現行水準から上昇すれば、日本の債務が早急 に持続不能になる恐れがあると指摘した。IMFは「財政の持続可能 性に関する市場の懸念は」日本国債の「リスクプレミアムの突然の上 昇につながる公算がある」との見解を示した。

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の信用ア ナリスト、小川隆平氏(シンガポール在勤)は24日、ブルームバーグ・ ニュースのインタビューで、日本の財政健全化の取り組みについて、 「何も進まなければ、どんどん状態は悪くなる」とした上で、日本国 債の格付けに関して「だから確かにダウングレードに近くなるという のはそうなのかもしれない」との見方を示した。

S&Pは今年1月、日本の外貨・自国通貨建ての長期国債格付け を最上位から3番目の「ダブルA」から、「ダブルAマイナス」に1段 階引き下げたと発表。4月には震災発生を受け、格付け見通しを「安 定的」から「ネガティブ」に変更している。

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