EU:共同債の選択肢提示,議論の出発点-財政監視強化案とともに

欧州連合(EU)当局は 23日、債務危機の解決に向けてユーロ圏諸国の財政に対する監 視強化を提案した。同時に、ユーロ共同債についての選択肢も示 した。

EUの行政執行機関である欧州委員会は今月、財政規律に反 する国に制裁を科す権限強化を勝ち取った。今回はさらに、各国 の財政をあらかじめ査定するとともに、イタリアなど国債利回り 上昇が金融安定を脅かしている国についてより詳細に監視する 権限の追加を求めた。救済の対象となっているギリシャ、アイル ランド、ポルトガルがプログラムを脱した後の財政監視強化も求 めた。

また、ユーロ共同債の構想を発展させ、その発行について3 つの選択肢を提示した。そのうち2つはEU条約変更を必要とす るという。いずれの選択肢も財政監視強化が条件になる。

ユーロ共同債については財政監視強化のように法案を提出 はせず、関心のある当事者間の議論の出発点となる選択肢を示す 提案書にとどめた。ドイツのメルケル首相は23日もあらためて 反対を表明している。

欧州委のバローゾ委員長は同文書で、ユーロ共同債はユーロ 圏の「将来の負の衝撃に対する反発力を高め、金融安定を強化す る」と論じた。協議や市場の展開が各国の姿勢の変化につながる こともあり得るとして、「教義にとらわれない」議論を呼び掛け た。「選択肢から議論を始め、必要になれば具体的な提案をする こともできる」としている。

条約変更が必要ない案も

欧州委によると、条約変更を必要とせず迅速な導入が可能な 選択肢は財政難国にとっての恩恵も小さい。この選択肢では、共 同債は国債の一部を置き換えるものとなり、「複数の国が保証を 付けるが、連帯保証はしない」という。

他の2つの選択肢は、複数国による連帯保証を持つユーロ債 によって各国国債の一部または全てを置き換える案。これらは恐 らくいずれもEU条約の変更を必要とするだろうと欧州委は分 析している。

欧州委のバローゾ委員長は共同債構想に反対のドイツと、賛 成の南欧諸国やルクセンブルク、ベルギーなどの間の調整を図っ ている。

同委員長はこのような共同債を「安定債」と呼んでいる。欧 州委は「安定債導入へのいかなる動きも同時に財政規律が強化さ れる場合に限り、実現可能であり望ましいものであり得る」とく ぎを刺した。共同債に関する提案書に関する協議の期限は2012 年1月8日。「フィードバックに基づき」次の措置を示唆すると いう。

財政監視強化

財政監視強化についての欧州委の声明は、新たな財政制御措 置は「ユーロ圏の監視メカニズムの一段の強化」が目的だとし、 「世界的な経済・金融危機が欧州経済・通貨同盟のガバナンスを めぐる不備を露呈した」と説明している。

20カ国・地域(G20)を含め世界から危機解決を迫られて いるユーロ圏はドイツを先頭に、高債務国への締め付け強化を目 指している。ドイツは枠組みの厳格化を支援拡大の条件としてい る。悪化に歯止めがかからなければ、危機はスペインとイタリア、 フランスをも飲み込むリスクがある。

欧州委の提案は、各国の予算案を議会が承認する前に欧州委 が査定する内容。年間歳出計画は前年の秋に欧州委に提出する必 要がある。また、財政が悪化している国については監視団を送り 込むなどさらに立ち入った監視の権限も欧州委に与える。また、 救済プログラムから脱した諸国は新たな監視システムの下に置 かれる。

欧州委案は各国政府の承認を得ることが必要。各国政府は今 月、債務と赤字が規定の上限を超えた国に対する欧州委の制裁を より自動的なものとする法律を承認。同パッケージは年内に施行 される。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE