円が上昇、米欧財政懸念で買い圧力くすぶる-対ドル76円台後半

東京外国為替市場では、円が主 要16通貨の大半に対して強含み。ドル・円相場は1ドル=76円台後 半で推移した。欧州の債務問題をめぐる懸念が根強い中、米国でも財政 赤字削減策をめぐって超党派委員会が合意に至らない可能性が浮上して おり、米欧の不透明感を背景に円買い圧力がかかった。

円は対ドルで、朝方に76円73銭から76円93銭まで水準を切り 下げたあとは底堅い展開となり、午後3時47分現在は76円82銭付近 で取引されている。前週末の海外市場では一時76円58銭と、政府・ 日本銀行が円売り介入を実施した10月31日以来の円高値を更新して いた。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフFX ストラテジストは、欧米の財政問題に対する懸念を背景としたリスクオ フ(回避)の流れが続いているとして、株安の中で「バイアスとしては 円が強い方向に圧力がかかりやすい」としている。

米国では、議会の超党派委員会が1兆2000億ドル以上の財政赤字 削減策をめぐって、民主党の当局者は20日、合意できなかったと21 日に発表する見通しであることを明らかにしている。

財政赤字削減での合意の期限は23日だが、超党派委は21日まで に議会予算局(CBO)に合意内容を伝える必要がある。8月2日に成 立した財政管理法は債務上限を引き上げる一方、超党派委の勧告を立法 化できない場合、1兆2000億ドルの歳出の一律削減を義務付けている。

ECBの国債購入動向を見極め

一方、欧州では今週、域内各国で国債入札が控えている。18日の 欧州債市場では、欧州中央銀行(ECB)による国債購入を支援材料に イタリアを中心に財政問題に懸念のある国の国債利回り上昇が落ち着い たものの、引き続き利回り動向が警戒されている。

ユーロ・円相場は朝方に1ユーロ=104円08銭までユーロ高・円 安が進んでいたが、円の下値は限定され、午後にかけて103円台後半 で円がじり高に推移。午後3時47分現在は103円83銭付近で取引さ れている。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、米財政赤字削減 策で、超党派委員会が合意に至らないとなると、米国債の格下げ懸念が 生じて、「当然、ドル売り材料になる」と指摘。加えて、欧州内では今 週も入札を控えて「一喜一憂」の状態が続いているといい、米欧に問題 があるとなると、「全般的に円高になりやすい」とみている。

ドイツのショイブレ財務相がECBを最後の貸し手として機能させ る呼び掛けを拒否。また、ECB政策委員会メンバー、ドイツ連邦銀行 (中央銀行)のバイトマン総裁も、欧州各国政府がこれまでのところ域 内ソブリン債危機の解決に失敗しているからといって、ECBに解決を 求めることはできないと発言している。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、欧州債務危機がイタ リアなどに広がる中、「一時的にせよECBの役割を大きくしないと不 安が相当高まる」と指摘。ただ、ECBが支援に乗り出すとの期待が高 まる部分がある一方、建前的にはECBのやる仕事ではないということ があり、危機回避の妥協点を見つけるまで、ユーロは議論の行方に左右 されるとみている。

この日のユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3500ドルを下値に、午 後の取引には1.3538ドルまで上昇する場面も見られたが、その後は

1.35ドル台前半を中心に伸び悩む展開が続いた。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは21日、フ ランスの国債利回り上昇は同国が直面する財政上の困難を大きくすると 指摘した。

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