オリンパスの約530億円の費用隠ぺい工作、英企業登記局の書類で判明

オリンパスの現広報・IR室長を 含む同社幹部らが、損失隠しのために充てた偽の巨額FA(フィナン シャル・アドバイザー)報酬6億8700万ドル(約530億円)の隠ぺい のため、不明瞭な会計報告を承認するとともに決算を修正、規制当局 への報告を遅らせていたことが、英企業登記局への提出書類で分かっ た。

これらの書類は、開示規則にもかかわらず、2008年の英ジャイラ ス・グループ買収の実際の費用が3年余りにわたって表面化しなかっ た理由の一端を示している。エンロンが損失隠しのためにバランスシ ートに載らない受け皿会社を利用したように、オリンパスの複雑な会 計処理の裏側にある考え方もごく単純なものだと、ヒューズ・ハバー ド・アンド・リード(ニューヨーク)の元パートナー、ブルース・E・ アロンソン氏は指摘する。

同氏は「仕組みは精緻に見えるかもしれないが、どの工作にも共 通な一つの特徴は、証券にはまだ十分に簿価の価値があると見せかけ ようとすることだ」と指摘。この工作は「長期的に損失を隠す方法で はなく、会計処理の期日を先送りするものだ」と分析した。

オリンパスは11月8日、21億ドルのジャイラス買収に伴う巨額 報酬支払いについて、長年にわたる投資損失の処理に使っていたこと を認めた。オリンパスは10年3月、FA報酬の一部として割り当てた ジャイラスの優先株を6億2000万ドルで買い戻しているが、その1週 間後に菊川剛前会長、南部昭浩広報・IR室長、森久志前副社長の3 人の署名入りで提出されたジャイラスの財務諸表には、この優先株の 適正価値を算出することは「無意味」と記載されている。企業登記局 に提出された資料によると、ジャイラスの優先株は、適正価格ではな く、1億7700万ドルとして計上された。

KPMG監査

企業登記局の資料によると、当時のジャイラスの監査を担当して いたKPMGオーディットは、適正価格を用いない優先株の計上処理 を理由に、ジャイラスの監査業務から撤退している。しかし、複数の オリンパスの株主によると、こうした撤退理由について、投資家は何 ら報告を受けていなかった。

アドバイザーのアクサム・インベストメンツへの支払いは、日本 と米国、英国の刑事捜査の対象の一部となっている。英国の06年会社 法の下では、取締役が株主に会計報告や監査法人の報告を配布しない ことは違法とされる。

オリンパスの幹部らは、アクサムがケイマン諸島での登記を抹消 されてから9カ月後の11年3月まで実際のコストの計上を遅らせて いた。

額面価額で計上

ジャイラスは2010年度の財務諸表を翌年提出しているが、その中 で、この優先株を「誤って」額面価額で計上していたとし、前年度の 決算内容を修正している。優先株の価値を、買い戻し価額と同額に修 正したことで、ジャイラスの純資産は7億1600万ドルから、一気に3 億3000万ドルに目減りすることになった。

新たに監査業務を担当することとなったアーンスト・アンド・ヤ ングは、優先株の受取人であるアクサム社に関する情報提供が得られ なかったとし、一部判断を留保すると注記した上で、11年3月21日 にジャイラスの監査承認を行っている。ジャイラスの09年および10 年の年次報告書は、どちらも対象年度が終了してから1年以上経過し た時期に提出されている。英国の規則では9カ月以内の提出が求めら れている。

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