【日本株週間展望】底値固め、株価水準低さと割安感-欧州不安続く

11月第4週(21-25日)の日本 株相場は、底値固めの展開が予想される。欧州の債務不安がイタリア など大国に波及し、投資家の不安心理が高まる中、局面を打開する好 材料は目先見込みにくい。一方、株価水準の低さやバリュエーション から見た割安感、中期的な景気の改善期待が下値を支える。

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの中尾剛也シニアイ ンベストメントマネジャーは、「悲観に振れ過ぎているマーケットのセ ンチメントを変えるような材料がすぐには出てこない」と指摘。ただ、 TOPIXが2009年3月12日に付けたリーマン・ショック後の安値 (終値で700.93)に迫る中、「そこを抜けることを正当化する理由は ない」とも言う。

第3週のTOPIXは、前週末に比べ1.3%安の719.98ポイント と3週連続で下落し、東証1部の時価総額は09年3月以来、約2年8 カ月ぶりに250兆円を割り込んだ。ユーロ圏の経済大国であるイタリ アとスペインに債務不安が急速に拡大し、両国の10年国債利回りがユ ーロ導入後の最高を更新。しんきんアセットマネジメント投信の山下 智巳氏は、「あく抜け感がなくじりじりと下げており、下げ過ぎた感覚 が薄い」と話している。

欧州の債務危機は、金融システムの不安定化などを通じ、世界経 済に悪影響を及ぼす可能性が高い。日本銀行の白川方明総裁は16日、 欧州問題について「世界経済の下振れをもたらす可能性がある」と指 摘、日本経済にとって「最大のリスク要因は欧州ソブリン問題の今後 の展開だ」と述べた。また、世界的格付け会社のフィッチ・レーティ ングスは同日、「ユーロ圏の債務危機について、時機を失することなく 秩序立った形で収拾できない限り、米銀行業界の広範な信用見通しが 悪化する恐れがある」との見解を示した。

イタリア、スペイン入札が相次ぎ低調

14日のイタリア5年物国債の入札では、平均落札利回りが6.29% と1997年以来の高水準となり、17日のスペイン10年国債の入札では、 調達額が目標上限の40億ユーロに届かず、落札利回りは約7%と04 年9月以来の水準に達した。第3週の欧州では、スペインが3カ月物 と6カ月物の短期国債の入札を予定し、イタリアでは短期国債とゼロ クーポン債の入札がある。損保J興亜の中尾氏は、「入札の結果が債務 不安をあらためて印象付ける可能性はある」と懸念している。

ただ、欧州の外に目を向ければ、一部で改善の萌芽も見える。中 尾氏は、投資家のセンチメントは悲観に振れ過ぎとの見方を示してお り、「米国の雇用関連指標の改善と中国の金融引き締め基調の転換が投 資家のセンチメント改善の呼び水になる」と予想した。

米雇用動向に明るさ、中国の政策転換期待

米国の失業率はことしに入り9%前後で推移するが、毎週発表さ れる新規失業保険申請件数は徐々に明るさを見せている。米労働省が 17日に発表した11月2週の新規失業保険申請件数は、前週から5000 件減少し38万8000件と、4月2日までの週(38万5000件)以来の 低水準となり、2週連続で40万件を下回った。トレンドを示す4週移 動平均も、約7カ月ぶりに40万件を割れた。

中尾氏は、「企業は雇用を絞りに絞っている状況で、大手企業の収 益基調を見る限り、いつ雇用を拡大する方向に転換してもおかしくな い」と見ている。

一方、09年7月以降、上昇を続けていた中国の消費者物価指数(C PI、前年比)は、ことしの7月(6.5%)でピークアウトし、10月 は5.5%まで沈静化した。国家発展改革委員会の物価監視当局のリュ ウ・ガン氏は14日、中国紙への寄稿の中で、中国のCPI上昇率は年 末までに5%の範囲内に鈍化するとの見通しを示した。中国政府がタ ーゲットとしている4%は上回る水準だが、昨年10月以降、5度にわ たって引き上げてきた政策金利とされる1年物の最優遇貸出金利の引 き下げ期待が醸成されつつある。

低PBR、騰落レシオ80割れ

バリュエーション面の割安感なども、相場全般を下支えしそうだ。 ブルームバーグ・データによると、東証1部の株価純資産倍率(PB R)は0.86倍と企業の解散価値である1倍を下回り、相場の過熱感を 示す東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)も16日に8月30日以来、 約2カ月半ぶりに80を割り込み、売られ過ぎの水準を指す70に迫っ ている。しんきんアセットの山下氏は、「PBRはリーマン・ショック 時の水準に近づいており、割安な水準であるのは間違いない」と言う。

第4週の日本株に影響を与えそうな材料は、米国で財政赤字削減 両院合同特別委員会が赤字削減法案を議会に提出する期限が、23日と なっている。損保J興亜の中尾氏は、「めりはりの利いた内容のある削 減策が提出されない場合、政治に対する不安感がさらに高まり、マー ケットにも悪影響が出かねない」としている。

また、22日には米国で7-9月期の実質国内総生産(GDP)の 改定値が発表予定。速報値は、個人消費や企業投資の伸びが寄与し、 前期比年率2.5%増だった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト 28人による予想中央値は2.5%と速報値と同じ水準。予想値の最高は

2.9%、最低は2.1%となっている。

このほか、22日にユーロ圏消費者信頼感指数、23日に米ミシガン 大学消費者信頼感、25日に国内の10月のCPIが発表される。また、 東京証券取引所での現物株の午前の取引終了時間が、これまでの11 時から11時30分に延長される。

【市場関係者の当面の日本株見解】 ●SMBC日興証券株式調査部の吉野豊チーフテクニカルアナリスト

日経平均は多数の日次サイクルが集中し、基調に変化が生じやす い22日前後の時間帯で当面の底入れ感が得られるかが注目される。同 日前後に主要サポートである8340円、8100円、7890円などに到達す れば、当面の底入れの可能性が浮上、780円幅程の反発が生じる可能 性がある。一方、同日前後で下げのエネルギーを出し切らず、その後 も反発が鈍いまま下値を切り下げるようなら、12月9-12日ごろか、 それ以降まで調整が長引きやすくなる。

●東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長

欧州危機は広がりを見せている。欧州危機のバロメーターである ユーロ・ドル相場は、米ダウ工業株30種平均と連動性が高い。今月は ユーロが下落する中でダウ平均が逆に下値を切り上げ「欧州離れ」の 構えを見せていたが、格付け会社フィッチの指摘を受けて株価が大幅 に反落するなど、欧州離れには至らなかった。米国株にはなお下振れ リスクがある。第4週の日経平均は、3月の取引時間中の安値8227 円を死守できるかが焦点になる。

--取材協力:長谷川敏郎  Editor:Shintaro Inkyo

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